

第84回日本学生選手権水泳競技大会(インカレ)最終目の7日、東京辰巳国際水泳場で400m個人メドレー、男子800mリレーなど男女8種目の予選・決勝が行われた。出場選手のほとんどが自己記録を更新する素晴しい泳ぎを見せてきた山梨学院大は、最終日のレースでも全選手が健闘した。女子400m個人メドレーでは坂井菜穂子(2年)と山崎ゆか(3年)が二人揃って決勝に進出、坂井は先攻逃げ切りの自分のレースをして見事に優勝、2年連続でインカレを制した。山崎はもう一歩で表彰台の4位と健闘。女子100m背泳ぎの亀崎あゆみ(3年)ももう一歩の4位。男子400m個人メドレーでは山崎智史(2年)が5位・遠藤佑貴(2年)が7位に入った、いずれも自己ベストの泳ぎだった。そして、800mリレーで山学男子は創部以来初めて決勝に進出し7位に入った。競泳のインカレは個人戦とリレーの成績を集計して学校別得点を競う大学対抗戦、山学大は日本新記録で3連覇を達成させた加藤ゆかと2連覇した坂井菜穂子の個人優勝と女子400mメドレーリレーのチーム優勝などでポイントを上げ、大学対抗最終成績は女子3位、男子11位となった。
女子400m個人メドレー決勝、スタート前の坂井菜穂子は自信など全くなかった、1年生で頂点に立った後目標を見失った、練習に身が入らない時もあった、400はもう勝てないと思い込んでいた、予選1位初めてのセンターコース、ただ自己ベストを出すことだけを考えて飛び込んだ、坂井の作戦はバッタとバックで離してヒラとクロールで逃げる作戦、見事に決まった、クロールに入った時2位はまだ2mも後ろだった、最後の50mはバテたが粘り切った、記録4分45秒02、自己ベストで再び頂点に立った。表彰式を終えた坂井菜穂子は「もっと一生懸命練習して、40秒を出し(日本)代表選手になりたい」と一度は目標を見失ったその胸に今度は高い高い目標を抱いた。
そして、最終日の男子にドラマが待っていた。800mリレーに挑んだ2年生カルテット(池田慶太・山崎智史・武田晃則・高山裕司)が歴史の扉を開ける奇跡を起こした。男子は創部以来一度も決勝に進出していなかったが、予選でこれまでの県記録を10秒も短縮する7分26秒92を弾き出し予選6位で初の最終日最終レースに進出した。フィナーレを迎えた辰巳国際水泳場の観客は総立ちボルテージは最高潮、山学の応援席は“一人じゃない、心はひとつ”と4人に大声援を送った。第1泳者の池田は「前半を抑えてラストの50mで勝負」して6位、第2泳者の山崎はこのレースが実にこの大会6レース目「完全にバテバテだった」が粘って6位をキープ、第3泳者の武田は「チャレンジャーなので思い切って行った」泳ぎで6位、アンカーの高山は「すごく緊張した、順位を一つ落としたのが悔しかった」が、心がひとつになった7位だった。4人は「今年は決勝に出れた、来年はタイムと順位を上げる」と誓った。
選手全員に自己記録の更新を求めて大会に臨んだ
神田忠彦監督は試合後選手を集め「順位は去年より一つずつ下げたけれど内容は去年よりずっと良かったと思います、皆よく頑張りました。特に男子の800mリレーは水泳部にとっては歴史的瞬間でした、よくやりました」と語りかけ、大会を最後に部活を卒業する4年生全員と握手を交わした。
久保田晴奈主将は「色々な事があったけれど、最後にたくさん感動をもらいました、山梨学院大水泳部を大きくアピール出来たと思います、皆にありがとうと言いたい」と声を詰まらせた。
新川晴香チーフマネージャーは「女子のリレーが残れなかったのは正直悔しいが、感動したり悔しかったりする思いを皆と共有できた素晴らしい青春でした」と感涙していた。3日間応援席の最前列で声援を送り続けた
萩原智子さん(カレッジスポーツセンター研究員)は「後輩たちが年々力をつけ、チームがまとまって来て嬉しく思います。女子はもう強豪校になっていますし、男子が800mで名門校と一緒に泳ぐのを見て涙が出ました」と語った。今年のインカレは関東支部の約90人の学生がその舞台裏を支えた。山学大水泳部マネージャーで今年の学生総責任者を務めた
綿谷健祐実行委員長は大会閉会宣言を行い「今回のインカレは“ドラマは北京で終わらない”をテーマに行われその通りになった大会でした、しかし、インカレでのドラマはまだまだ終わりません、来年の熊本でのドラマを期待します」と良く通る声で三日間の熱きドラマを締めくくった。(M.I)
アルバム |
坂井菜穂子選手 |
800mリレー |