日本スケート連盟は11月25日、甲府市・小瀬スポーツ公園アイスアリーナで第13回JOCカップジュニアオリンピックショートトラックスピード選手権大会 兼 2008世界ジュニアショートトラックスピードスケート選手権日本代表選考競技会(最終日)を行った。山梨学院の男子・田中翔太郎(大学1年)は昨日 1500mを制して、総合2位で臨んだ得意の1000m決勝で転倒し4位。悲願の総合優勝は1500mスーパーファイナルに持ち越された。田中はスタート直後にトップに出ると、佐藤が裏から前に出てトップに、残り11周目で今度は渡辺がトップに出て、竹村、佐藤、田中と続く。残り8周目で先頭の渡辺がスピードを上げる とレースが動いた。4番手にいた田中は、この機会を利用して外から猛追し残り7周で再びトップに躍り出ると、そのままトップを守り続けて1500mスーパーファイナルのゴールを切るとともに、初の総合優勝を決める栄光のゴールを果たした。山梨学院としては第7回大会の吉沢純平(附属高校)以来の6年ぶり2回目の総合優 勝。山梨学院大学としては初の総合での優勝者となり、最優秀選手に選ばれJOCカップを手にした。女子は4種目完全制覇で吉田麻里絵(岡山操山高校)が総合優勝した。2008世界ジュニアショートトラックスピードスケート選手権日本代表選手に、男子は坂下里士(相模原SSC)、田中翔太郎(山梨学院大学)、竹村崇行 (神奈川大学)が、女子は桜井美馬(武蔵野学院)、吉田麻里絵(岡山操山高校)、石田千賀(千里高校)が選ばれた。大会は1月11月から13日イタリアのボルツァーノで行われる。
■田中翔太郎(大学1年) 男子総合優勝
山梨学院の田中翔太郎(大学1年)は2007/2008ワールドカップ(第3、4戦)派遣選手選に選ばれながら辞退した。「ワールドカップの経験はあるので、母校の威信をかけて戦う全日本学生ショートトラックスピードスケート選手権大会6連覇達成と、JOCカップジュニアオリンピックショートトラックスピード選手権大会に出場したいので取り止めた」。取り分け「同じ世代の選手にどれだけ通用するのか試したい」という思いがあってのことだ。
昨日の1500m優勝で、男子総合2位の田中は得意とする1000m決勝のスタートラインに着いた。総合1位の竹村崇行(神奈川大学)が1000m第2次予選で転倒したため、このレースに優勝すれば総合優勝がほぼ手中に落ちる大事なレース。田中は先頭に出たものの残り7周目で渡辺啓太(聖望学園高 校)にトップを奪われると、残り6周目で吉田貴司(武蔵野学院高校)に抜かれ3番手に下がった。残り4周目で小黒義明(相模原SSC)が一気に仕掛けて先頭に躍り出る。その後を渡辺、吉田、そして最後尾田中となった。田中は残り2周目の3コーナーでバランスを崩し転倒。一転して周回遅れの4着となり、総合優勝と準優 勝の行方は大混戦となった。
誰でもが総合優勝の可能性がある男子1500mスーパーファイナルに注目が集まった。インスタートから渡辺啓太(聖望学園高校)総合3位【42.0点】、田中翔太郎(山梨学院大学)総合2位【42.0点】、吉田貴司(武蔵野学院高校)総合6位【21.0点】、小黒義明(相模原SSC)総合4位【39.0点】 、佐藤弘章(名城大学)総合5位【22.0点】、竹村崇行(神奈川大学)総合1位【47.0点】の6選手が呼び上げられ、スタートラインについた。スタート直後、田中がトップに出ると、佐藤が裏からトップに、残り11周目で渡辺がトップに竹村、佐藤、田中と続く。残り8周目で先頭の渡辺がスピードを上げるとレースが 動いた。田中は1000mではこのまま追い上げられずに転倒した。4番手にいた田中は1000mのときとは見違えるかのように、この機会を利用して外から猛追し残り7周で再びトップに躍り出ると、そのままトップを守り続けて1500mスーパーファイナルのゴールを切るとともに、初の総合優勝を決める栄光のゴールを果 たした。山梨学院としては第7回大会の吉沢純平(附属高校)以来の6年目2回目の総合優勝。山梨学院大学としては初の総合での優勝者となった。
