
酒折連歌賞実行委員会(川手千興実行委員長)は5月28日、連歌発祥の地「酒折宮」を訪ねる集いなどの酒折連歌講座2009を開講させた。この講座は、昨年実施された酒折連歌賞10周年記念特別講座を受講出来なかった人らの強い要望で開催され、昨年同様に3回の歌あそび講座が実施される。第1回の28日は「−酒折連歌をめぐって−」がテーマ、66人の参加者が雨の酒折宮を訪問し、講師役を務めた川手千興実行委員長から境内に立つ石碑について説明を受けた後、山梨学院大に移動し俳句と連歌の違いや連歌と連句の違いなどについて学んだ。参加者の多くは還暦を過ぎた人で向学心に燃えてメモを走らせていた。第2回は6月11日に、選者の廣瀬直人氏(俳人/俳誌「白露」創刊主宰)を講師に「−ことばを選ぶ−」と題した創作実習を予定。第3回は6月25日に、同じく選者である三枝昂之氏(歌人/歌誌「りとむ」発行人)を講師に「−問答の機微−」についての実習指導が予定されている。
連歌は古代、甲府市の酒折宮に立ち寄った日本武尊が「新冶筑波(にいばりつくは)を過ぎて幾夜か寝つる」と歌ったのに対し、その場に居た火焚き役の翁が「日々(かが)なべて夜には九夜日には十日を」と返歌したとする故事から、酒折宮が発祥の地とされる。「酒折連歌賞」は山梨学院大学と酒折連歌賞実行委員会が発祥の地にちなんで創設したもので平成11年から募集が始まり、昨年の10周年記念大会には史上最高の5万2703句もの答えの片歌が寄せられた。その折に実施された記念特別講座が反響を呼び、再開を望む山梨県民の要望に応える形で第2回講座が開講された。酒折宮の境内には、山県大弐による漢文の「酒折祠碑」と、本居宣長による万葉仮名の「酒折宮寿詞碑」という二つの石碑がひっそりと佇んでいる。講師の
川手千興実行委員長は二つの石碑の微妙な距離関係や歴史背景について、綿密に調べ上げた資料を元に参加者に分りやすく丁寧に説明していた。傘を手にしての現地訪問を終えた一行は山梨学院大キャンパスの講義室に場所を移し、酒折連歌賞入賞作品の鑑賞方法や連歌と連句の違いなどについて学んでいた。
「酒折連歌賞」は問いかけの五・七・七の片歌に、答えの片歌を五・七・七で返す二句一連の返歌問答。作歌上の約束事は五・七・七以外はなく、自由な発想で遊びのように楽しく詠んで応募することができる賞。今年の第十一回酒折連歌賞の応募期間は4月1日から9月30日、最優秀作品には文部科学大臣賞と副賞二十万円が贈られる。詳しい募集内容と応募の問い合わせ先は、山梨学院大学酒折連歌賞事務局(TEL055-224−1641、ホームページ
http://www.sakaorirenga.gr.jp)。
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