山梨県高校体育連盟は22日、平成20年度全国高校総体(インターハイ)山梨県予選サッカー競技決勝戦を富士北麓公園陸上競技場で行った。決勝戦は前日の準決勝で韮崎高を1対0で下した山梨学院高と、帝京三高を1対0で破った日本航空高の私学対決となった。試合は入梅の雨が時折激しく降る悪コンディションの中で開始された。山梨学院は前半30分、MF伊東拓弥(2年)が右45度25mの距離から左から上がったボールを直接ボレーシュート、ゴール左上隅を突き刺す鮮やかなロングシュートで先制した。勢いに乗った山学はサイドが変わった後半9分、ドリブルでゴール左サイドに切り込んだ山田広大(3年)のボールに高橋潤(3年)が飛び込んで合わせ2対0。5月の総体準決勝で対戦しPK戦で敗れた航空高に雪辱。強化育成クラブ指定3年目で山梨県代表の夢をかなえる快挙を達成させた。試合後、山梨学院高の佐野功治主将に県高体連サッカー専門部金子寛部長から賞状が贈られた。
この試合、両校の布陣はダブルボランチを置く4−2−3−1の航空に対し、山学は中盤をボックスとする4−4−2のシステムで対抗した。航空は正確なロングフィードで相手の背後を突き、スピードのある前線の金澤・土屋・北村を走らせるが、山学は統制のとれたDFラインでカバーしシュートエリアまで運ばせない。一方、中央で数的優位に立つ山学はボランチ藤巻・碓井が丁寧にパスをつなぎ、山田・伊東・佐野(敬)がゴールへ仕掛けるが1対1に強い航空DFが突破を許さず、一進一退の攻防が続いた。前半30分、山学伊東がペナルティーエリアの外から放った見事なロングシュートがゴール左上隅のネットを揺らし、試合の流れを山学有利に導いた。後半の立ち上がり、山学は中盤から積極的にプレッシャーをかけ、奪ったボールを航空DF背後のスペースに仕掛ける戦術を展開、後半9分の追加点は、中盤で奪ったボールを山田がゴール左サイドまでドリブルで切り込み、高橋がタイミングよく飛び込んで合わせた。終盤の航空の猛攻を切り替えの早さと、粘り強いディフェンスで凌いだ山学が創部から30有余年の歳月を経て、遂に優勝の二文字を獲得した。雨の中ずぶ濡れになりながら、大声で選手に指示を送り続けた高木理己監督は試合終了の瞬間、ピッチに倒れこんで大の字になり全身で喜びを表した。選手たちは抱き合って喜び合いながらも「ここで終わりじゃないぞ〜、選手権に向けてスタート台に立っただけだ〜、これからだ〜」と次のステップのインターハイと冬の全国高校選手権に心を向けていた。埼玉インターハイのサッカー競技は7月29日からさいたま市で開催される。
■高木理己監督は「けが人が多くてベストメンバーが組めない苦しい状況だったが、逆にチームがまとまって準決・決勝と失点ゼロの戦いができたのは収穫。選手権前に全国の強豪と顔を合わせられるのはインターハイだけなので、選手たちが全国を知るいい機会となる。大会までに77人の部員をもう一度競わせ、あらためて17番までのユニホームを決める戦いをチーム内で行う、ベースは出来ていてそれがチームの軸となっている。その軸を全国レベルに上げていく」とインターハイに向かう姿勢を語った。
■佐野功治主将は「全国に行くのが夢だったので、それが実現できて凄くうれしい。自分たちは先輩がいなくて1年生の時から公式戦に出て厳しい戦いをしてきたが、今日は昨日の韮崎戦の反省点も修正できて成長した部分を決勝で見せる事が出来た。韮崎と航空を倒してきたので、韮崎と航空の分も山梨のサッカーを見せつけて全国の相手を倒したい」と夢の実現を素直に喜び、全国への抱負を率直に語った。(M.I)
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