

天皇賜杯第77回日本学生陸上競技対校選手権大会が9月12日から3日間の日程で東京国立競技場で始まった。初日の12日はトラック競技男女12種目、フィールド競技男女7種目の予選・決勝が行われた。山梨学院大陸上競技部からは1万m競歩決勝に藤澤勇(3年 中野実業)、1万m決勝にメクボ・モグス(4年 山梨学院高)らが出場した。1万m競歩の藤沢はスタート直後から順大の鈴木雄介とマッチレースを展開、強い日差しが照りつける中で41分47秒18を記録、鈴木につぐ2位となった。藤沢はオリンピック種目の20km競歩では日本ランキング5位の成長株、このレースで目標をロンドン五輪日本代表に見据えた。1万m決勝はメクボ・モグスと日大のケニア留学生ギタウ・ダニエル(2年)の一騎打ちとなった、モグスはケニア選手権から帰ってきたばかりで体調は良くなく、ラスト1周の伸びを欠きダニエルに次ぐ2位に終わり連覇を逃した。この他男子1500mの松本葵は残り2周で転倒しながら最後尾から追い上げ6位に入賞した。
1万m競歩決勝は、残暑の日差しがトラックを射す午後3時30分にスタートした。山学・藤澤と順大・鈴木の二人が1周目から2位集団をどんどん引き離し、レースは序盤から2人のマッチレースとなった。3000mは藤沢が先頭、5000mのトップは鈴木、7000mは再び藤澤が逆転、どちらも譲らず残り2周からは2人横に並んで“激歩”した。ラスト1周の鐘で鈴木がスパート、藤澤は追おうとするが足が前に出ない、最後は30mほど離されてゴールした。レース直後2人は流れ出る汗を拭きながら互いの健闘を称え合い、表彰台では笑顔でメダルをカメラに向けていた。
藤澤勇選手は「競歩のオリンピック種目は20kmと50km。自分の20kmのタイムは1時間23分01秒で国内5番手~6番手、もっともっと練習して強くなり、胸に日の丸をつけて世界選手権やロンドン五輪に出る選手になりたい」と語った。
1万m決勝は、残暑の夕陽が国立競技場のバックスタンドをピンク色に染めた午後5時30分にスタートした。序盤はモグスとダニエルに明大・松本昂大を加えた三つ巴の展開で始まった、4000mで松本が遅れここからは2人に絞られた、残り10周でモグスがスパートし一旦は10mの差をつけたが、残り8周でダニエルに追いつかれ残り6周では逆に10mほど差をつけられた。ナイター照明が点灯された残り5周で今度はモグスが再度逆転、激しいデッドヒートが続いた、ラスト1周の鐘が鳴った所で2人ともラストスパート、向こう正面までは両者一歩も引かずに激しく競り合った。しかし、体調不良のモグスに対しダニエルは30km練習を何本も積むなど絶好調、最後は離されて敗れた。3位にはサムエル・ガンガ(広島経大)が入りケニアからの留学生3人が表彰台を独占した。日大のダニエルは今年の箱根駅伝2区で15人を抜き、モグスに次ぐ区間2位で走った。モグスにとっては3大駅伝の覇権と五輪ケニア代表を争うライバルとなる。
上田誠仁監督は「2人とも最後の勝負で負けた。藤澤には、筋トレで腹筋や背筋を鍛え最後まで粘る逞しさを身につけることを求めた。モグスについてはケニア選手権から帰ってきたばかりで体調は良くかった。その中で逃げるレースをしないで先頭で引っ張るレースをしたのは良かった。ただ今回負けたことはしっかり受け止め、3大駅伝に向けてトレーニングを積んでほしい」と語った。(M.I)
アルバム |
藤澤勇選手 |
モグス選手 |