![]() |
|
![]() |
チャレンジ制度最終報告書 |
積極的な女性の社会進出をめざして
山梨学院大学 法学部行政学科四年 小林 由美恵 私達は平成13年9月20日〜12月19日にかけて、積極的な女性の社会進出を支援するため、就労形態に応じた保育施設の研究をしてきました。 1.企画立案の動機 私たちは、これまでのゼミにおいて、人間の幸福とは様々であるが、中でも憲法13条の「すべての国民は、人間として尊重される」。という個人の尊重が重要であるということを学びました。誰でも家庭的な幸せと社会的地位 を確立することにより一人の人間として認められることが、人間の幸福には欠かせません。 現在の女性は、家庭的な幸せさえあれば社会的地位 はなくとも幸せであると、一般的には考えられています。そのため女性の社会的地位 は、まだ完全に確立されていません。しかし、女性でも積極的に社会進出し、社会的地位 を確立することは、憲法14条の「全て国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別 、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別 されない」。という法の下の平等においても、当然の権利として認められています。 女性の社会進出に関しては、数々の阻害要因が挙げられますが、私たちは阻害要因の一つとして、ニーズに応じた保育施設の設置が必要であると考えました。 そこで、積極的な女性の社会進出を支援するために、私達は理想と現実を加味した保育施設について研究していきたいと思います。 2.実施内容
私たちは、現代社会のニーズに応じた保育施設の研究をするにあたって、現状を把握し現場の声を聞くために、保育施設や行政機関を視察してきました。 視察日時・場所 @ 9月20日 山梨学院大学付属幼稚園 A 9月21日 山梨県石和町役場・スコレーセンター B 9月27日 長野県県塩尻市男女共同参画課 C 10月24日 東京都品川区東五反田保育園 D 11月 3日 学園祭にて中間報告を行う E 11月17日 山梨県石和町スコレーセンターでシンポジウムに参加 F 11月27日 山梨学院大学堤教授にインタビュー G 12月19日 大阪商業大学付属幼稚園分園保育センター 大阪商業大学付属幼稚園 @ 山梨学院大学付属幼稚園 まず、初めに私たちは9月20日学院大学付属幼稚園にお伺いし、現代保育が抱える問題点などのお話を伺いました また、実際子供を持ちながら働く先生に、仕事をしながら子育てを行う大変さなどといったお話を伺いました。
A 山梨県石和町役場・スコレーセンター つぎに、研究を進めるにあたって、行政機関がどのように住民に男女平等への意識変革・政策を行っているか知るために石和町役場に伺いました。石和町役場では、住民に男女平等への意識を高めてもらうために、行政側から様々な活動を積極的に行っていました。 例えば、町民に対して男女平等への意識を高めてもらうため、区や病院・保育園等に要望があれば何処へでも行政側から出向き、出前講座を行っています。また、町民にジェンダーフリーをより身近に感じてもらうため、町立図書館(スコレーセンター内)や各小・中学校の図書館に、ジェンダーフリーコーナーを設け、男女平等に関する図書を設置し、積極的に町民に働きかけていました。 また、石和町には4つの部会から構成されている男女共同参画推進委員会がありました。この委員会は、今年で2年目なのでまだまだ試行錯誤の状態なのだそうですが、行政側がすべて行うのではなく、町民が自ら作り、参加し、活動を行っていました。この委員会では広報誌「ホップステップジャンプ」も作成しており、行政だけでなく住民自らが住民の意識変革を行うために、このような活動を行っていました。 このように、石和町では行政側から住民への活発な働きかけがあり、いかにも行政主導の活動のように見られますが、行政側も住民と一緒になって男女共同参画社会への勉強を行っているのが特徴だと思いました。 B 長野県塩尻市役所男女共同参画課 男女共同参画都市宣言を全国に先駆けて行った都市が、現在どのような活動を行っているかを知るため、長野県塩尻市の男女共同参画課を訪問しました。 なぜ塩尻市が全国に先駆けて男女共同参画都市宣言を行ったかと言うと、現在の市長である三沢市長が、男女共同参画社会の必要性を強く感じ、市長選で男女共同参画社会に向けた取り組みを行うことを選挙公約としたので、全国に先駆けての男女共同参画都市宣言を行うに至りました。 