山梨県教育委員会・山梨県高等学校体育連盟・山梨陸上競技協会・毎日新聞甲府支局は11月3日、富士河口町の西湖畔周回コース(42.195キロ)で、男子第57回全国高校駅伝競走大会を行った。13チームが参加し紅葉に染まる西湖7区間で行われ、山梨学院のアンカー・古屋勇希(3年)が2位の山梨農林に2分39秒差をつける2時間13分48秒で都大路へのゴールテープを切った。第49回から9連覇を達成した山梨学院は、12月24日に京都市の西京極陸上競技場を発着点に行われる全国大会出場権を獲得した。また、1位 山梨学院、2位 山梨農林、3位 巨摩、4位 桂、5位 甲府工業、6位 韮崎は、11月25日に千葉県銚子で行われる男子第59回関東高校駅伝競走大会の出場権を獲得した。なお、女子は山梨学院が2年ぶり8回目の優勝となった。
男子13チームが午前11時00分に、西湖レストランハウス前を一斉にスタートした。山梨学院高は、1区のオンディバ・コスマス(2年)が、「今日は本調子でなかった。風邪と少し足が痛いのが気になっていたので、1キロはゆっくり入った」。それでもコスマスは、すぐに先頭に踊り出て独走態勢に入った。「2キロからは、体が動いた。風邪も足の痛みも気にならなくなった」と、爆走し後続を遥かかなたにおいた。「コンディションは悪かったが、チームのために頑張った」と、目標タイム29分を4秒上回る「このコースでは自己ベスト」と10キロを28分56秒で区間1位の走りで、2位の韮崎高校に2分54秒差をつけ、旧ガソリンスタンド前第1区中継所で待つ2区の山口主将に襷を手渡した。
2区の山口巧(3年)は、「コスマスがトップで来るのは分かっていたので、リラックスして襷をもらった」。「体調は良かったので、ペースオーバーで入ってしまった」。その付けで、「上りできつかった」とペースダウンした。しかし、気持ちを切り替え「2キロからは下りなので快調に飛ばせた」とペースを上げた。ラストは「1秒でも早く襷を渡したいと思い全力疾走した」と、区間1位で、3キロを9分10秒の目標タイムどおりに走り、2位の山梨農林に3分13秒の差をつけて、3区の西湖漁業組合駐車場第2区中継所で待つ尾崎に襷リレーした。
3区の尾崎博(2年)は、「わくわくして待っていた。でも、適度に緊張していた」ので、1キロは「楽に走れた」。しかし、「3キロ付近で、お腹の調子が悪くなって、横腹が痛くなった」。どうにか体調を良くしようと「前かがみになって痛みを殺した」。「スタート前の水の飲みすぎを後悔した」。「自分のもちタイムより遅いことは分かっていた」が、ブレーキになったらチームに迷惑がかかることを恐れ「取り敢えず、落ち着いて粘り強く走った」と、8.1075キロを目標タイムより41秒遅いタイムながら、区間1位の粘りの走りで、2位の山梨農林に7分20秒と差を広げ、西湖こうもり穴手前第3区中継所で待ち構える4区の松浦に襷を手渡した。
4区の松浦光(3年)は、都大路を走るために北海道の親元を離れ、山梨学院に入学してきた。「1年生のときは、脹脛(ふくらはぎ)の怪我で走れなかった。その後、手術を受け2年生のときはリハビリで走れなかった。だから、すごく嬉しかった」と、このチャンスに走れることに感謝し、襷を受け取った。「チームのリードが大きかったので、丁寧に1キロをゆっくり入った」。「2キロからペースを上げようとしたが、思うように上がらない。気持ちだけが前に行き空回りした」。中盤に差し掛かり向かい風もありペースが落ちた。「自分の課題、自分のウイークポイント。中盤を克服しなければと思い、歯を食いしばり辛抱しました」。残り1キロ、「自分の得意のラスト、自分の力を振り絞った」という走りで、8.0875キロを自己ベストより55秒遅い区間2位。2位の巨摩に3分14秒の差で、カーブミラー付近第4区中継所の5区・寺田に襷を手渡した。
5区の寺田篤哉(1年)は、「緊張して襷をもらい、1キロを過ぎてもタイムを測ることができなかった」。2キロから「下りに入ったので、走りのリズムを切り替えることができた」。「監督に『腕を早く振り、ペースを上げなさい』と言われていたので、落ち着いて切り替えることができた」。残り1キロは「気持ちで行った。少しでも早く襷を届けたいと、全力で走った」という走りで、目標タイムを11秒遅れるも9分36秒の区間1位の走りで、2位の巨摩に3分19秒の差で、青木原看板付近第5区中継所の6区・小池に襷を繋いだ。
6区の小池邦斗(2年)は、「自分のタイムより、アンカーにトップで襷を渡すことだけに集中」し、襷を受け取った。「1キロの入りはスピードもあり良かった」。2キロで「向かい風がすごくて、ペースダウンした」。3キロも風邪に悩まされ「タイムが落ちて、粘りの走りを強いられた」。「ラスト1キロは、必死で走り、残り300メートルで襷を取り、力の全てを出し切って走った」と、目標タイムより26秒遅れの4位で、2位の山梨農林に3分45秒離して、観岳園オートキャンプ場第6区中継所の7区アンカーの古屋に襷を届けた。
7区アンカーの古屋勇希(1年)は、「先輩たちがつないでくれた襷なので、責任を持ってゴールに運ぼう」と襷を受け取った。やや下っている1キロは「監督の指示通り抑えて入った」。「2キロ過ぎて、上りに入り腕を速く降ることに心掛けた」。「自信があったが、向かい風で思うようにペースが上がらなかった」。しかし、「折り返し地点で、気持ちを切り替えることができた」。「最後の直線は1秒を大切にして、一気に駆け抜けた」と、すごい勢いでゴールテープを切った。
山口巧主将は「今年は昨年に比べて戦力が弱いといわれていた。それを見返せて嬉しい。しっかり、練習して関東大会、全国大会では、強豪を一つでもくって、来年のチームにつなげる走りをしたい」と述べた。
渡辺繁生監督は「男子は9年連続、先輩たちのつくった伝統を襷でつないで行こうと、一丸となって戦った結果。山梨学院は6月に創立60周年を迎えた。私も還暦を10月に迎えた。子供たちがともに還暦を祝ってくれた。今年の4月に埼玉での校長職を1年速く辞め、都大路で存在感のあるチームを育てるために山梨学院高の駅伝の監督に就任した。その第一歩が選手とともに、踏み出せて感無量です。都大路では、一つでも上を目指し来年、再来年とつなげる駅伝を心掛けたい。少しでも多くテレビに写る位置で勝負したい」と語った。
順位は、優勝・山梨学院高校(2時間13分48秒)、2位・山梨農林高校(2時間16分27秒)、3位・巨摩高校(2時間16分31秒)、4位・桂高校(2時間21分02秒)、5位・甲府工業高校(2時間23分13秒)、6位・韮崎高校(2時間23分37秒)、7位・山梨園芸高校、8位・日川高校、9位・北杜高校、10位・塩山高校、11位・都留高校、12位・日大明誠高校、13位・富士学苑高校となった。
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