
平成20年度のホッケー日本一を決める第82回全日本男子ホッケー選手権大会は12月14日、奈良県天理市の親里ホッケー場で決勝戦を行った。山梨学院大男子ホッケー部は予選リーグで今シーズン一度も勝てなかった宿敵の天理大に勝利したのをはじめ、Selrio島根と岩手クラブも下してB組1位となり決勝に進出した。対戦相手は優勝候補の名古屋フラーテルを下して勝ち上がったA組1位の立命館大、学生同士の頂上決戦となった。山学大はチームの支柱三澤孝康主将(4年)が1週間前に右手親指を骨折して欠場、切り込み大将の北里謙治(1年)は先月骨折した右足親指をテーピングで固めて強行出場、他のメンバーも3連勝中に体を痛め、誰もが満身創痍で最終決戦に臨んだ。試合は前半1−1、後半も山学は押し気味に試合を進めたがゴールを割れなかった、逆にチャンスの少なかった立命館大にPC(ペナルティーコーナー)から2点を与え1−3、夢の日本一にあと一歩届かず準優勝となった。
今シーズンの山学大男子は大学王座で立命館大、インカレで天理大に敗れ、日本リーグも5勝4敗1分と苦しい戦いを続けてきたが、2週間前にホームで行った日本リーグ・プレーオフで立命館大を下し日本リーグ3位を獲得、シーズン後半になって調子を最高潮に上げた。男子は創部7年目だが、今年大学王座とインカレを制し初の大学2冠3連覇を達成させた女子もまだ“日本一の座”は獲得しておらず、山学大ホッケー部にとっては創部14年目にして巡ってきた千載一遇の日本一のチャンス、部員たちは痛む体に鞭打ってフィールドに飛び出した。
試合は北風の吹く曇り空の下、NHK生中継の放送開始時間に合わせ午後2時に始まった。試合は山学優勢で進んだが、前半29分に立命館がPCで先制、これに対し山学は33分にPCからのこぼれ球を禹大命(3年)がスティックを反転させ後ろ向きでゴールを決め1−1の同点で折り返した。ハーフタイム、寺本祐治監督は「流れは悪くない、まず守備を固めろ、体を張れ」と檄を飛ばした。選手たちは円陣を組み「残り35分、全力を出し切るぞ」と叫び再びフィールドに飛び出した。いきなり敵陣深く攻め込みシュート、3分にはPCを得て久保良太(2年)がシュート、どちらもGKに阻まれる。押し気味に試合を進めるがゴールを割れない。雲が切れ、急に晴れ間が広まった10分、相手にPCを与えてしまい、逆光でボールが良く見えない不運、タッチシュートを決められ1−2、山学は14分にPCを得るが相手GKに弾き返される。逆に27分に与えたPCを立命館に決められて1−3、ここで久保にイエローカードが出され5分間以上の退場処分、一人少ない人数となり攻めきれない、山梨から応援バスで駆けつけた女子部員達らが「押っせ〜、押せ押せ、行っけ〜、行け行け」と送り続けた声援の願い届かず、日本一の夢は果たせなかった。試合終了後、責任を感じて涙が止まらず号泣する久保良太を、この試合を最後に部活を卒業する竹田昇司ら4年生が抱きしめて慰めていた。君たちはよくやった、あと一歩まで登った。骨折のため試合に出られなかった
三澤孝康主将は「準優勝でしたが、どちらが勝ってもおかしくない紙一重の試合でした。皆実力を出し切っていい試合をしてくれました」とチームメイトの健闘を称えた。ゲームキャプテンを務めた
三塚祐治選手(4年)は卒業とともにホッケーも卒業する「非常に悔しいですけど、今期最高の成績を収められたので満足もしています。日本一は後輩たちに託します」と4年間流した汗をぬぐった。
寺本祐治監督は全員と握手し選手一人ひとりに言葉をかけた。「流れの良かった前半に得点していれば結果は違っていたかも知れない。ペナルティーコーナーの決定力が試合を分けた形になったが、インカレで敗れたあと選手たちは目の色を変えて取り組みここまで良くやってくれた。チームを引っ張った4年生には本当にご苦労さんと言いたい、山梨学院の歴史に新たな1ページを作ってくれた」と4年生を称え、下級生たちとともにもう一度この舞台に戻ってくることを誓った。
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