現在塩尻市では、平成12年に作られた塩尻市男女共同参画基本条例に基づき塩尻市男女共同基本計画を作成中でした。また、広報誌「でこぼこ」を年4回作成し、ジャーナリストの先生を迎えての勉強会を行い男女共同参画への啓発活動も行っていました。 塩尻市に伺って、市民に男女平等への意識が進み難いというお話を伺いました。その原因は、地域の婦人会がそのまま男女平等参画委員会をやっているので、婦人会に参加しなければ男女平等参画委員会に参加し難い現状があり、婦人会のメンバーの高齢化も進んでいるので、男女平等の意識変革が浸透していかないと仰っていました。この婦人会の組織がそのまま男女平等参画委員会をしているので、男女平等が進まないという現状は他の地域に伺っても仰っていたことです。
C 東京都品川区立東五反田保育園 私達は、行政が運営する保育園で、日本で初めて延長・夜間保育を実施した、品川区立東五反田保育園に伺いました。東五反田保育園では、園長先生や他の先生方にもたっぷりとお話を伺うことができ、保育園内も充分に見学させて頂きました。 東五反田保育園の基本保育時間は、午前7:30から午後6:30までです。この基本保育時間は、保護者の勤務時間と通 勤時間を合わせて、通常、送り迎えが可能だと思われる範囲で設定されています。この基本保育時間内で対応できない保護者の人は、延長及び夜間保育が利用できます。延長保育は、勤務時間の都合で午後6:30までにお迎えが間に合わない世帯を対象に、午後6:30〜7:30まで実施しています。夜間保育は、勤務時間の時間及び通 勤時間の都合で午後6:30までにお迎えが間に合わない世帯を対象に、午後6:30〜10:00まで実施しています。この延長・夜間保育は、品川区の住民なら利用できるのですが、利用するには延長夜間保育利用登録書と勤務証明書の提出が必要になります。延長夜間保育利用登録書には、両親の勤務先や勤務場所、勤務時間や通 勤時間を詳細に記入しなければなりません。勤務証明書には、変則勤務の有無を記入して、正規の勤務時間では退社できない要因を記入して、雇用主側のサインと捺印をして提出します。このようなシステムをとっているのは、延長夜間保育は「保護者が働いている時間に限って」子供達を預かることを目的にしているからです。だから、この保育園では子供を預けて、どこかカルチャースクールに行ったり、遊びに行ったりすることが出来ないようになっていました。利用日は、毎月予定表を提出して決めます。やむえず、申し込みをする場合は当日15時までに連絡します。また、やむえず、利用を取り消す場合も当日15時までに連絡します。 延長・夜間保育の他、地域の人なら誰でも預けられる、地域子育て支援事業として年末保育・一時保育・休日保育・病後児保育があります。 この延長・夜間保育が実施されるようになった経緯を園長先生に伺いました。園長先生は、「この延長・夜間保育が実施される前までは、ここに居るだけで延長・夜間保育の必要性を痛感していたからです。」と仰っていました。それは、以前までは閉園時間が午後七時だったのですが、@閉園時間に間に合わずに、バタバタと駆け込んでお迎えに来る保護者の方が居たり、Aまた、一度お迎えにきて、ベビーホテル等の民間の施設に預けて再び会社に戻る人がいたりBベビーシッターの派遣会社から派遣されて、日に日に変わるベビーシッターのお迎えで慣れなくて泣き泣き帰る子供の姿を見て、子供達のために延長・夜間保育を実施しようと思ったそうです。園長先生は、この延長・夜間保育を実施したのは、保護者のためでなく、子供達のために実施したのだと強調して仰っていました。しかし、実施するにあたって行政側から「基本保育を行っている時と同じ人数の保育士で延長・夜間保育してほしい」との要望があったそうです。そのため、保育士さんを同じ人数で長時間開園するのに、勤務体制をシフト制にして延長・夜間保育に対応したそうです。 実施後、園児90人中、一日約30名が、この延長・夜間保育を利用していました。また、保護者からは、残業ができるので気兼ねなく働けるようになったとか、二重保育しなくて済むので子供が落ち着いている等の声が寄せられるようになったそうです。 また、延長・夜間保育を行うために様々な工夫がなされていました。例えば、延長・夜間保育だと保育園にいる時間が長く、どうしても子供達の体が疲れてしまうので、畳の部屋を用意していつでも「ゴロンッ」と横になれるようになっていました。また、延長・夜間保育の時間になると不審者が侵入してこないように、玄関には常に鍵がかかっていました。