関東学生陸上競技連盟主催、読売新聞社共催は1月2日、東京・大手町読売新聞社前から箱根・芦ノ湖駐車場前(5区間108.0km)で、新春の風物詩20校が参加してタスキリレーする第83回東京箱根間往復大学駅伝競走の往路を行った。前回準優勝21回出場の山梨学院大は、2区のメクボ・ジョブ・モグス(2年)がタスキを11位で受け取ると9人抜きの2位に浮上し、残り1kmで両膝に激痛がはしりペースダウンし6位とした。山梨学院は一時12位まで落ちたが、5区の小山祐太主将(4年)が3人抜きを演じ、チーム成績5時間39分48秒の9位で箱根・芦ノ湖駐車場前のゴールテープを切った。往路優勝は、5区の今井正人(4年)で4人抜きした順天堂大学が8回目となる往路優勝を果たした。明日の復路スタートは、1位の順天堂大8時00分、9位の山梨学院大学8時06分35秒となった。
往路(5区間108.0km)、復路(5区間109.9km)の10区間217.9kmで争われる第83回東京箱根間往復大学駅伝競走。山梨学院は、1区 飯上幸哉(4年・智弁学園)、2区 メクボ・ジョブ・モグス(2年・山梨学院大附)、3区 宮城真人(2年・開新)、4区 荒木宏太(4年・鎮西)、5区 小山祐太(4年・佐久長聖)で臨んだ。
1区 21.4km[大手町読売新聞社前から鶴見市場交番前]
午前8時00分東京・大手町読売新聞社前、前回優勝の亜細亜大学を始め20校のスピードランナーが一斉にスタートした。前回準優勝校山梨学院はハーフを3分台で走り力をつけた飯上幸哉(4年・智弁学園)。飯上は「東海と東洋は先行すると思っていたので、追随する気はなかった」と、東海大学の佐藤悠基(2年)と東洋大学の大西智也(2年)の飛び出しにも動じず第3集団を形成していく。蒲田駅前15.3km付近で「給水して、ペースが上った」と、3位グループは山梨学院を含め5校となった。しかし、1秒差に残り13校がひしめく混戦。飯上は「六郷橋でさらにスピードが上がり集団が崩れた」と、18km付近で19位に落ちた。「いつもモグスに負担をかけるので、ラストスパートは必死で走った」と、1時間05分42秒の11位で、1位の東海大学に4分36秒差。5位の日本体育大学に7秒差の位置で、第1鶴見中継所の笑顔で待つ2区のメクボ・ジョブ・モグスにタスキを託した。
■1位 東海大学 2位 東洋大学 3位 城西大学 4位 専修大学 5位 日本体育大学 6位 日本大学 7位 亜細亜大学 8位 中央学院大学 9位 早稲田大学 10位 國學院大學 11位 山梨学院大学
2区 23.2km[鶴見市場交番前から古谷商事前]
学生最強でチームに活力をもたらすメクボ・ジョブ・モグス(2年・山梨学院大附)は、飯上からタスキを受け継ぐ。モグスは「絶好調、東海もいける」と、0.55km付近で6人、1.5km付近で2人を、3.4km付近で東洋大を抜き2位に浮上した。「自然に体が動いた」とトップとの差を3分31秒と縮め横浜駅前を通過。モグスは10kmを27分20秒と、区間記録保持者の三代直樹(順大1999年)さんを1分33秒上回るハイスピードで爆走。14km付近でから約20m上る権太坂では2分47秒と肉迫。15km地点の給水ポイントで差し出されたモグスは、ドリンクを「給水しなくても大丈夫」と受け取らずに激走。しかし、残り約1kmで「右足の膝が痛くなって、左足も激痛がはしった」と、ペースダウン。後続の東洋大学、早稲田大学に抜かれ、さらに専修大学、日本体育大学に抜かれた。モグスは「オツオリさんの『絶対、諦めない』という言葉が後押ししてくれた」と、1時間08分53秒の走りでチーム順位を6位とし、1位の東海大学に5分30秒差、後続の7位の中央学院大学に18秒差で、第2戸塚中継所で待つ3区の宮城にタスキを手渡した。
■1位 東海大学 2位 東洋大学 3位 早稲田大学 4位 専修大学 5位 日本体育大学 6位 山梨学院大学 7位 中央学院大学 8位 日本大学 9位 神奈川大学 10位 明治大学
3区 21.5km[古谷商事前から花水レストハウス前]
チームに新たな勢いをつけてくれる宮城真人(2年・開新)は、「いつもモグスにはチームが助けてもらっているので、今度は自分たちがモグスを助けないといけない」と、決意を新たにしてタスキを受け取った。「400m上がっているので最初はじっくりと走った」と、やや抑え気味で入った。1.5km付近で日本大学、そして中央学院大学に抜かれ8位に後退。その後は、5km付近の遊行寺の坂を順調に越え、「13kmまでは、自分の走りができた」。しかし、「中央大学の上野裕一郎選手と順天堂大学の松岡佑起選手に抜かれて500m追随したが、これは自分のペースでないと自重したが自分のペースが乱れてしまった」と、追い上げることはできなかった。宮城は1時間05分53秒の走りでチーム順位を10位とし、1位の東海大学に5分27秒差、後続の11位の城西大学に1秒差で、第3平塚中継所で待つ4区の荒木にタスキを手渡した。
