
昭和町議会(浅川武男議長)と山梨学院大学ローカル・ガバナンス研究センター(江藤俊昭センター長)は11月6日、昭和町議会議場で学生模擬議会を行った。両者は今年5月22日に全国初の試みとして、議会改革の推進をテーマとする協定を締結しており、この日の試みは学生の柔軟なアイデアを行政や教育、福祉の向上に役立てようと実施された。「ローカル・ガバナンス」は政策立案や議会活動を、自治体、議員だけでなく住民や大学の研究者、地元企業などの多様な主体が参画して進めようという試み、地方分権が進む中、地域力を再生させる新たな地方経営手法として注目されている。質問を行ったのは法学部政治行政学科の公務員志望学生ら17人で、この5カ月間、それぞれの視野で昭和町の現状を調査して来た。学生たちは背広姿で議場に立ち、やや緊張した表情で一般質問と町への提言を行った。
最初に挨拶した
浅川武男昭和町議長は「この議会は、議会改革を進める上での事業として行うもので若い学生の感性に期待し、今後の議会活動の参考にしたい。学生諸君には今後も昭和町について学んで頂き、将来昭和町に永住したくなるような街づくりのための提言を色々して頂きたい」と語った。続いて
江藤俊昭山梨学院大学ローカル・ガバナンス研究センター長が「今回の学生議会は、議場を開かれたものにしていこうという試みのひとつ、議会の慣例を見直す機会になればと思います。また、本学は地域に根差した大学を目指しており、公務員志願が多い政治行政学科の学生が、地域を見つめる動機付けになればとも考えている」と挨拶した。
学生議会は午後1時15分から始まり、17人の学生が一人10分の持ち時間を使って一般質問・関連質問を行い、昭和町役場の各課長が執行部側の答弁を行った。議場には15人の町議会議員も出席して見守った他、傍聴席では学生など約80人が議論を見守った。この中で、8番目に質問に立った
渡辺敦君は「自然災害対策の一つとして、雨水を地下にしみ込みやすくする『雨水浸透ます』を設置し、川に流れ込むまでの時間を長くして河川の氾濫を防ぐのに役立ててはどうか」と提言した。答弁に立った
雨宮章人環境経済課長は「昭和町にとって河川と地下水の対策は大変重要なテーマ、この夏の集中豪雨のような災害対策に意義のある事業と思われるので担当課で考えていきたい」と設置に前向きな姿勢を示した。地方分権時代の地方議会のあり方について、大学の研究機関と学生が町議会議員とともに考える極めてユニークな試みは来年3月末まで研究が続けられることになっており、大学側は政策提言・コンサルティングなどを通じて昭和町議会の議会改革を支援することになっている。(M.I)
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