だから、お迎えに来た保護者はインターホンを鳴らして、名前を名乗り、なかで保育士さんがモニターで顔と名前を確認してから、鍵を開けるシステムになっていました。 この保育園では、登下園時間が決まっていないため、通 常の保育園で行っているクラス保育も行っているのですが、主にコーナー保育を行っています。つまり、これは保育園にいる人数がいつもバラバラなので、年齢に関係なく、集まった人数で、工作室に行って工作をしたり、プレイルームに行って歌を歌ったりすることです。また、お昼寝の時間も一緒ではないので、子供達を見ていて少しでも疲れている子がいたら、保健室に連れて行き仮眠を摂らせるようにしていました。 食事は、午後7:30までの延長保育を受けている園児達は、午後6:45に捕食をとります。捕食は、夕食に差し支えのないのおやつのようなものです。夕食は、10:00までの夜間保育を受けている園児達が午後7時に夕食をとっていました。夕食はお昼と違って、瀬戸物の食器を使ったり、ダイニングテーブルで保育士さんも園児と一緒に食事をしたりして、家庭的な雰囲気になるように環境を整えていました。 利用料金は、@午後6:30〜7:30までが400円A午後7:30〜8:30までが800円B午後8:30〜10:00までが1400円となっていました。支払方法は、月払いと日払いの二つの方法があります。月払いとは、その月が忙しくて丸々一ヶ月延長・夜間保育を利用しようと思った人が、一括で一ヶ月分支払います。しかし、一ヶ月のうちたまにしか利用しないという人は、プリペイドカードを購入して、利用した日だけ機械にカードを入れて、料金を支払います。 私達は東五反田保育園に伺って、カルチャーショックを受けました。それは、私達が「当たり前」と思っていたことと東五反田での「当たり前」が正反対だったからです。私達は、女性が育児をしながら働くというのは難しいことだと思っていました。しかし、東五反田では女性が仕事を続けながら、育児をしていくというのは「当たり前」のことになっていたのです。まだ、完全とは言えませんが、このように就労形態に合った保育施設があるので、女性でも育児をしながら男性と同じように働いくことができるのです。このような保育園があれば、安心して子供を預けて働くことができると思いました。だから、都内に住んでいる人が品川区に引っ越してきてまで、この保育園を利用したいという気持ちが良く分かりましたまた、品川区では平成15年に24時間開園の保育園を設置する予定です。 D 学園祭中間報告会 11月3日学園祭にて中間発表会を行いました。 中間報告会では、パネルシアターで『おむつ交換って?』と題して、ジェンダーについて会場の皆さんとフリートークをしました。このフリートークでは、活発な意見交換がなされ、お互いジェンダーに対して理解が深まりました。 品川区東五反田保育園の視察報告については、ビデオ映像とOHPを使ってしました。映像用いたことにより、会場の皆さんにも実際に保育園に行ったように分かり易く伝えることができました。 会場には、一般の方々や学生など予想以上の観客が集まり、関心のある問題だということを感じました。観客からは、@とても難しい問題を分かり易く説明してもらえた。A24時間の保育園ができるなんて素晴らしいと思いました、Bこのような保育園が山梨にも出来ないのだろうか?C品川のような保育園があることを周りの人達がもっと知って欲しい。D参加してみて、ジェンダーフリーということを考えなおした。Eパネルシアターのシナリオが良く出来ていて良かった。F男女共同参画社会を築いていくには、お互いを思いやることが大切なんだと思いました。など多数の感想・意見が寄せられました。 E 山梨県石和町主催シンポジウム参加 11月17日に石和町スコレーセンターで行われた、ジェンダーフリーのシンポジウムに参加しました。このシンポジウムは、石和町の男女平等推進委員会である「ホップ・ステップ・ジャンプ」推進委員会が主催しました。 シンポジウムは「一人一人の能力を活かすまちづくり」をテーマに行われました。このテーマは、男女共同参画社会には「人づくり」が基本であるという考え方から、個人が隠れていた自分の能力を今まで以上に発揮できる社会にしていこうというものです。これは、男女共同参画社会は「人づくり」が基本であるという考えから、個人の能力を向上させ真の個人の尊重を求めようというものです。 シンポジウムでは、石和町で活躍している三人のパネリストが自分の実体験をもとに男女平等について話し合いました。