
男子第57回・女子第30回全日本学生ホッケー選手権大会(インカレ)最終日の11月3日、東京町田市・法政大学多摩グラウンドで男女の決勝戦と3位決定戦が行われた。6月の大学王座決定戦で“宿命のライバル”天理大を破って優勝した山梨学院大女子ホッケー部は、創部以来まだ一度も成し遂げていない2冠とこの大会の3連覇を胸に天理大との決勝戦“宿命の対決”に挑んだ。
試合は山学が前半14分に先制したが、天理が前半24分と前半34分に得点。天理リードのまま進んだ後半試合終了2分前、加藤彰子(2年横田)が同点ゴールを決めてVゴール方式の延長戦に突入、開始早々の2分に李仁敬(3年 松谷女子)の強烈なパスを徳島葵(3年 京都すばる)が見事にタッチシュートして優勝ゴール。戦場は一瞬にして歓喜の舞台に変わった、悲願の2冠とインカレ3連覇を一挙に手にした選手たちは、フィールドの上で泣き笑い 抱き合い、記念撮影を求めるカメラの列にV3サインと最高の笑顔を向けた。
試合は紅葉の始まった多摩丘陵のグランドで12時45分に始まった。山学は前半14分に李仁敬がPS(ペナルティストローク)を落ち着いて決め先制した。これに対し、天理は前半24分にPC(ペナルティコーナー)からの混戦で太田がリバウンドを決めて同点、前半終了間際にゴール前のこぼれ球を柴田が決めて逆転、天理1点リードで折り返した。ハーフタイム、ジョン・シアン監督は厳しい顔で選手を叱った「なぜ止めないんだ、相手の方ががむしゃらだ、気持ちをぶつけろ」。円陣の輪の中で、負傷で試合に出られない飯野綾香主将(4年巨摩)は「一人じゃないから、皆がいるから、絶対勝つぞ」と送り出した。山学は後半開始早々から猛攻を仕掛け5分、7分と立て続けに好シュートを放つがネットを揺らせない。27分に得たPCから李仁敬が打ったシュートはゴールポストに阻まれる。天理は守備を固めて守り一辺倒、山学は攻めても攻めても点が入らない、もう駄目だと思った終了2分前、サークルトップから放った李のパスを加藤がタッチシュートで合わせ、ぎりぎりの所で同点に追いついた。延長突入直後の2分、李の鋭い縦パスに徳島が見事な反応でタッチし決勝ゴール、山学は77分間の激闘の末に3対2で宿命対決に勝利した。感極まった選手たちは、シアン監督、飯野主将、中島史恵副主将、大内美希マネージャー、寺本祐治総監督を次々に胴上げして喜びを爆発させた。試合後の表彰式で、最高のパスを出し続けた李仁敬に最優秀選手の称号が贈られた。尚、3位決定戦に臨んだ男子は、法政大にペナルティ・ストローク戦の末に敗れ4位となった。
■6月に右膝じん帯断裂の重傷を負い、試合に出られない中でチームを支えてきた
飯野綾香主将は「試合中祈り続けて絶対やってくれると信じていました。インカレを取るために手術を延ばして、みんなのために自分が出来る事を精一杯やってきたのでインカレ優勝という結果は本当にうれしいです」と感涙していた。
■ゲームキャプテンとしてチームを引っ張った
中島史恵副主将は「最後5分となったけど、5分しかないとは考えずに5分もあると考えて絶対いけると思って戦いました。同点になった時はこれで波に乗っていけると思い、戦い抜いて本当に良かったです」と苦闘の試合を振り返った。
■優勝のシュートを決めた
徳島葵選手は「自分とインギョンの間のコースが空いていたので、絶対ここに来ると思ってタッチしました。43人みんなで戦って勝つがチームの合言葉、タッチシュートしか出来ない自分が勝利に貢献できて嬉しい」とVゴールを喜んだ。
■対外折衝や渉外・広報から雑用も引き受けてきた
大内美希マネージャーは優勝おめでとうの呼びかけに「駄目です、喋りかけないで下さい、泣きたくなります。みんなで勝ち取った優勝なので“超”うれしいです、最高のチームにありがとうと言いたい」と最初は声を弾ませ最後は声を詰まらせた。
■大会最優秀選手に輝いた
李仁敬選手は「始めはペースに乗れなかったが、途中からは山学のペースで戦えた。延長はすごく緊張したが、徳島さんが見えたのでパスを出した。日本に来て1年生の時からインカレで優勝しているので連続して勝てて良かった」とすっかり板についた日本語で話した。
■
ジョン・シアン女子監督は「苦しい試合でした、相手に気迫負けしてイージーミスが多かった。後半は攻め続けてはいても動きが悪く、サークル内に入っても相手の守備に阻まれ得点が入らない展開だった。後半の天理は引いて守り切ろうという試合運び、正直駄目かなとも思いましたが良く追いつきました。創部以来の2冠と3連覇の完全制覇達成で嬉しいです。来週には関東リーグがあるので、2日ほど休ませて気持ちを連勝記録に切り替えさせて臨みたい」と語った。
■
寺本祐治総監督は「女子は勝つべくして勝って3連覇という事で安堵しました。男子もアベックと思ったが力不足、最終的には3位もならず4位という結果で落胆している。普段の選手の取り組み姿勢が女子の方が良くて、男子はちょっと生ぬるいという結果が出たと思います。女子は12月の全日本選手権で決勝に駒を進め、全日本チャンピオンを目指していきたい、男子もインカレ4位という事で全日本選手権に出られるので、少しでもいい順位を目指し上に押し上げたい」と語った。(M.I)
|
アルバム1 |
アルバム2 |