■中口雪絵(附属高校1年)総合3位、渡邉唯(大学1年)総合5位
女子の中口雪絵(附属高校1年)は作日の500mで2位とし総合3位。渡邉唯(大学1年)は昨日の1500mで3位とし総合5位で最終日を迎えた。
女子1000m準々決勝で、奇しくも中口と渡邉はおなじ4組となり、1位渡邉、2位中口で準決勝に進出した。準決勝も同じ1組で、総合1位の吉田麻里絵(岡山操山高校)と争い、1位吉田、2位中口、3位渡邉となり、渡邉は準決で敗退し中口が決勝に進んだ。決勝では吉田が実力を発揮し1位、2位に石田千賀(千 里高校)、3位に中口が入った。
女子1500mスーパーファイナル、インから中口雪絵(山梨学院大学附属高校)総合4位【26.0点】、渡邉唯(山梨学院大学)総合6位【13.0点】、吉田麻里絵(岡山操山高校)総合1位【102.0点】、石田千賀(千里高校)総合2位【42.0点】、菊池悠希(小諸商業高校)総合5位【16.0点】、藤原真実(ミナトSSC)総合3位【29.0点】の順に6選手が呼び上げられた。序番は藤原、中口、石田、菊地が続く、終番に入り完全優勝を狙う吉田が2位につけ残り2周でトップを奪うと加速し他の選手を引き離す。石田が食らいつく、そして渡邉が追撃するが差が縮まらない。1位吉田、2位石田、3位渡邉となった。この結果総合 順位は、中山が3位、渡邉が5位となった。
【男子種目別成績】
●1000m
1位 小黒義明(相模原SSC)、2位 渡辺啓太(聖望学園高校)、3位 吉田貴司(武蔵野学院高校)、4位 田中翔太郎(山梨学院大学)
●1500mスーパーファイナル
1位 田中翔太郎(山梨学院大学)、2位 吉田貴司(武蔵野学院高校)、3位 竹村崇行(神奈川大学)、4位 小黒義明(相模原SSC)、5位 渡辺啓太(聖望学園高校)、6位 佐藤弘章(名城大学)
【男子総合成績】(入賞者)
1位 田中翔太郎(山梨学院大学)【76.0点】、2位 竹村崇行(神奈川大学)【60.0点】、3位 小黒義明(相模原SSC)【47.0点】、4位 渡辺啓太(聖望学園高校)【47.0点】、5位 吉田貴司(武蔵野学院高校)【42.0点】、6位 佐藤弘章(名城大学)【25.0点】
【女子種目別成績】
●1000m
1位 吉田麻里絵(岡山操山高校)、2位 藤原真実(ミナトSSC)、3位 渡邉唯(山梨学院大学)
●1500mスーパーファイナル
1位 吉田麻里絵(岡山操山高校)、2位 中口雪絵(山梨学院大学附属高校)、3位 石田千賀(千里高校)
【女子総合成績】(入賞者)
1位 吉田麻里絵(岡山操山高校)【136.0点】、2位 石田千賀(千里高校)【63.0点】、3位 中口雪絵(山梨学院大学附属高校)【42.0点】、4位 藤原、真実(ミナトSSC)【32.0点】、5位 渡邉唯(山梨学院大学)【26.0点】、6位 菊池悠希(小諸商業高校)【16.0点】
■男子で総合優勝した田中翔太郎(大学1年)は「総合優勝できて、嬉しさと、ほっとした気持ちが半々ずつ。1500mスーパーファイナルを戦う前に篠原コーチから『1000mと同じ轍は踏まない。レースが速くなる前に前に出て戦え』と指示があった。勝ちをものすごく意識した。4位に落ちて前が速くなったので、 残り7周で一気に行かないと厳しいと思った。トップに行けたのでコース取りなど意識して最後までトップで滑った。安定した勝利ではないので、合格点だが80点のレースだった。年齢的に今大会最後のチャレンジだったので、ワールドカップのジュニア枠を辞退して臨んだ甲斐があった。同じ世代の選手と、どこまで闘えるか挑みたい」と述べた。
