全日本柔道連盟、RKB毎日放送などは12月17日、福岡国際センターで第24回福岡国際女子柔道選手権大会(最終日)の無差別・57kg・52 kg・48kgを行った。講道館杯78s超級準優勝の松原知美(山学大4年)は、大会直前で無差別に新規エントリーした。1回戦で中国の李一清と対戦。松原は延長戦に入って、李を2分31秒の間、終始攻めて指導勝ちを収め準々決勝に進出した。準々決勝では、ドイツのビーンドゥワッファーV.に敗れ、敗者復活戦に出場したが、第2試合場ファイナルでモンゴルのツェレンハンドD.に破れ3位決定戦への出場はならなかった。また、57kg級期待の野中未奈(山学大4年)はまさかの1回戦敗退となった。
福岡国際女子柔道選手権大会は、世界柔道連盟が認定する世界4大トーナメントの一つ。今回は、ヨーロッパ地域(13か国)、アジア地域(8か国)、オセアニア地域(2か国)、アメリカ地域(2か国)の世界25か国、127選手が参加して行われた。日本からは24選手が出場した。
講道館杯78s超級準優勝の松原知美(山梨学院大学4年)は、78s超級の塚田真希(綜合警備保障)が怪我で欠場し、薪谷翠(ミキハウス)が無差別から78s超級へ階級変更したため、無差別に新規エントリーした。
松原は、第1回戦で5分間の一進一退の攻防の末、効果か指導以上で試合が決着する延長戦へと突入した。松原は、延長戦に入って2分31秒を終始攻めて指導勝ちを収めた。第2回戦はドイツのビーンドゥワッファーV.選手と対戦し、1分30秒の小外掛と袈裟固の合わせ技一本で負けた。このあと松原は敗者復活戦に出場し、第2試合場ファイナルで、モンゴルのツェレンハンドD.に破れ3位決定戦出場はならなかったが7位となった。
松原知美は「いろいろな偶然が重なって、国際大会に初めて出場できました。無差別の選手は体も大きいし、技もすごい選手ばかりでした。戦い前に、全日本の監督に『最初で最後のつもりで行け』と言われ、山学大の西田総監督や山部監督には『負けてもともと、失うものは何も無い』とに送り出されました。無差別の7位、自分自身が一番びっくりしています。諦めずに一生懸命頑張っている私に、神様がご褒美を与えてくださった」と、満面笑みで述べた。
■優勝 薪谷翠(日本)、2位 ビーンドゥワッファーV.(ドイツ)、3位 立山真衣(日本)、馬籠恵子(日本)、5位 モンディエールA.(フランス)、ツェレンハンドD.(モンゴル)、7位 鄭智元 チョン・ジウォン(韓国)、松原知美(日本)。
2005年2006年全日本学生体重別優勝の野中未奈(山梨学院大学4年)は、第1回戦をチャイニーズタイペイのチェンY.チェン・ユウアル選手と戦い、試合開始9秒のあわやの内股一本で敗退となった。敗者復活戦には、チャイニーズタイペイのチェンY.チェン・ユウアル選手が準々決勝で敗れたため進出できなかった。
野中未奈は「初めての国際大会出場。今日は、柔道が全然できなかった。悔いが残る試合だった。後に戻ることができないので、気持ちを切り替えて、一生懸命に練習を積み、再び世界を目指したい」と、決意を新たに述べた。
■優勝 ソニナO.(ロシア)、2位 モンテイロT.(ポルトガル)、3位 宮本樹里(日本)、佐藤愛子(日本)、5位 閻学蘭 ヤン・シュエラン(中国)、フィッツモザーS.(オーストリア)、7位 チェンY.チェン・ユウアル(チャイニーズタイペイ)
山部伸敏山学大女子監督は「松原は無差別では、体が小さく、厳しい戦いになると思っていたが、中国の選手を破り、自分の持っている力を存分に出し切って勝利した。とにかく良くやった。小さい体で、無差別の大きな選手を相手に戦い、価値ある1勝をあげてくれた。中野は、残念の一言。本人の力を出し切ったのなら納得がいくが、力を出す前にやられ無念。本人は、ここまで来る間にものすごいプレッシャーがかかったと思う。しかし、現実を受け止めて、反省すべきところは反省して、気持ちを速く切り替えてもらいたい。いろんな意味で一皮も二皮もむけたと思う。これからは、全日本選抜に目標を絞り自力をあげて、再び世界に挑戦し頂点を目指してもらいたい」と語った。
西田孝宏山学大総監督は「松原は相手の組手を許さない自分の得意な形で戦い抜き、世界で強豪の中国の選手を破り大金星をあげた。最後の最後まで終始攻めて攻め抜いて試合を運び、自分の体の倍ある選手に勝った。全日本監督もコーチも大健闘と称えていた。野中は、9秒で負けた。勝負の恐ろしさを感じた筈。わずか一瞬でも相手の形を許せば負ける。その瞬間、何か心の緩みが無かったか。このままでは、終われない。日夜精進して、この屈辱感から脱して、世界を目指してもらいたい」と語った。
この大会は、1983年に女子の柔道のレベル向上を目的として、福岡で開催され世界女子柔道の草分け的存在となった。山口香の第3回からの2連覇、田辺陽子の第6回から第9回までの4連覇(6回優勝)や、谷亮子(旧姓 田村)が中学3年生で第8回に初出場初優勝から11連覇(12回優勝)など、世界各国から多くの世界チャンピオンを生み出し、日本や世界を沸かせた。福岡で種がまかれ育った世界女子柔道は、来年から東京で開催される「嘉納治五郎杯東京国際柔道大会」に引き継がれ、男女同時開催となる。24回の今回で幕を下ろす福岡国際女子柔道選手権大会は、この記念すべき日に谷亮子選手(旧姓 田村)の長年の功績を称え、花束とメモリーカップを贈った。
■ 第1日目の優勝者
63kg級・デコスL.(フランス)、70kg級・渡邉美奈(日本) 、78kg級・中澤さえ(日本)、78kg超級・徐麗輝 シュー・リーフィ(中国)
■ 最終日の優勝者
無差別・薪谷翠(日本)、57kg・ソニナO.(ロシア)、52 kg黄麗紅 ホアン・リーホン(中国) 、48kg・福見友子(日本)
アルバム | 松原知美 | 野中未奈 | 谷亮子セレモニー | |