■1位 東海大学 2位 早稲田大学 3位 東洋大学 4位 日本大学 5位 日本体育大学 6位 専修大学 7位 中央学院大学 8位 中央大学 9位 順天堂大学 10位 山梨学院大学
4区 18.5km[花水レストハウス前からメガネスーパー本社ビル前]
荒木宏太(4年・鎮西)は、入りはダッシュして、中盤調整して、ラスト3キロで全力疾走することが持ち味の選手。この区間は、中長距離選手のために前回から2.5km短縮された最短コース。荒木は夏からの車山のトレーニングで自信を覗かせていた。しかし、「スタートダッシュが、箱根駅伝独特の沿道の声援にのまれてできなかった」と、出鼻から荒木の持ち味がそがれると、本領が発揮できずに駒沢大学と城西大学に抜かれ沈んだ。これまで荒木は、出雲駅伝、全日本駅伝で快調に飛ばしてチームに貢献してきた。「最初で最後の駅伝で初めて屈辱感を味わった。最悪でもシード権の位置で勝負したかった」と、唇を噛んだ。荒木は57分43秒の走りでチーム順位を12位とし、1位の東海大学に7分12秒差、後続の11位の関東学連選抜に1分2秒差で、第4戸塚中継所で待つ5区の小山主将にタスキを託した。
■1位 東海大学 2位 東洋大学 3位 日本大学 4位 早稲田大学 5位 順天堂大学 6位 日本体育大学 7位 中央学院大学 8位 専修大学
9位 駒澤大学 10位 亜細亜大学 11位 城西大学 12位 山梨学院大学
5区 23.4km[メガネスーパー本社ビル前から箱根・芦ノ湖駐車場前]
安定感抜群の主将の小山祐太(4年・佐久長聖)は、12位でタスキを受け取ると「流れが悪かったので自分のところで流れを変えようと思いスタートした」。「登りのスペシャリスト上田監督に、車山合宿でお前は上りに向いていると言われ自信が持てた」と、落ち着いてレースを展開する。5km地点の箱根湯元では城西大学と亜細亜大学をかわしていて10位に浮上。大平台と小涌園前の間で明治大学に抜かれるものの「焦らずに自分のリズムを守り、走っていると頂上で明治を抜き返せた」と、再び10位とした。元箱根を走り芦ノ湖に入ると「東洋大学が前方に迫ってきたので抜こうと思いラストスパートをかけた」と、ゴール寸前で東洋大学を抜き去る劇的な力走で、1時間21分37秒のチーム順位9位と、明日につながる箱根・芦ノ湖駐車場前のゴールテープを切った。
■1位 順天堂大学 2位 東海大学 3位 日本体育大学 4位 早稲田大学 5位 日本大学 6位 中央学院大学 7位 駒澤大学 8位 専修大学
9位 山梨学院大学 10位 東洋大学 11位 明治大学 12位 城西大学 13位 亜細亜大学 14位 中央大学 15位 大東文化大学 16位 法政大学 17位 神奈川大学 18位 國學院大學 19位 国士舘大学 20位 関東学連選抜
小山祐太主将は「今日のモグスの走りに驚くというより、モグスも我々と同じ選手なのだと思った。この流れをどうにかしたかった。自分が堰き止めて流れを変えるしかないと思い。頑なに自分の走りに拘った。最後の最後まで勝負を捨てずに攻めた。ゴール手前で東洋大を捕らえられることができて、山梨学院らしい走りができたと思う。往路の選手の気持ちが、明日の復路の選手に伝わったと思う。明日は精一杯応援したい」と語った。
飯島理彰コーチは「エース・モグスが崩れたら致命傷。それを救ってくれたのが小山主将。明日は、全ての区間で勝負を賭けたい。1区間1区間の勝敗が総合順位を生む。ミスしたチームが沈み、健闘したチームが浮上する。これが勝負の摂理。前後2分に、上は日大、下は大東大の範囲で混戦。何が起こるかわからない、1秒を惜しんで果敢にチャレンジしてもらいたい」と述べた。
上田誠仁監督は「2区のモグスは昨年の反省がいかされていなかった。20キロ手前でモグスらしい体の動きが止まった。3区の宮城はゆったり入りそのまま最後まで行ってしまった。主将・小山は模範的な素晴らしい走りをした。最後の東洋大を抜く走りは、今日の悪い流れを払拭し、明日に繋がる走りをしてくれた。明日は山下りでペースを掴み、その後の区間も思い切り走ってもらいたい。明日は監督として、3位以内とシード権争いの両方を念頭において闘いたい」と語った。
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