天皇杯 平成18年度全日本レスリング選手権大会
山梨学院大男子 中野(4年)ラストゲームで天を仰ぐ
〜 アテネ五輪代表F 小幡74キロまさかの準決勝敗退 〜
 

日本レスリング協会(福田富昭会長)は1月27日、東京の駒沢オリンピック公園総合運動場体育館で、天皇杯 平成18年度全日本レスリング選手権大会第2日目を行った。男子のグレコローマンスタイルとフリースタイル、女子レスリングの3スタイル8階級が行われた。山梨学院大学男子は、男子グレコローマンスタイル55s級の北岡利之(1年)と男子フリースタイル66s級の森川一樹(1年)が1回戦で、74s級の奈良部嘉明(2年)と中野大樹(4年)が2回戦でともに敗退した。ALSOK綜合警備保障に就職が決まりレスリングと決別する中野は「4年生で集大成の筈のラストゲームで悔いが残る試合をした」と天を仰いだ。また、山梨学院大学卒業生のフリースタイル74s級アテネ五輪代表の小幡邦彦(ALSOK綜合警備保障)は準決勝で萱森浩輝(新潟県央工業高)に敗れ大学1年からの8連覇はならなかった。


山梨学院大学から男子グレコローマンスタイル55s級の北岡利之(1年・日野)、男子フリースタイル66s級の森川一樹(1年・霞ヶ浦)と74s級の奈良部嘉明(2年・霞ヶ浦)、中野大樹(4年・霞ヶ浦)の4名が出場した。

☆ 北岡利之(男子グレコローマンスタイル55s級)
☆ 〜 力の差に脱帽 攻めと守りの強化を決意 〜

●1回戦  対 平井進悟(ALSOK綜合警備保障)
北岡利之(1年)は、1回戦をBマットで平井進悟(ALSOK綜合警備保障)と対戦。両者は攻め手を欠き第一ピリオド試合開始から1分が経過した。グレコローマンのルールでクロス・ボディ・ロックの攻防が行われる。コイントスで相手に先に攻撃権を奪った北岡は、相手がマットにひざまずき両手をつけると、攻撃を仕掛けたが相手にスイッチされ逃げられ、30秒間攻め切れずに相手に1ポイントを献上した。さらに相手に攻撃権が移り、返されて2ポイントを失い第一ピリオドを落とした。
▲第二ピリオドも、両者攻め手を欠き1分が経過。クロス・ボディ・ロックの攻防が行われる。北岡は、コイントスで相手に攻撃権を奪われたがローリングを3回され6ポイントを奪われテクニカルフォールで負けた。

●北岡は「力の差があった。ローリングが強かった。こらえることができなかった」と脱帽。「グラウンドでの攻めと守りを練習し力をつけたい」と決意を述べた。
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☆ 森川一樹(男子フリースタイル66s級)  
☆ 〜 第三ピリオドに油断 1回戦敗退を糧に来年の躍進誓う 〜

●1回戦  対 佐藤吏(早稲田大学)
森川一樹(1年)は1回戦をAマットで佐藤吏(早稲田大学)と対戦。第一ピリオド開始から、頭を抑えて攻撃を仕掛けるが、2分が過ぎ0対0で終わった。ルールにより、コイントスで相手に攻撃権が与えられた。森川は片足へのタックルをされる状態から試合を開始。森川は相手にポイントを奪われ、第一ピリオドを取られた。
▲第二ピリオドも森川が攻めるが決め手を欠き、2分が過ぎ0対0で終わった。コイントスで森川は、攻撃権を獲得。ポイントを奪い第二ピリオドを取りタイとした。
▲第三ピリオド、森川は相手の頭を抑えて攻撃を仕掛けるが、バックを奪えない。中盤、相手がタックルから足取りそしてバックと仕掛けられ1ポイントを失った。終盤、足取りからバックを取られ2ポイント目を奪われ第三ピリオドを取られ、1対2で負けた。

●森川は「最後隙を見せてしまった。まだまだです。天皇杯全日本選手権は高校3年から出場して2年連続。油断し隙を見せた。練習して、来年は勝ち続けたい」と、1回戦敗退を糧に来年の躍進を誓った。
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☆奈良部嘉明(男子フリースタイル74s級) 
☆〜 果敢に前に前に攻めるも ペナルティーで呆気ない幕切れ 〜

