山梨学院パブリシティセンター
第85回東京箱根間往復大学駅伝競走 ≪復路≫
〜波瀾万丈の大波乱戦国駅伝 山学大は総合6位〜
〜二度のトップ、二度のブレーキ、二度の区間賞〜

第85回東京箱根間往復大学駅伝競走は1月3日、箱根・芦ノ湖駐車場前から東京・大手町読売新聞社前までの109.9kmで復路が競われ、往路山上りで逆転トップに立った東洋大が復路は安定した走りで優勝候補の早稲田大を振り切り、通算11時間9分14秒で初の総合優勝を果たした。往路5位で折り返した山梨学院大は当日変更で3人がエントリー変更、6区 渡辺清紘、7区 岩田真澄、8区 岸本匡、9区 中川剛、10区 赤峰直樹の布陣で臨んだ。6区渡辺は最初で最後の箱根で力走5位、7区岩田も粘りの走りで5位キープ、しかし8区岸本12位後退のブレーキ、シード落ちのピンチを9区に起用された中川剛が区間賞を獲得する激走で救い9位に戻し、10区赤峰が明大・中大・東農大との激しい戦いに競り勝ち、昨年と同じ総合成績6位を獲得、2年連続してシード権を確保した。史上最多の23チームが出場した第85回記念大会は、優勝候補筆頭の前年覇者駒大が13位まさかのシード落ち、名門順天堂大19位低迷、城西大8区途中棄権、部員不祥事で監督が辞任し出場さえ危ぶまれた東洋大が出場67回目で史上最遅の初優勝を飾るなど番狂わせが続出した。山学大は大波乱戦国駅伝の中でトップに立つこと2回、5区と8区でブレーキ、モグスと中川が区間賞(モグスの記録は区間新)を獲得するなど、浮いたり沈んだりはらはらドキドキの波乱万丈ドラマを箱根路で展開した。


■山梨学院は当日変更で3人をエントリー変更して復路(5区間109.9km)に挑んだ。6区 渡辺清紘(4年・米沢工)、7区 小棚木教彦(3年・秋田工)→岩田真澄(3年・富山商)に変更、8区 山本真也(4年・報徳学園)→岸本匡(3年・鳥取中央育英)に変更、9区 中川剛(3年・豊岡南3年)、10区 大谷康太(3年・出雲工)→赤峰直樹(2年・鶴崎工)に変更。

6区 渡辺清紘(4年・米沢工)
20.8km[箱根・芦ノ湖駐車場前から鈴廣前]
▲渡辺清紘は4年になってやっと箱根の舞台に立つことが出来た。卒業後は故郷の山形に帰る。市民ランナーとしては走るだろうが、競技者として大舞台で走るのは自分の人生でこれが最初で最後だと心に言い聞かせてレースに臨んだ。山下りには絶対の自信を持っていたから出場を告げられた時も不安はなかった。極度ではなく程よい緊張感の中でトップから4分13秒遅れでスタートした。前にも後ろにも人がいない一人旅、オーバーペースにならぬよう慎重に山を下った。最初の5キロを17分30秒の目標設定通りに走れた。このことがそのあとの走りに自信を与え、後半の15キロも好調に走れた。ラスト3キロで苦しくなった時、運営管理車に乗っていた上田監督からの声「両親にいい所を見せろ」監督の声と沿道の声援が渡辺の背中を押した。難しい一人旅を冷静な走りで乗り切り、トップとの差を4分9秒差に縮めて5位をキープ、山下りの大役を果たした。渡辺清紘選手は「監督の言葉で両親がテレビで見ている事に気づき、力を振り絞りました。最後の最後で箱根を走る事が出来て、自分の力を出し切る走りが出来ました。4年間を無駄にしたくなかった、努力は無駄ではなかった」と語った。
【区間順位10位】01:00:26 【チーム順位5位】06:38:03

