日本スケート連盟(橋本聖子会長)は2月11日、大阪府・なみはやドームアイススケート場で第17回全日本ショートトラックスピードスケート距離別選手権大会(最終日)を行った。大会は男女の1000mが行われ、男子は山梨学院大の伊藤潤二(3年)が、トヨタ自動車の寺尾悟の3種目制覇を抑えて初優勝した。女子はALSOK綜合警備の神野由佳が3種目を制覇し完全優勝4連覇を達成した。今大会は、世界選手権大会(ミラノ)及び世界チーム選手権大会(ブダペスト)の日本代表選手選考対象競技会を兼ねており、男子では寺尾、伊藤が、女子では神野が一歩リードした。各大会派遣選手は2月24日から25日に京都アクアリーナで行われる全日本選手権の結果と合わせて閉会式で発表される。
第17回全日本ショートトラックスピードスケート距離別選手権大会最終日の男子1000m決勝は、前日1500m、500mを制した寺尾悟(トヨタ自動車)の全種目制覇か、前日1500m2位、500m3位の新鋭の伊藤潤二(山梨学院大)が寺尾の全種目制覇を阻止するかに注目が集まった。レースは、伊藤が「前日の1500m、500mでは、混戦から抜け出る事ができなかったので、1000mでは中盤からトップを奪い逃げ切る作戦に出た」と言うように、中盤先頭に踊り出てそのままゴールインした。2位以下は競り合いとなったが、寺尾悟(トヨタ自動車)が2位、3位は角張文彦(サンコー)、4位に藤本貴大(山梨学院大)が入った。
大会の距離別優勝者は、男子1500m、500m寺尾悟(トヨタ自動車)、1000m伊藤潤二(山梨学院大)、女子1500m、500m、1000mは神野由佳(ALSOK綜合警備)となった。世界大会代表争いは、男子は寺尾・伊藤が、女子は神野が一歩リードした。トリノオリンピック代表の藤本貴大(山梨学院大)は全日本選手権で巻き返しを狙う。
伊藤潤二は「今大会は、体調が本調子でなかったので、あまり勝てるイメージが湧かなかった。前日の1500m(2位)、500m(3位)は、体力のことを考えて抑えた消極的なレース展開になり、混戦から抜け出る事ができなかった。体力に自信がなかったが、1000mは得意種目なので、こうした前日の轍を踏まえて積極的に勝負して粘ろうと戦った。いつ、寺尾選手が抜いてくるか、気が気ではなかった。体力的には一杯一杯だったが、インを開けないことだけを考えて滑った」と語った。
篠原祐剛コーチは「初日から氷の状態が良くなかった。各選手は足を使っていたので、2日目の最終日は各選手に疲れが見えていた。伊藤も、最終日1000mの予備予選、予選までは滑りに精彩を欠いていた。準々決勝、準決勝、決勝と、徐々にスピードに乗り体が動くようになった。前日の1500m、500mでは、競り合いからベテランの寺尾選手の上手さにやられたが、1000m決勝では中盤から先頭に出て主導権を握り優勝を果たした。寺尾選手に確実に勝てる作戦を立てたと思う」と絶賛した。
川上隆史監督は「伊藤は、アジア大会などの国際レースの疲れもあってベストの体調ではなかったが、1000mで優勝、1500m2位、500mで3位とよく頑張った。伊藤は、前日の1500mと500mでは、寺尾選手のレースでの展開、駆引きで負けていた。しかし、伊藤は挑戦者として1000m決勝では、中盤から先頭に出て、そのまま滑りきるという一歩間違えると無謀と思える作戦に出が、それが功を奏した。伊藤の一見無謀に思える作戦は図に当たった。伊藤は、イタリアでのトリノオリンピックでは代表から一歩及ばず外れ、3年後のカナダのバンクーバーオリンピック出場に目標を置き日々トレーニングしているが、この所の戦いを見ていると著しい成長を感じる。オリンピック出場は、夢から現実へと変わっている」と述べた。
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