
競泳のジャパンオープン2009は、東京辰巳国際水泳場で2日目の12種目を行った。1日目の女子100m平泳ぎで優勝した鈴木聡美(1年 九産大九州)がこの日の50m平泳ぎでも鮮烈な泳ぎを見せた。前半出遅れたにもかかわらず、25mから猛然とスパート、最後は頭一つ抜きん出てゴール、2日連続の表彰台に笑顔で上った。山学大からこの日は10種目に22人が出場した。鈴木聡美のほかに、女子400m個人メドレーの山崎ゆか(4年 近大附)と坂井菜穂子(3年 東京立正)の2人が揃って決勝に進出した。4月の日本選手権に続いてのダブル表彰台を目指したが、結果は坂井菜穂子があと一歩で表彰台の4位、山崎ゆかは6位だった。男子では400m個人メドレーに出場した山崎智史(3年 山梨学院高)が健闘した。B決勝で自己ベストを記録、決勝レースだと7位に相当する好記録だった。山学勢は2日目も男女ともにインカレにつながる力泳を見せた。
レース前の選手控えスペース、不安な表情を見せる鈴木聡美に一人の女性がそっと近づいた、同じ1年生の高崎有紀子マネージャーだった。高崎マネージャーの言葉に鈴木はにっこりと微笑んだ。レース後鈴木はあの一言で、すっと緊張がほぐれたと語った。スタート台に立った鈴木は、ほかの選手が頭を低く下げて構える中、ただ一人頭を上げて構える独特のスタイルから、スターターの撃つ“ピッ”という電子音とともに飛び込んだ。浮き上がりは他の選手より体半分遅れた、一瞬焦ったが25mから猛ダッシュした。鈴木が泳ぐ度に自己ベストを更新しているのは、山学に入ってから本格的に取り組むようになった筋トレの成果、キック力が強まり、蹴った後の伸びが強まった。最後は頭一つ抜きん出て優勝、記録は31秒54、このレースでも自己ベストを更新した。鈴木のこれまでの目標は同じ福岡出身の野瀬瞳(九州共立大1年)に追いつくことだったが、100mに続き50mでも野瀬に勝利した。テレビ局のインタビューに答えた鈴木聡美選手は「世界で戦える選手になりたい、次のオリンピックに向けて一日一日頑張っていこうと思います」と目標をロンドン五輪に向けることを宣言した。
女子400m個人メドレー決勝、予選を2位で通過した坂井菜穂子は5コース、6位通過の主将山崎ゆかは7コース、坂井は風邪で37,3度の発熱、体調不良であった。しかし、二人ともスタートから積極的に飛び出した。250mまでは坂井が1位で山崎が2位、山学の二人がレースを引っ張った。坂井は弱点だった平泳ぎも粘り350mまでは2位だったが、ラスト50mで2人に抜かれ悔しい4位となった。山崎も粘り切れず6位となった。
坂井菜穂子選手は「予選の時から体が重く、最後の50mで苦しくなった。チームの中で年上になったので、先輩として気持の面をもっと強くしないといけない」と体と心をベストに持っていけなかったことを反省した。
山崎ゆか主将は「意外な結果だった、泳ぎとしては悪い感じではなかったが、後半伸び切れなかった。もっと自分の力を高めないと一流にはなれない。インカレでチームを引っ張るためにもっと泳ぎこむ」と悔しさを胸にしまい気持をインカレに向けた。
この他、予選9位から16位の選手が出場するB決勝に、男子は400m個人メドレーの山崎智史と400m自由形の武田晃則(3年 九産大九州)・池田慶太(3年 淑徳巣鴨)の3人。女子は400m自由形の野中瑞姫(1年 佐賀学園)、100m自由形の霜上美智(4年 呉羽)・前原優理(2年 山梨学院高)の3人が進んだ。このうち山崎智史と霜上美智の二人が、B決勝で素晴らしい泳ぎを見せた。
山崎智史は200mの段階では7位だったが、平泳ぎで3位に上がり、最後のクロールでトップに肉薄し2位でゴール、記録はA決勝で泳いでいれば7位に相当する4分19秒92、初めて20秒の壁を破った。
山崎智史選手は「予選でこのタイムを出していればA決勝に行けただけに悔しいが、ベストは素直にうれしい。コーチから背泳ぎを省エネで行けと言われ、最後のクロールに力を残せた。20秒を切れたのは自信につながる」と話した。霜上美智は50mの段階では4位の27秒61でターンしたが、そこから猛追した。自己記録をなんと1秒以上も上回る56秒73の2位でゴールした。
霜上美智選手は「タイムにビックリです。予選の時に57秒21の自己ベストが出てB決勝はいい感じで臨めた。念願だった56秒台が出て満足です、インカレにつながった」と素直に自己最高タイムを喜んだ。尚、OGの加藤ゆか(東京SC)は世界水泳出場種目の得意の50mバタフライで、他を寄せ付けずに26秒60で圧勝した。
加藤ゆか選手は「意地とプライドがあるので絶対負けられないと思って泳ぎました。調子を上げて世界水泳につなげたい」と語った。
大会は明日が最終目、山学勢は200m個人メドレーの坂井菜穂子・山崎智史、200m平泳ぎの村上優海・鈴木聡美など8種目に20人が出場する。
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