山梨学院広報室
第九回酒折連歌賞表彰式
5傑に 賞状と副賞が授与される
大賞の村上さん「思いがけない賞」と感慨無量

山梨学院大学(古屋忠彦学長)と酒折連歌賞実行委員会(川手千興実行委員長)は2月18日、山梨学院大学広報スタジオで第九回酒折連歌賞(文部科学省後援など)の表彰式を行った。主催者代表の古屋学長より、応募数34,652句の中から選ばれた、大賞・文部科学大臣賞 村上京子さん(43歳・東京都)、佳作 小林未紅さん(35歳・静岡県)、津島綾子さん(16歳・山梨県)、金本かず子さん(57歳・山梨県)、アルテア賞最優秀 藤原拓磨さん(14歳・静岡県)に賞状と副賞が授与された。大賞の村上さんは、「思いがけない賞をいただいて本当に驚いています。以前から心のどこかにあったフレーズが、問いの片歌『ぽんと肩たたかれてまた歩きはじめる』を何度か呟いているうちに、すっと呼吸を合わせるように『木には木の風には風の言葉があって 』と答えが付いてきました」と、受賞に感慨無量な面持ち。廣瀬直人選考委員長は「離れてつながる。その距離感の中に作者の気持ちが表れる。その時の気持ち情感がないとつくれない。大賞は木や風のような自然の音でも、人間と同じ感情を持っているように思えるものです。この自然との交流には気持ちを立て直そうとする明る さが表現の底にあって、快い印象を受けました。また、佳作、アルテア賞最優秀も見事に離れてつながっている。他の選者も称賛していた」と述べ5傑の栄誉を称えた。表彰式の後、受賞者らは甲府市内にある連歌の発祥の地の酒折宮を訪れた。

佳作の小林さんは、問いの片歌『はなびらが遠き記憶をよみがえらせる』に『草原をゆくマンモスの牙に春風』と答えの片歌を付けた。小林さんは「文芸部の生徒と酒折連歌の創作活動中に、太古の動物に強い興味を持つ小1の息子の心の中には、こんな風景が広がっているのではという想像から出来た歌です。毎年想像 力をかきたてられる問いの片歌で、生徒も私も楽しみながら作っています。多くの中から、私の歌を選んでくださったことに驚いています。とても嬉しく思います」と受賞の喜びを述べた。
佳作の津島さんは、問いの片歌『からっぽの瓶がしずかに風ささやいて』に『透明な生物室の夏は深まる』と答えの片歌を付けた。津島さんは、「短歌、俳句などの経験もほぼ無いのに、3万句以上の作品の中から選んでいただいてただただ驚いています。私は生物部に所属していますが、夏休みの部活中に棚の中に並んだ試験管を見て思いつきました。言葉同士の対比に気を配りました。からっぽ、しずか、ささやき、透明という軽やかな感じ のする言葉が連なった、その最後に深まるを置きしまりをつけました」と受賞の喜びを述べた。
佳作の金本さんは、問いの片歌『降るように歌声はして雲雀やいずこ』に『澄みきった空に迷子の風船が浮く』と答えの片歌を付けた。金本さんは、「連歌の基本も知らない私が第5回から応募しています。投句していくうちに酒折連歌にロマンを感じるようになりました。この答えの片歌は、幼い頃、母が田んぼに行くのに着いて行き、空高く囀る雲雀を畦道に仰向けに寝転んでいつまでも見ていました。あの、澄んだ空に糸の切れた赤い風船を一 つ浮かべてみたらと思いつきました。有り難く光栄に思っております」と受賞の喜びを述べた。
アルテア賞最優秀の藤原さんは、問いの片歌『からっぽの瓶がしずかに風ささやいて』に『運ばれるこの言葉なき思いはどこへ』と答えの片歌を付けた。藤原さんは、「学校で紹介されて、問いの片歌を見えるけど見えないような思いが形のない何かに引かれていく様子と考えて、創作に取り組みました。テーマを『見えるけど見えない』にして、考えや視点を変えて楽しめるような作品にしました。酒折連歌は自分のひとつの言葉で記したアイデアの記録、賞をいただけるこ とに感謝しています」と受賞の喜びを述べた。
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