
この春に強化育成クラブとして産声をあげた山梨学院大学女子ソフトボール部(愛称RED SWANS)が関東学生ソフトボールリーグ1部2部入れ替え戦に勝利し1部昇格を決めた。山学大女子ソフト部は5月の春季リーグ戦に3部で公式戦デビュー、4戦全勝で優勝し10月の秋のリーグ戦は2部に昇格、ここでも4戦全勝で優勝。10月18日の1部2部入れ替え戦で清和大を下し、超ハイスピードで1部昇格を決めた。チームのスローガンは“BEAT”北は北海道、南は熊本から結集した21人の部員は全員が1年生、この7ヶ月間は大学から5km離れた小瀬球技場に自転車で通い練習を重ねた。砂田グランドに建設中のソフトボール専用球場は11月末に完成する予定。最短最速で1部昇格を決めた部員たちは11月1日からの関東大学選手権に向け、ナイター照明の下で笑顔で躍動している。
5月5日のリーグ開幕戦、誕生わずか1カ月でデビューした山学ナインはよちよち歩きだった。チームメイトの顔も名前も気心も良く分からないまま埼玉大との初戦に臨んだ。硬さが目立ち埼玉大の嶋村の軟投を打ちあぐねてフライの山を築き3回裏には先取点を奪われた。打順が一巡した4回表にキャプテン市川奈那美(常葉菊川高)が俊足を生かしたセーフティーバンドで出塁したのを足掛かりに6点を上げ、森藤真以(飛龍高)が完投して歴史の第一歩を踏み出した。3部リーグで優勝し入れ替え戦にも勝利したが、5月24日のインカレ関東予選では1回戦で淑徳大に惨敗、チームはまだ一つにまとまっていなかった。7月の全日本総合関東予選で、春に敗れた淑徳大に勝利し本大会出場権を獲得、この頃からチームはまとまりだした。8月には東日本大学選手権・国体関東予選で強豪チームと対戦、自分たちはやれると自信がついた1年生軍団は秋季2部リーグ戦を制し、10月18日の1部2部入れ替え戦で清和大を9対2(6回コールド)圧勝で下し、1部昇格を決めた。
秋の夕陽はつるべ落とし、午後5時には日没となる小瀬球技場で、部員たちは今年最後の大会となる11月1日からの関東大学選手権に向けナイター照明の下で練習に励んでいる。
市川奈那美主将は「最初はボールの違いに戸惑ったが、戦って行くうちに“上に上がれる”という自信がついた1年でした。来春は1部で戦うが1部で優勝したい、自分たちの目標は日本一になる事、15人の新入生が入ってくる予定でチーム内の競争は厳しくなる、全員で切磋琢磨して頑張って行きたい」と語った。投手は3人で、
高橋知子投手(細田学園)は「最初は足の骨折で何か月も投げれなくて、精神的にも肉体的にも辛かった。復帰してからも追いつこうという気持ちが強くて焦った、最近やっと良くなってきました。冬の間にコントロールと変化球をしっかり身につけ1部でも通用するようにしたい」。
渡辺由美投手(天童高)は「今年は調子の良い時と悪い時の差が激しかった。追い込んでから打たれる事も多かった。ピッチャーの出来でゲームは決まってしまうので、来シーズンは今年の反省点を改善して良い時と悪い時の差を縮めるようにして勝利に貢献したい」。
森藤真以投手は「始めの方はどんどん調子よく投げれたが、ケガで戦線を離脱した。今やっともう一度投げれるようになったので、ここから最後の関東カレッジに合わせて頑張りたい。冬の間にしっかりトレーニングしてケガをしない体を作り来シーズンに備えたい」。3人はそれぞれの今シーズンを振り返り、来シーズンの抱負を語った。
選手を支えている
塚野麻木トレーナーは「今年は入学してすぐシーズンということもあって体力作りが充分出来ずにけが人を多く出してしまった。冬の間に基礎体力作り・筋力トレーニング・食生活の自己管理をしっかりアドバイスして1年間ケガをしないで乗り切る体を作るよう手伝って行きたい」と語った。
11月末には砂田グランドに公式戦仕様の女子ソフト部専用球場が完成する予定。内野は透水性の高い土を使用し、外野は人工芝、バックネット裏には150人が観戦できるスタンドが設置される。隣接してミーティングルーム・トレーニングルームなどを完備したクラブハウスと人工芝の雨天練習場が設けられ、恵まれた環境が整う。
清水正監督は「若干時間はかかったが、6ヶ月の間に選手は良く成長して自立してきた。勝負の出来る選手になってきた。15人の新入生が入る予定で選手層は厚くなる。来シーズンの目標は1部での優勝とインカレ出場。創部して1年目にグランドや寮を用意してもらい感謝しています。我々は日本一のグランドを使わせてもらうわけですから、それに応えるために、早く日本一のチームにしたい」と語った。(M.I)
|
アルバム練習風景 |
アルバム埼玉大戦 |
アルバム東日本大学選手権 |