
学生レスリング界最高峰の大会、大学日本一を決める“2009東日本学生レスリングリーグ戦”が、5月20日から22日の日程で東京・駒沢体育館で始まった。昨年は山梨学院大が優勝候補の日体大を優勝決定戦で下し、7年ぶり3度目の優勝を遂げた。リーグ戦は16校がA・Bのグループに分かれて8校が総当り戦を行い、最終日の最終試合で両グループの1位校が優勝決定戦を行う3日間の大会。今年のリーグ戦は2連覇を目指す山学大を中心に、拓大・日体大・早大・専大などが優勝争いを繰り広げる混戦模様の大会と見られている。山学大は拓大・専大らとともにAグループに所属、1日目の20日は青学大に苦戦したものの東農大と明大は寄せつけず3連勝で発進した。2日目の21日は中大・国士大・拓大と対戦、3日目の22日に専大と対戦する日程、再び頂点を目指す戦いが始まった。
今年の山学大は、昨年の優勝メンバーのうち60kg級の前年全日本選抜王者大澤茂樹(現総合格闘家)、96kg級全日本選抜王者山本雄資(現警視庁)、主将を務めた前年のMVP74?級奈良部嘉明(現山梨学院ク)の主力3人が抜けた。しかし、切り込み隊長の55kg級小俣将太(4年 霞ヶ浦)、全日本選手権2位の66kg級森川一樹(4年 霞ヶ浦)、昨年4冠王に輝いた120kg級の巨漢ムジコフ・ボリス(4年 ロシア)らは残り、新戦力も加わり昨年と遜色ない戦力を誇る。大会1日目の初戦東農大戦は控え選手中心ながら5対2で勝利、第2戦の青学大戦はベストメンバーで臨んだものの苦戦し4対3で辛うじて勝利、午後4時からの明大戦に臨んだ。
≪山梨学院大VS明治大≫1日目第3試合
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55kg |
60kg |
66kg |
74kg |
84kg |
96kg |
120kg |
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○ |
○ |
○ |
× |
○ |
○ |
○ |
山学大 |
小俣(将) |
小俣(涼) |
後藤 |
高杉 |
小室 |
金澤 |
ボリス |
明治大 |
高田 |
鈴木 |
吉川 |
塩崎 |
徳山 |
佐藤 |
渡辺 |
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× |
× |
× |
○ |
× |
× |
× |
山学大の先鋒55kg級の小俣将太は青学大戦で不覚を取ったことを反省、集中力を高めてマットに上がった。第1ピリオド早々明大高田にバックを取られ1点を先行されたが、落ち着いて攻めて開始1分に鮮やかなフォール勝ち、今度は切り込み隊長の役割を果たした。60kg級の小俣涼平(2年 霞ヶ浦)は、第1ピリオド、第2ピリオドともに鈴木を寄せつけず圧勝。66kg級の後藤佳吾(2年 岐南)は第1ピリオドに吉川に0−2と先行されたが残り50秒でバックを奪い、2連続ローリングで6−2と逆転、第2ピリオドを4−2で奪って勝利。74kg級の高杉遼介(2年 新潟県央工)は苦戦した。第1ピリオドは場外に押し出されて0−1、第2ピリオドは1−1だったが後者ポイントで塩崎に取られ敗退した。84kg級の小室直人(4年 霞ヶ浦)は青学戦で敗れた責任を感じ奮起、第1ピリオドは徳山のバックを取り1−0、第2ピリオドは片足タックルで崩してバックを奪い1−0で逃げ切った、この時点で4勝を挙げた山学の勝利が決まった。96kg級の金澤勝利(1年 種市)VS佐藤洋輔戦は緊迫した試合となった。第1ピリオドは両者ポイントなしでボールピックアップとなり、金澤に攻撃権が与えられた。金澤は最初の攻撃を外されたが両差しからの大内刈りで佐藤を倒しこのピリオドをようやく取った。第2ピリオドは佐藤に先行された、残り25秒にようやく片足タックルからポイントを奪い2−1と逆転、気力で粘り勝ちした。120kg級はムジコフ・ボリス(4年 ロシア)の独壇場だった。第1ピリオド5−0、第2ピリオドも片足タックルからの3連続ローリングで7−0と渡辺を圧倒した。山学チームは6勝1敗で明大に勝利、1日目を3戦全勝とした。
高田裕司監督は試合後に選手を集め、「今日は見られたものじゃなかった。2日目、3日目に練習量の差が出てくる、集中力を切らすな」と指示し、報道陣のインタビューには「団体戦は個人戦とは違うプレッシャーが選手にかかる、その試合の流れでチームの勝負が決まってしまう。明日からが勝負、激戦を勝ち上がるよう集中力を高めさせる」と語った。
橋本雄太朗主将(4年 宮城県工)は「1・2戦は緊張からエンジンの懸かりが遅く相手に先に攻められる試合が多かった。勝つことは出来たが、内容は悪かった。最後の明大戦は明日につながる試合が出来た。明日の拓大戦が山と見ているが、その前の中大・国士舘大も強い相手、一戦一戦油断しないで戦っていく」と気持を引き締めていた。
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