第30回 全日本選抜ショートトラックスピードスケート選手権大会
兼ワールドカップ(北米地区大会) 兼アジア冬季競技大会(中国)選手選考会
男子総合 伊藤(山学大)1500m、寺尾(トヨタ)500m優勝でタイ 
〜 女子総合 2冠で神野由佳(ALSOK綜合警備)〜
 

日本スケート連盟(橋本聖子会長)は、11月11日、東京都・江戸川区スポーツランドで第30回全日本選抜ショーとトラックスピードスケート選手権大会1日目を行った。今大会は、2006/2007ショートトラックスピードスケートワールドカップ派遣選手選考競技会(北米地区大会)と、アジア冬季競技大会(2007/中国・長春)日本代表選手選考競技会が、兼ねられている。参加選手は、東日本、西日本、南日本の各ショートトラックスピードスケート選手権大会で選考された男子68名、女子67名。今日の競技は男子・女子ともに、1500メートルと500メートル決勝が行われ、『男子』は「1500メートル」優勝 伊藤潤二(山梨学院大学)、「500メートル」優勝 寺尾悟(トヨタ自動車)。『女子』は「1500メートル」と「500メートル」で神野由佳(ALSOK綜合警備)が優勝した。この結果、男子総合は伊藤潤二と寺尾悟がともに34得点で1位タイ。女子総合は神野由佳(ALSOK綜合警備)が68得点で1位となった。明日最終日は、男・女1000メートル、男・女3000メートル・スーパーファイナルが行われる。また、各大会派遣選手選が発表される。


