日本スケート連盟(橋本聖子会長)は、11月12日、東京都・江戸川区スポーツランドで第30回全日本選抜ショーとトラックスピードスケート選手権大会最終日を行った。今日の競技は男子(68名)・女子(67名)ともに、1000メートル決勝と3000メートル・スーパーファイナルが行われ、男子は1000メートル優勝 伊藤潤二(山梨学院大学)、3000メートル・スーパーファイナル優勝 田上真一(慶應義塾大学)。女子は1000メートルと3000メートル・スーパーファイナルともに神野由佳(ALSOK綜合警備)が優勝した。今大会2日間の結果で、男子総合は伊藤潤二が89得点で、3連覇8回目を目指した寺尾悟(トヨタ自動車)を32点抑えて初の総合優勝に輝いた。女子総合は、神野由佳が136得点で2位 古屋由布子(SANIX)に86点の差をつけ2連覇を達成した。各大会派遣選手選は、アジア大会に「男子」伊藤、寺尾、田上、坂下里士(相模原SSC)、「女子」神野、古屋、伊藤亜由子(トヨタ自動車)、酒井智美(筑波大学)。ワールドカップに「男子」伊藤、寺尾、田上、坂下、吉澤純平(山梨学院大学)、古屋憲吾(早稲田大学)、「女子」神野、古屋、伊藤、酒井、桜井美馬(武蔵野学院)、小口絵里(日本体育大学)が発表された。なお、ユニバーシアード(1月17日〜27日 イタリア・トリノ)出場に男子・吉澤純平が内定した。
全日本選抜選手権大会最終日は、アジア冬季大会(1月28日〜2月4日 中国・長春)、ワールドカップ大会(北米 第1戦 12月1日〜3日、第2戦 12月 8日〜10日 )代表を賭け男子は総合1位の伊藤潤二(山梨学院大学)34得点と2位の寺尾悟(トヨタ自動車)34得点が同得点で並び総合優勝を賭け鎬を削った。女子は総合1位 神野由佳(ALSOK綜合警備)が68得点を上げ、2位 伊藤亜由子(トヨタ自動車)29得点を大きく上回り総合2連覇に大手をかけた。また、全日本出場ラインの36位以内を目標に各選手が全力滑走した。
『男子1000メートル』 |
準決勝で藤本貴大(山梨学院大学)が周回ラストのコーナー付近で他選手によるインフィールドの妨害を受け3位でゴールしたが、アドバンスで決勝に進出した。決勝は、スタートから寺尾悟(トヨタ自動車)が抜け出し先頭、続いて古屋憲吾(早稲田大学)、3位に伊藤潤二(山梨学院大学)がつける。2周目に伊藤が「早めに先頭を取ることを決めていた」というとおり、寺尾の前に出た。吉澤純平(山梨学院大学)は「前で勝負をしたかった」と、4周目で伊藤の次の2番手につけた。藤本貴大が「力を温存して、後からまくろうと思った」と、ラスト2周目にインから仕掛けた。先頭を行く伊藤潤二は「裏から来る気配がして、軽く触れられたがしのいだ」と、そのままトップを滑走。藤本は「思うようにスピードが乗らなかった」と、コーナーでバランスを崩し転倒。伊藤、吉澤、寺尾と続く。寺尾はラスト1周の吉澤のコーナーのわずかな隙をつき2位に浮上。伊藤を追撃するがとどかず、伊藤がそのまま逃げ切りゴールした。
伊藤潤二は「早めに先頭に立とうと思っていた。自分の思いどおりの試合ができた。藤本先輩と軽く当たったがレースに障害はなかった」と、答えた。 |
『3000メートル・スーパーファイナル』 |
伊藤潤二(山梨学院大学)は後列のいちばん外側のアウト9番目のスタートとなった。先頭は古屋憲吾(早稲田大学)、2番手に寺尾悟(トヨタ自動車)、伊藤潤二は「寺尾先輩だけをマークしていこうと思った」と、5番手で様子をうかがう。17周でペースは上がるが順位の変動はない。21周目で、田上真一(慶應義塾大学)が仕掛けた。目まぐるしく順位が変わる。伊藤は「寺尾先輩の息遣いが20周ごろから荒くなったので、仕掛けるタイミングを計っていた」と、25周残り2週で寺尾を追い抜き、田上に続いて2位でゴールした。この瞬間、篠原祐剛コーチ以来、9年目となる総合優勝を山梨学院大学にもたらした。 |