パネリストは、石和町議会議長の藤田栄さん、石和町立石和東小学校教頭渡辺節子さん、農業従事者の米山登志子さんです。 ジェンダーについて藤田さんは、「男は『黙して、語らず』と育てられた。男は人前で泣くな等、感情を表に出すものではないと思ってきた。」と仰っていました。 渡辺さんは、小学校で混合名簿を導入していることについて、たかが名簿という人もいるが、名前を男から先に呼ぶことにより、女の人より男の人の方が優位 だと感じてしまう人もいます。目に見えることを変えていくことにより、目に見えない心を変えていくことが出来るので、男女混合名簿は良いと仰っていました。また、普段教頭という仕事の中で好評を行う機会が多いそうですが、その時も「男の子は〇〇〇だから素晴らしいとか、女の子は○○○だから素晴らしいと男女を分けて好評するのではなく、個人名で褒めるように心がけている」と仰っていました。 米山さんは、農家のお嫁にきて、「平凡に目立たないで生きていくことが、一番良い」という環境の中で60才まで農業と家事・子育てに追われ自分を押し殺した生活を送ってきたそうです。例えば、夜何処かに出かけるにもお姑さんに小言を言われながら、家族に気兼ねしながら出かけ、農業・家事・育児を全て自分で背負い、自分のための時間のない生活だったそうです。でも、ある時「人間を50年間やってきて、人生で何一つやり遂げていない」ということに気付き、「目立っても良いのではないか?」「自分を殺してではなく、気持ちよく生きても良いのではないか?」と思ったそうです。このことに気付いてから、地域の活動やマンドリンサークル等に積極的に参加するようになったそうです。米山さんは、積極的に外に出て行くことにより、「気持ち良く生きている実感が毎日して楽しい生活になった」と仰っていました。 このシンポジウムに参加して、一般 の人のジェンダーフリー意識がどのようなものなのか理解できました。そして、書籍にはない実生活を通 しての男女差別のお話を伺うことができたので、大変勉強になりました。
F 山梨学院大学堤和子教授にインタビュー 11月27日に山梨学院大学の堤和子教授にインタビューし、堤先生が仕事と育児を両立してきたお話や、仕事を続けてきた中で「女性だからという理由で不都合」だったお話などを伺いました。 堤先生の子育ての時代、ほとんどの女性は子供が生まれると仕事を辞めていたそうです。だから、子供は母親が育てるのが一番良いと考えられていました。 産休は前後四週間しかとれなかったので、堤先生は病欠扱いで半年休んで出産したそうです。 堤先生はアメリカでは条項にすら性差別 条項が入っていないのに、実際には、アメリカの方が男女平等になっていると仰っていました。逆に、日本は法的には男女平等が規定されているのに、実際には男女平等になっていないと仰っていました。日本に男女平等が浸透しない理由は、古来の「家父長制」があるからだそうです。家父長制とは、その家の主である父親に全て従い、父親に逆らうことが許されない制度です。この家父長制の風習が、現在も残っているので、日本では男女平等が進み難いのではないかと仰っていました。 堤先生には、かなりプライベートに踏み込んだ質問だったにも関わらず、色々とお話して下さったので、とても参考になりました。 G 大阪商業大学付属幼稚園分園保育センター・付属幼稚園 12月19日に大阪商業大学付属幼稚園分園保育センター・付属幼稚園に伺いました。 雇用主側が設置する託児所を見学したく、学生課の紹介で大阪商業大学の経営する託児所を視察に伺いました。 この保育センターが設立された理由を付属幼稚園の園長さんに伺ったところ、幼稚園での延長保育が子供達にとって負担が大きいからだと仰っていました。それは、幼稚園は教育実践をする場であるので、幼稚園では授業を行っています。その幼稚園で、延長保育を行うということは、子供達にもっと沢山の授業を受けさせることになるので、幼稚園で延長保育を行うことは子供に負担がかかってしまうからです。また、「親の子育て支援」を目的として保育センターを設立したと仰っていました。それは、子供は親の後ろ姿を見て育つので、親に生き生きとした姿を子供に見せて欲しいと思ったからです。一心不乱に働く親の姿、忙しい中で学び成長する親の姿、世のため人のために尽くす親の姿が、子育てには必要です。昨今、問題になっている家庭教育力の低下は、家庭にこのような子供を育てる親の姿がなくなっていることにあると考えます。 