第7回アジア空手道選手権大会(団体形)
大木格さん国際大会初出場 師匠と金メダル
2004年11月18日、大木(甲府第一高校)は長谷川スクールの片田貴士・入田佑・内海健治・河野仁志らと、メキシコ・モンテレー市のアリーナに居た。世界空手道選手権大会団体形6連覇の長谷川三兄弟が、第17回世界空手道選手権大会でイタリアに0‐5と完敗した瞬間を目の当たりにした。「師匠たちの7連覇は間違いないと思っていたので、信じられなかった」と振り返る。
帰国して、師匠たちの口から「新しくメンバーを選抜し、チャレンジャーとして、世界チャンピオン奪回を目指す」と告げられた。そして、メンバーが発表され師匠の長谷川伸一、長谷川行光の中に、大木が入っていた。「びっくり仰天しました。驚きから、喜び、そして闘志へと気持ちが切りかわっていきました」。それからは、無心で第7回アジア空手道選手権大会に向け、練習に集中し心・技・体を鍛えた。
空手は「小学校1年生のときに健康になるようにと始めました。小3のとき、父の仕事の関係で富士吉田から甲府に引っ越し、長谷川スクールの門を叩きました」健康のための空手が、競技としての空手に変わった。「小6のとき2位・3位決定戦で、延長にはいり相手は前回と同じ形、私は自分の得意としている形で臨んだ。これで、勝てると思い、気持ちよく自分の演武をしているうちに、形を突然に忘れてしまい負けてしまいました。試合の雰囲気に酔っていたかもしれません。自分が情けなくて。それが、今の練習の源になっている」と手を握り締めた。「中学生のとき、長谷川道場が火災にあい、北中学の武道場の開閉係りに抜擢され雨宮亨教頭と出会いました」自然に広い場所での練習時間が増えた。「雨宮先生は、いつも励ましてくれました。全国中学校選手権大会で優勝したとき、真っ先に先生に連絡しました『頑張ったから優勝という結果になったね。これで終わりじゃないからね』といわれ、これに満足せずに頑張ろうと思った」という。甲府第一高校に進学し3年生のとき、全国選抜空手道選手権形で2位となった。高校卒業後の進路は「山梨学院大在学中に個人形で世界チャンピオンに輝いた片田さんと、山梨学院附属高校のときインターハイと全国選抜空手道選手権のチャンピオンに輝いた内海(山梨学院大学2年在学)さんらの勧めと、何よりサポート体制が整っている山梨学院大学に決めた」。
大学1年の5月、2年に一度、秋に行われるアジア選手権大会が、今年は5月21日・22日にマカオで行われることとなった。マカオに入ると「外は猛暑と湿度が高く、会場は冷房が効きすぎて寒い、そのうえ食事の味に慣れなくて」と国際試合での調整の難しさを痛感していた。1回戦マカオに5対0、準決勝イランに5対0、決勝は勝ちあがってきたクウェート。「クウェートはウンス、日本はアーナンで試合に挑みました」審判員5人の判定は5対0と日本チームの完勝。大木は「優勝した瞬間、理屈なしに嬉しかった」と喜びを露わにした。
「『喜びに浸るのは、一週間にしょう』と師匠にいわれ、それからは来年11月18日の第18回世界空手道選手権大会団体形で優勝することを目指して精進しています」と答えた。長谷川三兄弟が失ったタイトル奪取に向け一直線に進む。
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