総合トップタイの伊藤潤二(山梨学院大学)は、「総合優勝を狙っていた。狙って取れた初総合優勝なので嬉しい。山梨学院大学として篠原コーチ以来の9年ぶりの総合優勝で、山梨学院大学の名前が再び歴史に刻み込むことができて光栄。これを励みに、世界で上を目指し悔いのないチャレンジをしていきたい」と語った。
篠原祐剛コーチは「山梨学院大学から、総合優勝者を出すことを第一の目標として取り組んできた。それが、伊藤潤二の頑張りで達成できて感無量。また、最低の目標として、全員が全日本選手権出場権(京都市 2月24日・25日)を獲得することを掲げて臨んだ。その結果、最終日に女子の郷亜里砂が諦めずに必死で戦い全員がクリアし、チームとしても底上げができた大会だった。前回の大会もそうだが、個人個人の頑張りは勿論のこと、キャプテンとしての吉澤純平の頑張りが光る。その結果、自らもワールドカップとユニバーシアード(内定)の出場権を手中に収めた。伊藤は前回のワールドカップ6位入賞の経験を生かし気持ちを入れて戦ってきてもらいたい。吉澤は3年ぶりのワールドカップ、思い切った戦いをしてきてもらいたい。国内に残る選手は、11月25日・26日に野辺山で第7回全日本学生個人選手権大会兼ユニバーシアード選考会が行われる。4枠の出場権に向けて全力で挑んでもらいたい」と述べた。
川上隆史監督は「伊藤は、山梨学院大学初代優勝者の現在コーチの篠原祐剛以来、9年目となる総合優勝をした。日本の中心選手の寺尾選手を破っての総合優勝、しかも堂々と渡り合っての勝利は立派。また、吉澤はキャプテンシーでチームを導き、自らも活路を開いた。チームは、1日目に氷の質や優勝候補の藤本貴大の失格などで、ムードが落ち込んでいたが、吉澤と伊藤の頑張りで持ちこたえてくれたのが大きかった。そのため、2日目の最終日は、山梨学院らしいレベルの高いパワフルな戦いが展開できた。その結果、男子は全日本選手権出場の36名中、8名が出場権を得て、約4分の1を占めチームの力が発揮でき満足している。チームがこの勢いで切磋琢磨し、2010年カナダバンクーバーオリンピックの中心的存在になるよう成長してもらいたい」と語った。
1000メートル決勝 ※アルバムはこちら
【 男 子 】1位 伊藤潤二(山梨学院大学3年)、2位 寺尾悟(トヨタ自動車)、3位 吉澤純平(山梨学院大学)。
【 女 子 】1位 神野由佳(ALSOK綜合警備)、2位 桜井美馬(武蔵野学院)、3位 酒井智美(筑波大学)。
3000メートル・スーパーファイナル ※アルバムはこちら
【 男 子 】1位 田上真一(慶應義塾大学)、2位 伊藤潤二(山梨学院大学)、3位 坂下里士(相模原SSC)。
【 女 子 】1位 神野由佳(ALSOK綜合警備)、2位 古屋由布子(SANIX)、3位 小口絵里(日本体育大学)。
■総合順位5位
【 男 子 】1位 伊藤潤二(山梨学院大学)、2位 寺尾悟(トヨタ自動車)、3位 田上真一(慶應義塾大学)、4位 坂下里士(相模原SSC)、 5位 吉澤純平(山梨学院大学)
【 女 子 】1位 神野由佳(ALSOK綜合警備)、2位 古屋由布子(SANIX)、3位 伊藤亜由子(トヨタ自動車)、4位 酒井智美(筑波大学)、5位 桜井美馬(武蔵野学院)
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