●2回戦  対 尾崎秀典(群馬大学)
奈良部嘉明(2年)は2回戦をBマットで尾崎秀典(群馬大学)と対戦。第一ピリオドの立ち上がりから足取りで相手にプレッシャーを与える。足取りで前に出ると、左手をロックされてバックを奪われ1ポイントを失った。奈良部はかまわず前に前に出て攻める。内股で相手を崩しバックを奪い1ポイントを返した。奈良部は果敢に前に出るところをかわされ、バックに回られ2ポイント目を取られ第一ピリオドを奪われ、0対1とされた。
▲第二ピリオドに入っても、奈良部は前に前に攻める。踏ん張る相手を場外に押し出し1ポイントを奪い、第二ピリオドを取り1対1とした。
▲第三ピリオドも、奈良部が攻めるが決め手を欠き、2分が過ぎ0対0で終わった。コイントスで相手選手に攻撃権が与えられた。奈良部はポジションの状態を2回取らなかったとジャッジされ、2点のペナルティーを科せられ敗退という呆気ない幕切れとなった。

●奈良部は「初出場で、アップアップして自分のレスリングができなかった。落としてはいけない試合を落としてしまった。練習し、大会の経験を積んで頂点を目指したい」と先を見据えて述べた。
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☆中野大樹(男子フリースタイル74s級) 
☆〜 集大成となる筈のラストゲーム 天を仰ぐ 〜

●2回戦  対 秋本直樹(日本大学)
中野大樹(4年)は2回戦をBマットで秋本直樹(日本大学)と対戦。第一ピリオドは、お互いが牽制し2分が過ぎ0対0で終わった。コイントスで相手選手に攻撃権が与えられた。中野は片足へのタックルをされる状態から試合を開始。森川は相手選手にポイントを奪われ、第一ピリオドを取られた。
▲第二ピリオド、中野は積極的に攻め立てた。相手の足を取り体勢が崩れるのを見るとバックを奪って、1ポイントリードした。残り、15秒相手に場外に押し出されタイブレークとされ時間切れとなり、ポイント数で並んだが最終ポイントを奪った選手が勝ちというルールで第二ピリオドを取られ、2対0となり中野は涙を呑んだ。

●4年生で最後の試合となる中野は「第一ピリオドは相手の出方を窺っていた。第二ピリオドの1ポイントのリードを、残り15秒で1ポイント返されたのが全てだった。集大成となる筈のラストゲームを悔いの残る試合となった」と、天を仰いだ。
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☆ 小幡邦彦(ALSOK綜合警備保障)男子フリースタイル74s級
☆ 〜 まさかの準決勝敗退 恩師の高田裕司監督8連覇に届かず 〜

▲ 山梨学院大学卒業生の小幡邦彦(ALSOK綜合警備保障)は、準決勝で萱森浩輝(新潟県央工業高教)に敗れ、山梨学院大学時代恩師の高田裕司監督の8連覇に並ぶことはできなかった。
▲ 小幡は第一ピリオド決め手を欠き2分が過ぎ0対0で終わった。小幡はコイントスで攻撃権が与えられ、片足へのタックルの状態から試合を開始したが、ポイントを奪うことができずに、ルールで相手に1ポイントが与えられ第一ピリオドを失った。
▲ 第二ピリオドは試合巧者らしく相手を攻め立てバックを奪い、第二ピリオド取りタイブレークとした。
▲ 第三ピリオドはバックを取られ、試合終了間際に相手のバックを奪ったかに見えたが、その判定を巡りビデオ判定となったが認められず、まさかの準決勝敗退となった。

● 小幡は「スタンドで取りきれなかったのが全て。今日を踏まえて練習したい。8連覇は簡単だとは思わなかった。結果として付いてくるものだと思っていたので......。今日で、終わりというのでは無いので、まだチャンスがあるので一からやり直して、必ずチャンピオンに返り咲きたい。」と決意の程を語った。
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■ 優勝者
【男子グレコローマン】
55kg級 豊田雅俊(警視庁)
66kg級 飯室雅規(自衛隊)
74kg級 菅太一(警視庁)

【男子フリースタイル】
74kg級 長島和幸(クリナップ)
66kg級 小島豪臣(周南システム産業)

【女子レスリング】
48kg級 伊調千春(ALSOK綜合警備保障)
63kg級 伊調馨(中京女大)
72kg級 浜口京子(ジャパンビバレッジ)11年連続11度目