
第61回山梨県高等学校総合体育大会春季大会“高校総体”は最終目の15日、サッカー、ラグビーなどの決勝が行われた。メイン会場小瀬陸上競技場の最終日最終試合はサッカーの決勝戦、山梨学院高と帝京三高が対戦した。プルシアンブルーの山学イレブンは赤と灰色の縦縞の帝京三陣営に積極的に攻め上がり、後半に2得点を上げて勝利、強化指定4年目で高校総体2度目の優勝を果たした。今年の高校スポーツ最大の祭典には44校から約8000人の選手が参加、若きアスリートが母校の名誉と得点を賭けて腕と技を競った。学校対抗得点争い男子総合優勝は航空が2連覇、サッカー・水泳・ゴルフ・ホッケー優勝などで得点を上げた山学が2位、甲工が0,5点差の3位となった。女子は甲商が2年ぶり16回目の総合優勝、テニス・ソフト・スキー優勝などで得点を伸ばした山学が2位、航空が3位となった。すべての競技が終了した午後3時から小瀬陸上競技場で閉会式が行われ、電光掲示板に“感動をありがとう”の文字が浮かび上がり、3日間の熱き青春の戦いが閉幕した。
試合開始時刻午前10時の小瀬陸上競技場上空の天候は、晴れ・無風、絶好のコンディションでサッカーの決勝戦が始まった。桂・都留・石和・韮崎を下して決勝に駒を進めた山学の対戦校は、昨年決勝で敗れた帝京三となった。山学は中盤をダイヤモンド、帝三は中盤をフラットに構成する4−4−2のシステムで戦いが始まった。試合序盤の山学イレブンは硬さが目立った。帝三のMF陣が守り重視の引き気味なこともあり得意のボール回しが上手くいかない。前半の中盤までは両チームともゴール前にはボールを運べない展開、一進一退の状態が続いた。山学は20分過ぎからポジションチェンジを激しく行うようになり、フィールドを広く使い、ようやくボールがつながり始めた。MF陣が相手の攻撃を中盤でカットすることが多くなり、試合を優勢に運んだが、決定的な場面は作れず前半は0−0で折り返した。ハーフタイム、横森巧監督は「縦を急がないで、もっとサイドを使え」と指示して選手を送り出した。サイドが変わった後半は、山学のボール支配率が一段と高まった。向かえた9分、山学FW陣がゴール前に切れ込み、帝三のMF西潟が危険プレー、イエローカード2枚累積で退場となった。このプレーでフリーキックを得た山学は後半10分、DF藤巻謙(3年)が蹴る振りをしたあと、キャプテン碓井鉄平(3年)が落ち着いてゴール右隅のネットを揺らし先制した。終了間際の33分には、FW伊東拓弥(3年)が相手DF陣の裏にロビングを上げ、後半途中から出場のFW加部未蘭(2年)が長い脚を生かしてこのボールを奪い、ゴール前に持ち込みGKをかわしてパス、走り込んだ伊東拓弥が2点目を奪いそのまま試合終了。昨年の雪辱を果たし山梨1位代表として関東大会出場を決めた。優勝カップを手にした山学イレブンは、全校応援でバックスタンドに陣取り、声を嗄らして大声援を送り続けてくれた仲間たちの元に全速力で駆けよった。控え選手たちはフィールドに飛び降りで向かえ感激を共有した。スタンドには生徒、教職員、父兄だけでなく、先輩たちの姿もあった。昨年の主将
佐野功治さん(桐蔭大)は「あいつら熱く燃えて戦ってくれた、僕も嬉しい。自分たちは選手権に行けなかったので、あいつらには是非行ってもらいたい」と喜びを共にしていた。
碓井鉄平主将は「相手が引いていたのでやり辛かったが、勝てて良かった。フリーキックのプレーは藤巻と練習した通りに打てた。自分たちの力を関東で試したい」と笑顔だった。
横森巧監督は「内容的にも良かったのでホッとしている。7県の代表と対戦する関東大会を楽しみたい」と語った。
吉永一明コーチは「強い相手と戦える関東で課題を見つけ、チームを右肩上がりで成長させたい」と選手の育成に目を向けていた。この3日間、県内各地を飛び回って演奏し、選手たちに勇気と力を与え続けた吹奏楽部の
中山裕介主将は「暑くて大変だったけど、応援が実って準優勝出来て嬉しい。自分たちは6月に定期演奏会、7月に全国マーチング、8月に吹奏楽コンクールがある、スポーツの仲間たちから県代表の金賞を取る勇気をもらいました」と語ったその顔は、日に焼けて真っ赤だった。応援席にもテント村本部にも、もう一つの総体の青春があった
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閉会式アルバム |
サッカーアルバム1 |
サッカーアルバム2 |