■1位 早大、2位 東洋大、3位 中央学院大、4位 日体大、5位 山梨学院大学、6位 大東文化大、7位 明大、8位 帝京大、9位 日大、10位 中大、

7区 岩田真澄(3年・富山商)
21.3km[鈴廣前から花水レストハウス前]
▲小田原からは海を右手に見ながら国道1号線を東京に向かう海沿いのコースとなる、この日は穏やか過ぎるほどの風のない快晴のコンディション、気温が上昇し選手の体から汗が噴きだした。岩田は海の方向からの強い日差しを避けるためサングラスをかけて疾走した。10キロ付近で後続の明治と大東文化の2校が迫ってきて5位グループが形成され三つ巴の戦いとなった。実は、岩田と明治の安田昌倫、大東の若狭聖也の3人は前に一度戦っている。3月の立川ハーフマラソンの時に偶然にもまったく同じ展開の三つ巴となり、その時は二人に置いて行かれた。「負けてたまるか、絶対借りを返してやる」岩田の闘争心に火が付いた。17キロ付近で明治の安田が仕掛けて来たがスピードを上げて対抗、大東若狭の揺さぶりにもピタリとついて離されない、二人にちょっと遅れた形の7位の位置で我慢して粘り、21キロ付近で前に出てラストスパート、二人を振り切り5位で中継所に飛び込んだ。結果的にはライバルと並走したことが幸いして区間4位の素晴らしい走りとなった。岩田真澄選手は「偶然まったく同じ顔ぶれになり、この二人だけには絶対に負けられないと思って闘志を燃やした、いつでもどこでも走れるように準備していたので当日エントリ―に不安はなかった」と語った
【区間順位4位】01:05:33 【チーム順位5位】07:43:36


■1位 早大、2位 東洋大、3位 中央学院大、4位 中大、5位 山梨学院大学、6位 明大、7位 大東文化大、8位 帝京大学、9位 学連選抜、10位 日大、

8区 岸本 匡(3年・鳥取中央育英)
21.5km[花水レストハウス前からボルボ・カーズ戸塚前]
▲山梨学院大の陸上部は選手の実力レベルに合わせ「強化」「育成」「サテライト」の三つに分かれている。実力の劣るサテライトに大野景也コーチが就任してから、走力を一気に伸ばす選手が出てきた。岸本は努力を重ねてサテライトから這い上がってきた選手。3月の立川ハーフマラソンでは1時間7分15秒だったが、11月の上尾ハーフマラソンで1時間4分45秒を出し、短期間に2分30秒短縮させたことが評価されて夢のまた夢であった箱根メンバー入りを果たした、その岸本に箱根は試練を与えた。平常心で冷静に自分の走りをしようと飛び出したが、向かい風に向かって走っているうちに足が動かなくなってきた。10キロで6位に後退、15キロで7位、17キロで8位となりさらにずるずると順位を下げた。もがき苦しむが足は思うように動かない、往路5区に続くブレーキ、目標タイムの1時間6分30秒に遠く及ばない1時間11分4秒でやっとリレー、シード権を手放す位置の12位にまで順位を下げた。岸本匡選手は「今まではサテライトで大野先生に頼って練習してきた、これからは自分で練習メニューを決めてしっかり努力していきたい」と語った。
【区間順位22位】01:11:04 【チーム順位12位】08:54:40

■1位 東洋大、2位 早大、3位 日体大、4位 明大、5位 中央学院大、6位 大東文化大、7位 東農大、8位 中大、9位 帝京大、10位 日大、11位 国士館大、12位 山梨学院大学、

