
第61回山梨県高校総体サッカー競技兼関東大会予選は4月25日、県内3会場で3回戦7試合を行った。このうち山梨学院高校サッカー部は雨が激しく降るホームグランドの山梨学院和戸サッカー場で都留高校と対戦した。試合前半の山学は、引き気味に守りを固める都留のディフェンスを崩せず0−0で終了した。しかし、後半の山学はパス回しが早まり、運動量で都留を圧倒、後半から投入された186cmの長身FW加部未蘭(2年)が一人で3得点を決め、3対0で勝利、5月9日に行われる準々決勝進出を決めた。今シーズンの山梨学院高はGM横森巧総監督が陣頭指揮でチームの指揮を取り、元清水エスパルスヘッドコーチの吉永一明ヘッドコーチと湯浅征二郎GKコーチを招へい、名将と新進気鋭指導者がスクラムを組んで頂点を目指す。試合後、横森巧監督は「焦らず、淡々と行きます」と語った。
気温25度の夏日だった19日の2回戦から一転、25日の試合開始時間午前10時の気温はわずか10度、応援に駆けつけた父母らは傘を手に震えながら観戦する雨中の戦いとなった。試合前、横森監督は選手を集め「一つ一つの競り合いに負けるな、オフェンスは積極的に前へ、ディフェンスはそのフォローを冷静に行え、タフに戦え!」と指示して送りだした。前半7分、堤が山学最初のシュート、惜しくもゴールポストに弾かれる。前半で山学が作り出せた決定的シーンはこの場面ぐらい、あとは攻めてはいるが守り重視の都留の陣形を攻め崩せない。28分に得たこの試合初のCKも生かせず、前半は0−0で終了。ハーフタイムの横森監督は「練習通り出来ていない、考えてからプレーしていては駄目だ、中盤でのパス回しを早くしろ」と指示、後半開始からFWに加部未蘭を投入した。その加部が試合の流れを変えた。後半5分、右45度20mの位置からロングシュートを放ち、ゴールネットに突き刺した。25分にMF伊藤拓弥(3年)が右サイドから鋭く切れ込み、ゴール正面の加部にナイスパスして2点目、30分にDF栗原春介(2年)が右サイドライン沿いをドリブル突破してセンタリング、このボールを加部が長身を利して完璧なヘディングシュートを決め、ハットトリックを完成させた。
加部未蘭(かべ・みらん)選手(2年)は「公式戦で得点したのは初めて、しかもハットトリック、自分でもびっくりです」と語り、変わった名前について尋ねると「スポーツライターのお父さんが、欧州の強豪チームACミランから自分の名前をつけた」と笑顔で語るサッカーの申し子、成長が期待される。後半の山学は、落ち着いて自分たちのサッカーを展開、3対0で都留を下しベスト8に名乗りを上げた。
碓井鉄平主将(3年)は「雨で相手が引いていたので前半は自分たちのサッカーが出来ていなかった。後半はパスが回るようになり、運動量が増えていい結果になった。次もいい試合をして勝ちたい」と話した。
横森巧監督は「難しい試合ではなかったが、前半焦りが見えたのは反省材料、引いて戦ってくる相手にどれくらい自分たちのサッカーが出来るか、練習で一つ一つのプレーを積み上げていく。焦らず、淡々と行きます」と語った。
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