今大会は、ワールドカップ(北米地区大会)と、アジア冬季競技大会(2007/中国・長春)の日本代表選手選考競技会が兼ねられている。総合順位4位までがアジア大会、5位までがワールドカップの出場権を獲得できる。第1日目の今日は、男子68名、女子67名が参加して行われ、男女の1500メートルと500メートルの、予備予選、予選、準決勝、決勝と熱戦が繰り広げられた。
『男子1500メートル』は、トリノオリンピック出場選手が準決勝まで全員(西谷岳文氏の引退を除く)が姿を消す波乱の幕開けとなった。予備予選で藤本貴大(山梨学院大)が独滑走でゴールする際に、キッキング(足をあげ危険な行為)を取られて失格すると、予選で末吉隼人(早稲田大学)が、準決勝で有野美治(M8クラブ)と寺尾悟(トヨタ自動車)が敗退した。決勝は、6レーンからスタートした伊藤潤二(山梨学院大学)が、後方2番目で様子をうかがい、半周で先頭を奪う。2周で古屋憲吾(早稲田大学)が伊藤を抜き、トップを奪う。伊藤は3周には田上真一(慶應義塾大学)に抜かれ3位に後退。しかし、残り4周で伊藤が動いた。「前がぶつかったりしていたので、勝負どころと見て前に出た」と、先頭を奪還した。「スピードが出なかったので、インを強めにしめ、後方を詰まらせながら、足を動かしていた」と、残りの周回も危なげなく滑走しゴールインした。これで伊藤は、男子総合で34点を獲得しトップに躍り出た。
『男子500メートル』は、総合トップの選手だけがかぶれる赤い帽子で、伊藤が予備予選に登場した。伊藤は、予選、準々決勝とトップで通過した。しかし、準決勝で、残り2週目で先頭を滑っていた藤本貴大(山梨学院大)と直線で接触、二人がコーナーまでもつれて転倒し、藤本とともに敗退した。決勝は、3連覇8回目の優勝を狙う寺尾悟(トヨタ自動車)が指導権を握り、2位の坂下里士(相模原SSC)と、3位の吉澤純平(山梨学院大学)を貫禄で押さえてゴールインした。寺尾は男子総合で34点を獲得しトップタイとなった。
総合5位の吉澤純平(山梨学院大学)は「準決勝では運が良かった。その運を決勝で上手く生かし3位になった。明日、今日つかんだレースの流れを大切に頑張りたい」と述べた。
総合トップタイの伊藤潤二(山梨学院大学)は、10月27日から3日間、韓国全州市で開かれたワールドカップ第2戦に参戦して、帰国後の11月5日には長野県・帝産アイススケートトレーニングセンターで第29回全日本学生ショートトラックスピードスケート選手権大会を戦っての、全日本選抜入りとなった。1500メートルは「連戦で、体力がなく、その上に軟らかいリンクコンディションでスピードに乗れないことを考え、省エネで体力を温存して決勝に臨んだ。決勝ではスピードが出ないリンクなので、先週の野辺山での『インを強くしめて』というシミュレーションが生きたレースだった」。500メートルは「準決勝で、転倒し決勝に残れなかったが、自分の積極的なレースでの結果なので気にしない。明日は寺尾先輩を目標に勝ちに行くレースをしたい」と、早くも気持ちを切り替えて初の総合優勝を意識していた。
篠原祐剛コーチは「氷が軟らかくて滑らなかった。その分、上手いレースをしていた。特に伊藤の滑りが光った。伊藤は明日の1000メートルが勝負となる。いかに寺尾選手に勝つかがポイント。3000メートル・スーパーファイナルに勝負を持ち込めれば初の総合優勝も夢ではない。藤本は、最後まで1500メートルの予備予選失格が響いた。それが、500メートルでの焦りにつながり、無理をしなければ1位・2位通過だったが、結局、高い得点をあげるための決勝を睨んで、コース取りで譲れなくなったのが原因。実力はあるのだから、明日は予備予選から形振り構わず無我夢中で挑んで大逆転をしてもらいたい。吉澤は、5位につけているので、アジア、ワールドカップ、ユニバーシアードの3点セットを狙ってもらいたい。他の選手もチャンスはある最終日を集中して頑張ってもらいたい」と述べた。
川上隆史監督は「選手たちは、始め軟らかい氷に悩まされた。ホームの小瀬や先週の野辺山は氷が硬くスピードが出るリンク。体が硬い氷に慣れているので、スケート靴の調整や滑るタイミングが微妙に合わなかった。やっと、1500メートルが終えて、調子が上がってきた500メートルの準決勝で、決勝を意識して伊藤と藤本は真剣勝負をした。先週のような団体戦なら譲り合い1位・2位通過だった。そうしれば、総合での戦いが楽になったと思う。両者は日本のトップ選手。実力では負けていないので、明日巻き返してもらいたい。吉澤純平はトップに食い込むチャンス。他の選手は、36位以内を目標に頑張っている。今日で、全員が氷の感触を体で覚えたと思う。明日のレースに備えて、当たり前のことだが気持ちを切り替えて、早く寝て体を休めて悔いのないレースをしてもらいたい」と語った。
■1500メートル決勝 ※アルバムはこちら
【 男 子 】1位 伊藤潤二(山梨学院大学3年)、2位 角張文彦(株式会社サンコー)、3位 田上真一(慶應義塾大学)。
【 女 子 】1位 神野由佳(ALSOK綜合警備)、2位 古屋由布子(SANIX)、3位 古賀あや(福岡SSC)。

■500メートル決勝 ※アルバムはこちら
【 男 子 】1位 寺尾悟(トヨタ自動車)、2位 坂下里士(相模原SSC)、3位 吉澤純平(山梨学院大学)。
【 女 子 】1位 神野由佳(ALSOK綜合警備)、2位 伊藤亜由子(トヨタ自動車)、3位 飯塚容子(イズミテクノ)。

■総合得点ベスト5
【 男 子 】1位 伊藤潤二(山梨学院大学3年)34得点、2位 寺尾悟(トヨタ自動車)34得点、3位 坂下里士(相模原SSC)21得点、4位 角張文彦(株式会社サンコー)21得点、5位 吉澤純平(山梨学院大学)13得点、6位 田上真一(慶應義塾大学)13得点。
【 女 子 】1位 神野由佳(ALSOK綜合警備)68得点、2位 伊藤亜由子(トヨタ自動車)29得点、3位 古屋由布子(SANIX)21得点、4位 古賀あや(福岡SSC)13得点、5位 飯塚容子(イズミテクノ)13得点。