9区 中川剛(3年・豊岡南)
23.2km[ボルボ・カーズ戸塚前から鶴見市場交番前]
▲今シーズン最も成長した選手中川は全力で前を追った。たすきを受けてすぐに国士館大を抜いて11位に上がり、7キロで帝京大をとらえシード権内の10位に順位を戻した。17キロで日大をとらえて9位に上がり、さらに20キロで中大・東農大をとらえ一時7位にまで順位を上げた。足を使い切っていたのでラストスパートの余力はなく、二人に抜き返されたが最後まで食らいつき、6位の明大との差41秒の大混戦に持ち込み9位でタスキリレー、日本人選手では久し振りの区間1位を獲得した。182cmの長身選手中川は高校時代は目立った成績は出せなかった。陸上を諦め福祉の道に進もうと近畿福祉大に入学したが、上田監督に出会って陸上への情熱が再燃、1年で退学して山学大に入学し直した。中川剛選手は「向かい風できつかったが、シード権を確保しなければと前を追った。最後に抜き返されたのは悔しいが、自分の走りが出来て区間賞を取れたのは非常に嬉しい」と語った。
【区間順位1位】01:11:07 【チーム順位9位】10:05:47

■1位 東洋大、2位 早大、3位 日体大、4位 中央学院大、5位 大東文化大、6位 明大、7位 中大、8位 東農大、9位 山梨学院大学、10位 日大、

☆ 10区 赤峰直樹(2年・鶴崎工)
23.1km[鶴見市場交番前から東京・大手町読売新聞社前]
▲初めての箱根、しかもアンカー、最終10区のアンカーを託された2年生の赤峰は緊張した。体調は必ずしも万全ではなかった、20キロの公認記録1時間5分39秒とさほど速くない自分が走る事に、チームメートからあいつで大丈夫なのかと思われていないかと気にもなった。しかし、同級生で往路でブレーキした高瀬無量が励ましのアドバイスをくれて心が落ち着いた。「無量の分も頑張って走れば、あいつの気持ちも楽になる」と思って飛び出した。6位の明大から12位の学連選抜までは、うまく走ればシード権獲得、間違えたレースをするとシード落ちしてしまう団子状態の最終盤となった。見ているものにはドラマチックな展開、走っているものにとっては地獄のロード。赤峰はひたすら前を見つめて追った、よく踏ん張った、最高のレースをした。3人を抜きチームを昨年と同じ6位に引き上げて大手町のビルの谷間に張られたテープを切った。赤峰直樹選手は「すごいプレッシャーだったが、頑張り切れたので自信になった。来年はもっと練習して今以上の力をつけて頑張りたい」と語った。
【区間順位8位】01:12:09 【復路順位11位】5:40:19 【総合順位6位】11:17:56

【往路復路総合成績】
■1位 東洋大、2位 早大、3位 日体大、4位 大東文化大、5位 中央学院大、6位 山梨学院大学、7位 日大、8位 明大、9位 学連選抜、10位 中大、11位 国士館大、12位 東農大、13位 駒大、14位 専大、15位 神奈川大、16位 亜細亜大、17位 拓大、18位 東海大、19位 順大、20位 帝京大、21位 上武大、22位 青学大、23位 城西大、

レース直後に成績報告会が開かれ、松村康平主将は「応援ありがとうございました。アクシデントがどこで起こるか分からないレース展開でしたが、今年はモグス一人に頼らないレースが出来たと思います。私たち4年生は卒業するが、1年生から3年生は今年の箱根を胸にしまい、来年は今年以上の成績を残すよう頑張ってほしい」と後輩にエールを送った。
飯島理彰コーチは「二日間ともはらはらドキドキしたレースでした、来年は安心して見ていられるように選手を育てたい」少ない言葉の中に熱い思いを込めてお礼を述べた。
上田誠仁監督は「この2日間、喜びの時もあり落胆の時もあった、次は何とかしてくれるだろうと期待した時もあった。おかげさまでという言い方をしていいか分からないがシード権を取れた。85年の記念の時の中でいかだを組んで漕ぎ出し満身創痍ではあったが向う岸にたどり着けた。この大会で得た課題をチーム全体でしっかり捉え、1年間かけて組み立て直し来年はもっとしっかりしたいかだを組んで船出したい」と挨拶するとともに大学の教職員やOBが沿道で小旗を振り声援を送り続けてくれた事に感謝した。
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