■女子総合3位の中口雪絵(附属高校2年)は「昨年の総合4位から3位と一つ上がった。自分の力は出し切れたと思う。しかし、目標は2位狙いで世界Jに行くことだった。悔しい。2位に届かなかった足りない部分を、今後の練習で克服して次の大会に生かしたい。周りには短距離選手と思われているので、短距離も中距 離も戦える総合の選手と言われるように練習し力をつけたい」と述べた。
■女子総合5位の渡邉唯(大学1年)は「実力がなかった。1500mと1500mスーパーファイナルでともに3位ともう一つ上を目指したかった。今大会で課題が見えたので、技術的な細いところを一つ一つチェックして、練習を積んで自分のものにしたい。また、それを支える、体力強化に努めるとともに、気持ちの起 伏が激しいのでメンタルな部分も鍛え直し、次につなげたい」と述べた。
■篠原祐剛コーチは「男子の田中はワールドカップのJ枠を辞退して、この大会に賭けた。初日1500mに自信を持っておりレース展開も完璧だった。しかし、500mで転倒し村竹選手に首位を取られたが、今日は得意の1000mで決められるチャンスを転倒して1500mスーパーファイナルまで緊迫した戦いが続いた。そのなかで良く冷静にレースを読み、作戦通りレースを組み立て てくれた。田中自身が成長した姿を披露し総合優勝を決めたレースだった。世界Jは年齢的に最初で最後のチャレンジとなる。1500m、1000mで活躍し、決勝に進出して決勝ポイントを挙げ、総合順位を付けてもらいたい。女子の北村優希(附属高校3年)は準々決勝の壁を超えるように頑張ってもらいたい。股関節の怪我 を治して、スタートが切れるようになるともっと成長すると思う。中口は総合3位で2位に行けない悔しい思いをしたと思う。もともと力のある選手なので500m一本でなく、1000m、1500mも力をつけワールドカップ、世界選手権を狙ってもらいたい。渡邉は1500m3位、1500mスーパーファイナル3位と長距 離の選手。今回1000mは取りこぼしたが、1000mと1500mと3000mに力を出せる選手。これからますます需給力をつけ長距離強化に努めてもらいたい。強化することによって戦術から戦略へと転換でき戦いに幅と奥行きができ世界で戦える選手になれる」と述べた。
■雨宮惣一附属高校監督は「中口は2番狙いで臨んだ大会だった。膝の痛みを克服して、500m2位、1000m3位、1500mスーパーファイナル4位で総合3位と良く頑張ったと思う。これから、1月の中旬にインターハイ、下旬に国体とフル回転しなければならない。昨年の国体で500m2位と健闘したので、今 年はこの大会の経験を生かして優勝を目指して頑張ってもらいたい」と述べた。
■川上隆史大学監督・総監督は「田中は今大会で実力的にも勝たなければいけないということや、選手宣誓を行うなど様々なプレッシャーがあったと思う。こうした中で、500m、1000mで転倒というアクシデントに見舞われながらも、1500mスーパーファイナルでは勝たなければいけないという試練を克服しての 総合優勝は見事だった。苦しい中で勝ち取ったことに意義がある。過去の超一流選手は皆同じ経験を克服して世界に名を残した。韓国、中国、カナダと競合がひしめく中で、苦戦の連続となるだろうが、今回学んだことが必ず生きると思う。『日の丸をつけて勝負に行く』日本の代表として胸を張って頑張ってきてもらいたい。女子 は中口と渡邉のどちらかが日本代表に入らなければならなかった。結果総合3位と5位だが、本当に僅差で負けた。この悔しさをばねにして、次の目的に向けて、課題を見つけて、計画を立てて、実行に移してもらいたい」と語った。
アルバム | 田中翔太郎 | 中口雪絵 | 渡邉唯 | |