山梨学院パブリシティセンター
山梨県下初の文部科学省指定研究開発学校
〜山梨学院小で3年間の研究成果発表授業〜
〜発想力・判断力を育てる実践教育を公開〜

山梨学院大学附属小学校は、平成18年度に文部科学省から新しい教育プログラムを研究する「研究開発学校」の指定を受け3年間にわたり研究を進めてきた。山梨県では幼稚園から高校までを含めて初の指定、私立小学校が指定を受けたのは全国的にも極めて稀なケース。研究テーマは「小学校低学年における『生きる力』を養成する『アントレプレナー(起業家)教育』の実践的な研究開発」というもので、社会生活に必要な発想力・判断力・実行力を低学年のうちから養おうという試み。低学年の1年生から3年生を対象に実践的な研究が進められてきた。9月20日に教育関係者や保護者などを集めた公開研究発表会が行われ、午前中に自由参観授業、午後からシンポジュウムなどが行われ3年間の研究成果が発表された。
アントレプレナー教育は、起業家の立場で社会の仕組みや仕事の魅力を体感し、自分で自分の進路を切り開く力を育成しようという教育。問題発見力・自己発見力・好奇心・チャレンジ精神・判断力・チームワーク力などといった社会生活に必要な力をグループ学習を通じて育てようという新しい試み。イギリスやアメリカなどではキャリア教育・金融教育の中核としてさまざまな学習プログラムが開発されているが、日本では小学校低学年での教育実験はこれまでほとんど行われてこなかった。午前中に行われた3年生の自由参観授業では、架空の紙幣を使い、銀行との融資交渉、市場の動向やニーズを見つめた商品開発や仕入れ、企画プレゼンテーションといった社会の仕組みを学ぶ「市場体験型シミュレーション活動」授業が行われた。64人の生徒がお菓子を生産販売する12の会社グループに分かれ、各自が社長・経理部長・開発部長といった役割を分担、銀行や市場関係者役の教師と交渉しながら商品の企画開発から販売に至るまでの過程を体験する“マーケットゲーム”を行った。生徒たちは自分の役割を果たそうと目を輝かせ“市場の動向”に注意を払いながらチームで話し合って商品を企画開発していた。指導した3年学年主任の長田直美教諭は「3年生は、2年生の時に大豆を育てて黄粉を作って商品化することを体験しており、今回はマーケットゲームに発展させた。以前よりも自分の役割や情報をつかんで動くことができるようになり、なによりも自分で考えて自分から積極的に動くようになった」と語った。この他、2年生の公開授業では広告宣伝を通じて発想力やコミュニケーション力を高めようという「おどろき桃のPR大作戦」授業。1年生の教室では、お客さんに喜んでもらえる態度や行動を考える「景気のよいケーキ屋さん」授業が行われた。授業を視察した教育実習生の中央大学生永野彩香さんは「最初はどんな事になるのかと思ったのですが、教師が情熱を持って指導すると低学年の生徒でもどんどん積極的に考えて行動することが判り驚きました。教壇に立てたら自分も取り組んでみたい」と話していた。午後からは「小学校のアントレプレナー教育を考えるシンポジューム」が行われ、コーディネーターを務めた田中智志校長は「自分が丹精込めて作ったものを売るという行為は、他者に預けるという自分と他者を結びつける行為。手放してしまう悲しみと人に認められる喜びがない交ぜになる気持ちが人を育てる」と語った。日本のアントレプレナー教育の権威京都教育大附属京都中の上西好悦教諭は「アントレ教育は子どもたちが、自分で自分が興味を抱く事を見つける自己開発教育。山梨学院小の取り組みによって、むしろ低学年から実践した方が良い事が立証されたと言える」と3年間の研究成果を高く評価した。(M.I)
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