
天皇杯平成20年度全日本レスリング選手権大会が12月21日、東京・代々木第2体育館で3日間の大会の幕を開けた。山梨学院大レスリング部からはこの大会に10人が出場、1日目は男女計8階級の1回戦から決勝までが行われ山学勢は7人がマットに上がった。この内、優勝が期待されたグレコローマンスタイル96kg級の山本雄資(4年 多度津工)は優勝した北村克哉(FEG)に準決勝で惜敗し銅メダルに終わった。アテネ五輪フリースタイル74kg級代表で大学時代4年連続大学2冠王、全日本選手権7連覇という不滅の記録を打ち立てたOBのフリー84kg級小幡邦彦(山学大〜総合警備保障)は現役引退を胸に秘めて最後の全日本選手権に臨んだ。1回戦から快進撃で勝ち進み、決勝戦でもフォール勝ちという圧倒的強さで有終の美を飾り全日本の優勝回数を8回に伸ばした。山学大が産んだ最強の28歳は試合後に記者団の質問に答え、この大会で現役生活に区切りをつけ、来年四月からは山学大レスリング部コーチとして指導者を目指すことを明らかにした。
山梨学院大勢で最も期待されたグレコ96kg級の山本雄資の戦いは、決して悪い戦いではなかった。1回戦で玉田好司高(日本文理大)を圧倒、2回戦で山学大の後輩有薗拓真(1年 育英)を倒して準決勝に進み、北村克哉(FEG)と対戦した。第1ピリオドをポイント4−2で取ったが、第2ピリオドはスタンドプレー両者ポイントなしでボールピックアップ、ここで相手有利となる青ボールが選出、グランドプレーで守り切られピリオドを取られる。第3ピリオドも両者ポイントなしからボールピックアップ、袋の中から出てきたのはまたしても相手有利の青ボール、クロスボディロックの形から回されて万事休す。ピリオド1−2準決勝で敗退した。
山本雄資選手は「北村選手とは2回戦って2回とも第1ピリオドを奪いながら、ボールピックアップで負けた。攻め切れなかったのだから実力差なのかも知れない」と力を落とした。卒業後は警視庁に就職し第六機動隊に所属しながら練習に励みロンドン五輪を目指す。
フリー84kg級小幡邦彦の戦いは相手に付け入る隙を与えない快進撃だった。1回戦新井智明(拓大)は第1ピリオド早々のフォール勝ち、2回戦山口剛(早大)2−0、準決勝伊藤拓也(マルハン)2−0、スピードで対戦相手を圧倒して決勝に勝ち上がった。決勝でも松本篤史(日体大)を寄せ付けず、第1ピリオド3−0で奪い、第2ピリオド50秒でフォール勝ち、圧倒的な敵なしの強さで優勝。全日本の優勝回数を通算8回に伸ばし、霞ケ浦高校時代から勝ち続けたマットを降りた。試合後記者団に取り囲まれた
小幡邦彦選手は「北京五輪の予選で敗れてやめようかなと思ったが、ここまでずるずる来た。体力が続けばロンドン五輪も考えられるが、今回で一応現役に区切りをつけて、来年四月から母校の山梨学院大レスリング部のコーチとして後輩の指導に当たりたい」と語った。大会1日目を終えた
高田祐司監督は「山本には優勝してほしかったし他の選手ももう少し上位に行ってほしかったが、全日本の大会なので簡単ではない。次のロンドンに向けて第一歩が始まったというところ、小幡には御苦労さんと言いたい、今度は指導者として後輩をしっかり育ててもらいたい」と語った。
他の選手の成績
奈良部嘉明(F74kg級)2回戦敗退、有薗拓真(G96kg級)2回戦敗退。橋本雄太朗(F74kg級)1回戦敗退、渡辺瑞基(G96kg級)1回戦敗退、小室 直人(F84kg級)1回戦敗退。
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アルバム山本 |
アルバム小幡 |