そこで、次のような子育て支援を行い保護者の活動を支援することにより、逆により良い家庭生活を保障したいと思っていると仰っていました。 、小学校が実施する参観・懇談・講演会等に安心して参加できるようにする。 、公民館・大学等各所で行われる講演会等に積極的に参加できるようにする。 、大学や大学院に入学して勉強することと。子育てを両立できるようにする。 、週に一度程度の習い事等の文化活動と子育て支援を両立できるようにする。 、祖父母を見舞いに行く等、家事と子育てを両立できるようにする。 、勤務に就く等の勤労と子育てを両立できるようにする。 、ボランティア活動等、社会的活動と子育てを両立できるようにする。 この保育センターは簡易登録をすることにより。誰でも0歳から5歳児の子供を預けることができます。預かり時間は、8:30から20:00までを基本をしています。また、預ける時間に決まりはなく、家庭の事情により一時間からでも預けることができます。 プログラムは、おやつ・室内遊戯・絵本・テレビ鑑賞・散歩等、家庭生活の流れに準じたアットホームなプログラムで運営されています。 保育料は、在園児兄弟用、教職員子弟用、一般 用に分かれています。一般用は、0〜1歳児が最初の一時間1000円、以降一時間ごと700円、18時以降30分未満ごとに700円です。2〜3歳児は最初の一時間1000円、以降一時間ごと600円、18時以降30分未満ごとに600円です。4〜5歳児以上は最初の一時間1000円、以降一時間ごと500円、18時以降30分未満ごとに500円です。この保育料には、おやつ代が含まれます。なお、大阪商業大学学生子女の保育料は半額になります。また、大阪商業大学の資格取得講座又はカルチャー講座受講者子女は受講時間に限り無料となります。保育料の支払い方法は、一カ月分を直接保育センターに現金にて納入します。 利用状況は、平成13年4月〜11月までの利用総数は770人で、これを月平均にすると96人になります。年齢別 グループでは、0〜3歳児の利用が多く、これは外出するのに連れて歩きにくい年齢であるためだと仰っていました。利用時間は、一日平均3時間となっていました。 この保育センターは設立して三年目で、周囲の方々に知られていないということもあり、利用者数は少ないのですが、利用者・利用時間は徐々に伸びています。 保育センター見学後、付属幼稚園も見学させて頂きました。幼稚園は、園内のスペースを広くとったり、光を多くとりいれる構造になっていたり、園児達がより自然と関わりあうことができる庭園があり、伸び伸びと子供達が育っていける環境が整備されていました。 大学内の託児所ということで、視察に伺うまでは大学の一室で、大学の職員のみの利用だと思っていましたが、実際訪れてみると、保育センターは3階建ての立派な建物で、地域の方々の利用も可能なものとなっていました。 この保育センターは、育児中の女性が、仕事とは別 の形で社会との接点をもてる機会を与えていました。私たちは、女性の社会進出とは仕事をして行くことだと思っていましたが、この保育センターに伺って女性の社会進出は仕事だけではなく、社会と関わっていくことが重要なのだということに気づきました。 このような保育センターを行政側が運営し、行っていければよいと思いました。 3.まとめ 私たちは、女性が積極的に社会進出していくためには、就労形態に応じた保育施設の設置が必要であると考え、研究当初は、保育施設の設置にのみ重点をおいて考えていました。しかし、運営母体の異なる保育施設や行政サイドを視察し、研究を進めていくうちに、女性の社会進出に関しては、その他様々な政策や制度も必要であるということが分かりました。 就労形態にあった保育施設に関しては、東五反田保育園のような延長・夜間保育・病後児保育・休日保育を行っている、保育園が必要であると強く感じました。これは、このような保育施設ができることにより、少しでも早く職場に復帰し、仕事をしたいという人が、育児と仕事を両立するのに役立つからです。 また、大阪商業大学で見てきたような、保育センターが行政の運営で各地域に、設立されることも必要であると感じました。このような保育センターが地域に設置されることにより、いつでも、どのような事情に応じても子供を預けられることができるため、地域の奉仕活動や自己啓発活動などに気軽に参加でき、子育てをしながら社会との接点を持つ事ができます。このことにより、育児にのみに時間を費やすのではなく、自分のための時間を持つ事ができるので、より充実した子育てができるといえます。