

第84回日本学生選手権水泳競技大会(インカレ)二日目は、東京辰巳国際水泳場で100mバタフライ、400mメドレーリレーなど男女6種目の予選・決勝が行われた。山梨学院大水泳部が最も期待する女子100mバタフライでは北京五輪代表の加藤ゆか(4年)と飯窪麻未(3年)松下絵里奈(1年)の3人がそろって決勝に進出した。加藤ゆかは学生最後のレースで快心の泳ぎ、秋山夏希(山梨英和高)が8月20日の日本高校選手権で加藤の記録を抜いた58秒52の日本記録をさらに上回る57秒89の日本新記録を樹立、最高の笑顔で3連覇の表彰台に上った。飯窪と松下も共に自己ベストを出し5位と6位に入った。山学大女子は400mメドレーリレーも大会新記録でこの種目初優勝、二日目を終わった段階で大学対抗得点争いのトップに立った。最終日の明日は400m個人メドレーに出場する女子の坂井菜穂子(2年)と山崎ゆか(3年)、男子の山崎智史(2年)と遠藤佑貴(2年)に期待がかかる。
大学生活最後の試合、加藤ゆかはその胸の思いを燃やした。出場選手の誰よりも小さい158cmの偉大なスイマーは、世界一のスプリント力で猛然と飛び出し、鍛えた両腕を思い切り伸ばして水面を飛び跳ね、誰よりも大きく誰よりも早くゴールにタッチした。記録57秒89、悲願の夢の57秒台、その瞬間その胸を4年間の日々と、北京の思いが駆け巡った。報道陣に取り囲まれたインタビューで
加藤ゆか選手は「前半リラックスして入れたことが記録を作れた要因、オリンピックの疲れが残っていたのでびっくりしました、本当に嬉しい」と瞳を輝かせ、泣きながら駆け寄ってきた苦労を知る新川晴香マネージャーと抱き合った。
女子400mメドレーリレー決勝、山学大の第1泳者は昨日の200mで3位に入った背泳ぎの亀崎あゆみ(3年)1分2秒63の自己ベストで泳ぎ2位の好発進。第2泳者平泳ぎのキャプテン久保田晴奈(4年)は昨日の悔しさを晴らす渾身の泳ぎで横一線をキープ。第3泳者バタフライの加藤ゆかがここで一気に他を突き放し2mのリードを作ってアンカー霜上美智(3年)にリレー、霜上は応援席の大声援を背に何が何でもの思いで力泳、加藤が作ったリードを守りきり創部以来初のリレー優勝を母校にもたらした。亀崎あゆみは「チームのためにやっと役に立つことができました」キャプテンの久保田晴奈は「嬉しいという言葉に尽きます」加藤ゆかは「人生で忘れられない日になりました」霜上美智は「コーチからお前にすべてが懸かっていると言われていて、何が何でも行こうと思いました」と語り、4人は表彰台で勝利のポーズを決めた。
この他のレースでも山梨学院勢は健闘した。200m個人メドレーで男子の
山崎智史(2年)と女子の
坂井菜穂子(2年)が共に表彰台に上る3位に入り、山崎ゆか(3年)が5位。そのほかの選手もほとんどが自己ベストを更新した。
神田忠彦監督は「加藤さんはオリンピックで記録が出るはずだった、払拭できてほっとしている。リレーも頑張ってくれた。自己記録を更新するのは大変なのだが皆計画通り泳いでくれた〕と語り、女子が得点争いトップに立った点については「明日の最終日はポイントを取れるレースが少ないので鹿屋体大に逆転される可能性が強いが、リレーでは何が起きるかわからない」と話した。(M.I)
アルバム |
加藤ゆか選手 |
400mメドレーリレー |