山梨学院パブリシティセンター
「酒折連歌賞」が言の葉を連ねて10周年を迎える
〜連歌の歴史と歌あそびを学ぶ記念講座開講〜

酒折連歌賞実行委員会(川手千興実行委員長)は5月31日、10周年記念事業として、連歌発祥の地「酒折宮」を訪ねる集いなどの記念講座を開講させた。連歌は古代、甲府市の酒折宮に立ち寄った日本武尊が「新冶筑波(にいはりつくは)を過ぎて幾夜か寝つる」と歌ったのに対し、その場に居た火焚き役の翁が「日々(かが)なべて夜には九夜日には十日を」と返歌したとする故事から、酒折宮が発祥の地と言われている。「酒折連歌賞」は山梨学院大学と酒折連歌賞実行委員会が発祥の地にちなんで創設したもので平成11年から募集が始まった。年々応募者が増え、5年前からは毎年3万句を超える答えの片歌が全国各地から寄せられるほどに成長、積み上げられた作品の総数は約24万5000句に上る。10周年記念講座は酒折の地と連歌への関心を更に広めようと計画されたもので3回にわたり実施される。第1回の5月31日は、38人の受講者が雨上がりの酒折宮を訪ね、講師を務めた川手千興実行委員長の博識な言葉に耳を傾けて発祥の地の歴史と連歌との深い関わりを学んだ。


酒折宮の境内には、山県大弐による漢文の「酒折祠碑」と、本居宣長による万葉仮名の「酒折宮寿詞碑」という二つの石碑が16mの微妙な距離をおいて、ひっそりと佇んでいる。講師の川手千興実行委員長は、近世には俳人、歌人、連歌師などの文人が数多くこの宮を訪れたこと、二つの石碑がなぜ16m離れて設置されたのかなど、参加者の興味を引き付ける話題を数多く提供した上で「いまお話しさせて頂いた話を、今度は皆さんが伝達役となって、酒折宮の歴史を山梨県民に広く伝えて下さい」と笑いを誘いながら依頼していた。参加者は日本武尊の時代には、そこに祠があったといわれる200mほど上の不老園背後の山腹に登って甲府盆地を見渡し、いにしえの甲斐の国の古代ロマンに思いを馳せていた。現地訪問を終えた一行は山梨学院高校の講堂に場所を移し、連歌の歴史や古事記と日本書紀に表れる酒折宮の場面の微妙な表現の違いなどについて詳しく学んだ。参加者の一人笛吹市の斉藤幸三さんは「酒折宮は近くて遠い存在だったのだけれど、きょうお話を伺って非常に近い存在になりました。思い切って酒折連歌に応募しようかと思い始めました」と話していた。
10周年記念講座の2回目は6月11日に、選者の廣瀬直人氏(俳人/俳誌「白露」創刊主宰)を講師に「酒折連歌−つけ合いのおもしろさ−」と題した創作実習が行われる。3回目は6月25日で、同じく選者である歌人三枝昂之氏を講師に「酒折連歌−答え方の工夫−」実習指導がそれぞれ予定されている。

「酒折連歌賞」は問いかけの五・七・七の片歌に、答えの片歌を五・七・七で返す二句一連の返歌問答。作る上での法則は設けられていないので、自由な発想で遊びのように楽しく詠んで応募することができる賞。今年の第十回酒折連歌賞の応募期間は4月1日から9月30日、最優秀作品には文部科学大臣賞と副賞二十万円が贈られる他、今回は特別に十周年賞が設けられる。詳しい募集内容と応募の問い合わせ先は、山梨学院大学酒折連歌賞事務局(TEL055-224−1641、ホームページ http://www.sakaorirenga.gr.jp)。(M.I)
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