その他、子育てに関しての相談も気軽に出来るため、内にこもらず、心にゆとりのある育児ができます。 この他、女性の社会進出には、男女平等への意識変革や雇用主サイドの努力が必要であると考えます。 男女平等への意識変革に関しては、まだ世間一般 には男女平等に対する意識が浸透していなく、男女平等への意識変革が必要であるということを、行政サイドの視察に行き強く感じました。男女平等への意識変革の必要性に関しては、意識を変えて行かなければ女性の社会進出が進まないこと、いくら就労形態にあった保育施設が近くに在ったとしても、周りの理解がなければ、その施設を利用することが難しいこと、また、男女平等の意識が周囲に無ければ、このような施設を設置することも困難であるということ等が挙げられます。 男女平等の意識変革は、石和町で見てきたように(2ページA参照)住民に任せておけばスムーズに進む問題ではなく、市町村等の行政側がある程度住民を引っ張って行く形でないと進みません。しかし、全て行政まかせの意識変革を行ってしまうと、住民自らが学ぼうという意識がなくなってしまうので、ある程度行政側が引っ張って行ってから、住民に任せる形の意識改革が必要になってきます。このとき、行政側にはきちんとした知識が求められ、住民も自らが学ぶのだという気持ちが重要になります。 また、この意識変革に関しては、男性のみならず、女性の意識変革も重要となります。現在女性が社会進出するのに、同姓である女性が「家庭に入って家事・育児をこなし、男性を支えるのが女の幸せ」と考え、この考え方が存在しているため、女性の社会進出が進みにくい状況にあります。このため、女性も男女平等に対する勉強を積極的に行い、社会に進出する女性を応援し、自らも社会との係わり合いを持ち外に出て行くことが重要であると思います。 雇用主サイドの努力としては、保育施設に預けられる子供のことを考えると、長時間家とは違う場所で、親とは違う人と過ごす事は決して望ましい事ではなく、親が子供と長くいられる時間の確保が必要であると感じました。このため、雇用主側が育児中の男女に対する自宅就労やフレックスタイムなどといった制度の制定、育児休業を取得しやすい環境整備をおこなうなど、積極的な努力が望まれます。この問題は、民間企業に関しては、雇用主側だけに任せておくと解消されない問題であるため、行政側からの働きかけが重要になってくると思います。 最後に、家庭に入って家事・育児を行うのもひとつの道ですが、家事・育児を行いながら働くというのもひとつの道であると思います。現在は家庭に入るための道は開けており、これが幸せだと考えられがちです。しかし、人それぞれ自分に合った生き方をしていけることが、大切であると思います。このためには、今以上に色々な道が開かれ、選択できることが必要となってきます。 4.実施後の感想 保育園や幼稚園、行政機関に視察に伺うことにより、女性の社会進出に対しては、私たちが考えているほど簡単ではなく、社会全体が関わっていかなければ解決できない問題なのだということを知りました。 保育園・幼稚園に関しては「子供のために」ということを念頭に置き運営がなされていて、女性が社会進出するのに誰かが犠牲になってはいけないのだということが分かりました。 また、都会の保育園・幼稚園に伺ったので、地方とは違った問題があり、自分が当たり前だと考えていたことが、通 用せず、自分たちの住んでいる地方との比較ができ、とても面白かったです。 行政機関に関しては、住民に対して出前講座を行ったり、シンポジウムを開催したり、積極的に活動していました。私たちは、自分の知識を深めるためにもこのような行政機関が実施している講座などに参加し、学ぶことが重要であると感じました。 視察に伺う前は、関連図書などを使いこの問題に対する理解を深めていましたが、実際現場に行き、関係者の方々からお話しを伺ったり、現状を見たりすることによって、人やものから学ぶだけでなく、自分の目で現場を見て、話を伺い学ぶことがとても、大切であるということを感じました。 また、どこに視察に伺っても、ひとつひとつ細かく丁寧に説明してくださり、「分からない事は何でも聞いて、しっかり勉強していって、その結果 を世間に発信していってください。」と仰っていただき、私たちのことを真剣に受け止めてくれたことが、とてもうれしかったです。 5.御協力頂いた方々 |
Copyright (C) 2000 YGU planning &
public relations . All Rights Reserved.
|