東日本学生レスリング連盟(滝山將剛会長)は5月11日、東京都の青山学院大学体育館で2008東日本学生レスリングリーグ戦(最終日)を行った。優勝決定戦は、Bグループで初戦を3勝4敗で落としたのち、破竹の勢いで6連勝した山梨学院大学が、6勝1敗で専修大学と相星となったが、山学大は勝ち点 で専大を大きく上回りBグループ1位となり、Aグループ7戦全勝で優勝数25回を数え2連覇中の日本体育大学と対戦した。山学大は、切り込み隊長の55kgの小俣将太(3年・霞ケ浦)が白星スタート。続いて実力者60kgの大沢茂樹(4年・霞ケ浦)が勝ち2勝0敗。堅実な66kgの森川一樹(3年・霞ケ浦)も勝ち、 3勝0敗として優勝に王手を掛けた。優勝が決まる大一番で頼れる主将の74kg 奈良部嘉明(4年・霞ケ浦)は、主将の威厳でプレッシャーを跳ね除けて勝ち優勝を決めた。最優秀選手賞に山梨学院大学の奈良部嘉明主将が、最優秀監督賞に高田裕司監督が選ばれた。山学大は2000年と2001年の2連覇以来の7年ぶり3 度目の優勝に輝いた。
▲優勝候補のBグループの山梨学院大学は最終戦を55kg 小俣将太(3年・霞ケ浦)、60kgの大沢茂樹(4年・霞ケ浦)、66kg 森川一樹(3年・霞ケ浦)、74kg 奈良部嘉明(4年・霞ケ浦)、84kg 小室直人(3年・霞ケ浦)、96kg 山本雄資(4年・多度津工業)、120kg ムジ コフ・ボリス(3年・ロシア)で日本大学戦に臨み6対1で破り、6勝1敗で専修と相星になったが、勝ち点で専大を上回りBグループで1位になり優勝決定戦に駒を進めた。
▲高田監督は「良く戦った。もう1試合だ。頑張ろう。水分を補給して体を冷やさないように」と優勝決定戦に向けて選手たちを勇気づけるとともに、「1回戦(群馬大3勝4敗)のつまずきが、選手たちのやる気を生み逆にチームに良い結果をもたらせた。日体大は過去に1番優勝している伝統校。Aブロック全勝で1位になって決定戦に上がってきた。1つのプレー、1つの得点が勝敗を決める。決勝にふさわしい試合をしたい」と自ら気を引き締めた。
▲山学大は、切り込み隊長の55kgの小俣将太(3年・霞ケ浦)が第1ピリオドを1−3で奪われたが第2を2−0、第3を1−0とし白星スタート。続いて実力者60kgの大沢茂樹(4年・霞ケ浦)が第1を2−1、第2を7−0とし白星。堅実な66kgの森川一樹(3年・霞ケ浦)は第1を3−2、第2を 6−0で白星として優勝に王手を掛けた。優勝が決まる大一番で頼れる主将の74kg 奈良部嘉明(4年・霞ケ浦)は、主将の威厳でプレッシャーを跳ね除けて第1を4−1、第2を2−1として優勝を決めた。84kgの小室直人(3年・霞ケ浦)、96kgの山本雄資(4年・多度津工業)はともに黒星、成長著しい120k gのムジコフ・ボリス(3年・ロシア)が第1、第2を7−0の白星で5勝2敗として優勝に花を添えた。
▲2階席で応援していた部員たちが一斉に会場に降りてきて、下田正二郎部長、高田監督、小幡邦彦コーチ、奈良部嘉明主将らを次々と胴上げしてともに優勝を喜んだ。部員一丸となって奪還した優勝旗を持ち、全員で歴史的瞬間を記念写真に収めていた。
■十分にチームの穴を良く埋めて貢献した本来はグレコローマンスタイルの96kg 山本雄資(4年・多度津工業)は「最後の試合に勝って素直に優勝を喜びたかった。本調子ではなくチームに十分に貢献できなかった。グレコローマンスタイルの大会では、個人と団体で優勝して新たな歴史をつくりたい」と謙虚 に述べた。
