山梨学院大学(古屋忠彦学長)と甲府商工会議所(荻野浩会頭)は3月6日、甲府市・甲府商工会議所で山梨学院大学と甲府商工会議所との包括的連携に関する協定書調印式を行った。調印書は、相互に連携し地域振興の発展と人材育成に寄与することを目的に、@商業の振興及び育成に関すること、Aまちづくり等の地域振興に関すること、B法律相談に関すること、C人材育成に関すること、Dその他双方が協議して必要と認めることを内容としている。山梨学院大学の古屋学長は「社会科学系の大学として、県都甲府にまちづくりなどで貢献することが宿命」と、甲府商工会議所の荻野会頭は「産学の連携で街づくりとものづくりで、県下の産業経済がますます発展することを望みます」と述べ、固く握手を交わした。
山梨学院大学と甲府商工会議所との包括的連携に関する協定書調印式には、山梨学院大学から古屋忠彦学長、上條醇法学部長、今井久商学部長、三井清美経営情報学部長、日高昭夫政治行政学科長が、甲府商工会議所から荻野浩会頭、小野堅太郎副会頭、丸茂紀彦副会頭、渡辺恭史専務理事の9名が出席して行われた。
今井商学部長は「今まで甲府市中心街の実態調査は、学生がゼミなどで単発的に行ってきた。これからは、例えば現代ビジネス学部に新しく開講する実践的な科目『フィールド・リサーチ』で、大学のカリキュラムとして学生が仮説を構築し、調査によって甲府市中心街の実態を検証していく。また、立地、職種等と経営状態との関係を調査し、経営状態のマップを作成するとともに、商店のオーナーの意識や取り組み等を調査し、それらの項目と経営状態がどのような関係にあるのかを検証することを考えている。ほかに本学には、経営情報学部のインターンシップ、現代ビジネス学部の企業実習、経営情報学部の経営実践等の、実践教育がある。そこで、インターンシップ及び企業実習を通して、学生が中心となって甲府市の商工業の実情を把握する。これらの現状をふまえて、経営実践において、甲府市の商工業に対して、若者層の考え方からの活性化のアプローチが可能になると考えている。さらに、このような活動を通して教育された学生が、甲府市や山梨県の企業に就職することが可能となれば、教育と人材育成の循環が可能となり、着実に商工業の活性化につながると考える」と述べた。
上條醇法学部長は「法学部では、法科大学院内に法律相談センターを開設して、市民に対する紛争解決の相談を行っている。この中に、企業が抱える諸問題に応え得るサービスを加えたいと考えている。相談には専属の弁護士があたるほか、法科大学院の高学年生が『リーガルクリニック』の実習を通じて相談に加わる事になる。良き法曹になる準備段階に、実際の企業が抱える法律問題に直接接する機会が与えられるということは、貴重な経験となると思われる」と述べた。
日高政治行政学科長は「政治行政学科は、公務員の学生養成を行っている。学生は地域政策からまちづくりに取り組み、提言している。例えば、福祉とまちづくりでは、車椅子で甲府の街中を調査し、どういう課題があるかということを提言した。しかし、これらはゼミで単発である。今回の協定締結により、システマティックに教育ができる。また、他の学部と連携して両者にとってより良い取り組みができることを期待している」と述べた。
丸茂紀彦副会頭は「これで、物づくりの『工』は山梨大学と、ビジネスの『商』は山梨学院大学と調印し、商工の提携が完成した。山梨学院大には、例えば中心街の空き店舗を調査してもらい、段階を踏んで青森市などのコンパクトシティを研究してもらう。そして、山梨学院のノウハウをいただき、学生に来てもらえるまちづくりを提案してもらいたい。また、教育の場として活用してもらいたい」と述べた。
渡辺恭史専務理事は「今のまちづくりは、『自分たちのまちは自分たちでつくる』という気概が必要。行政主導でなくて、事業主が主導になり良いアイデアを出すことが不可欠となる。行政は良いアイデアに支援してくれる。甲府市中心街の実態調査をして結果とするのではなくて、そこからさらに意識を高めてまちを再生することが極めて肝要。例えば、大分県豊後高田市の取り組みのように、『物を売る』のでなく『歩く楽しみ』のあるまちづくりにもヒントがある。甲府のまちづくりには、大学と連携した生涯学習をコアに据えたまちづくりの可能性もあると思う。いずれにせよ、今回の提携で甲府のまちづくりの研究に教育に、さらにまちづくり実現に弾みをつけたい」と述べた。
アルバムはこちら |