■怪我から完全復帰し胴上げで宙に舞った実力者60kg 大沢茂樹(4年・霞ケ浦)は「最高です。これで東京・代々木第二体育館で6月25日26日に行われる明治乳業杯全日本選抜選手権に出場して優勝して、プレーオフに勝ち北京オリンピックに行けるよう頑張りたい。今大会の2週間前に本格的に練習を再開した。それでここまで闘えるので何も心配ない。優勝決定戦ではチームのために気合を入れて戦った。首のしびれも痛みもないので、全日本選抜選手権に照準を合わせたい」と、喜びから早くも気持ちを切り替え全日本選抜選手権の先に北京を睨んでいた。
■今大会、7戦全勝し優勝に導き感極まり男泣きした奈良部嘉明主将は「優勝に7年間遠ざかっていたので、自分たちの代で優勝をしたいと思って部員が一丸となって戦った。昨年は自分が大事なところで勝てなかった。今大会ではキャプテンが負けたらチームに悪い影響を与えると思い全力投球で精一杯頑張った。 僕らが最強だということが証明できて嬉しい。来年も小俣将太・森川一樹・ムジコフ・ボリス・小室直人が残るので連覇してもらいたい。小室直人は昨年の自分と良く似ている。来年は必ずチームを引っ張っていけると思うので頑張ってもらいたい」と充実した面持ちで、早くも後輩たちに2連覇を託した。
■小幡邦彦コーチは「初めてコーチに就任して、デビュー戦が群馬大に3対4で負けて初黒星、そして初優勝と地獄と天国をみた大会で貴重な経験を積んだ。初戦に負けて、選手も応援団も一丸となって戦えて優勝ができた。選手も良い経験となったと思う。今大会で、選手の良いところ悪いところが分かったので 、これからの練習で伸ばしたり修正したりして一人一人仕上げ、フリーの3冠の残り2つと、グレコローマンスタイルの大会で良い結果が出るように選手を指導したい」と次を見据えて選手育成に力を込めた。
■高田裕司監督は「選手が頑張れば優勝できることが証明された。初戦のつまずきは4年間一度もマットに上がってない選手や一生懸命練習した選手にチャンスを与えた温情がたまたま悪いほうに出た。それ以来、1軍ですべてを戦い7勝0敗と6勝1敗で乗り切りブロック1位とした。心の中では、こうした選手や 1年生を使い教育配慮か出来なかったのが心残り。日体大、専大、日大、拓殖、早稲田、国士大は戦ってみなければ分からないぐらいに力が拮抗している。決勝戦は5対2で勝ったが、トップバッターの55kg小俣が負けていたら結果は分からなかった。74kg奈良部は、昨年はここ一番で勝てなかったが、今年はキャプテンと して7戦(1試合目不出場)を全勝で素晴らしいキャプテンへと成長を遂げてくれた。これを弾みにして、非常に難しいことだが王座決定戦、内閣総理大臣杯、そして一度もタイトルを取ったことのないグレコローマンスタイルの大会全てで優勝することを目指していきたい」と静かに語った。
■下田正二郎部長は「高田監督はリーグ戦という特性を生かして、日頃よく練習し、本番で体重を落として頑張っている選手にもチャンスを与え試合をさせてあげたいと思い初戦を落とした。選手はそれを理解してチームがまとまりモチベーションを高めて、強剛の専修、国士、日大を6勝1敗で破りブロックで1位 になった。さらに優勝決定戦で日体大を破り昨年のリベンジを果たし、学生レスリングで1番に歴史と伝統のある東日本学生レスリングリーグ戦で7年ぶり3度目の優勝を手中に収めた。奈良部嘉明主将のキャプテンシーに敬意を表し、選手や部員にこころからおめでとうとの言葉を送り、チアリーダー、学校関係者に感謝したい」 と語った。
■初優勝の主将でOBの小平清貴さん(警視庁・96kg日本チャンピオン)は「最高の試合だった。最大の敵である日体大を破っての優勝。素晴らしい試合を見せてもらった。自分たちが初優勝をした時が脳裏によみがえり興奮した。この頃、活力が湧かなかったが、この優勝で後輩に元気づけられ活力がわいてきた。OBの選手として後輩に負けないように頑張りたい」と後輩の活躍に満面笑みで喜びを語った。(H.K)
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