
“大学日本一を競う団体戦”男子第58回、女子第18回全日本学生柔道優勝大会が6月27日、東京・日本武道館で開幕した。大会には各地区の予選を勝ち抜いた男子7人制62大学、女子5人制30大学、女子3人制に31大学が出場、27日は女子の1回戦から決勝戦までが行われた。強豪校が凌ぎを削る5人制の部前年優勝校の山梨学院大女子は2年連続3度目の優勝を胸に大会に挑んだ。1回戦はシードされ2回戦から登場、初戦の相手となった天理大を4勝1分で下し、準々決勝では仙台大を4勝1敗で退けた。準決勝の相手は地区大会で強豪の東海大を破り東京地区1位代表として大会に乗り込んできた帝京大、試合は大将戦までもつれるスリリングな展開となった。相手に与えたポイントは次鋒戦での有効1ポイントだけだったが、他の4試合はすべて両者ポイントなしの引き分け。結果的に1敗4引き分けとなり、僅か有効1ポイント差で帝京大に敗れ、淑徳大とともに3位となった。優勝は決勝でも東海大を僅差で下した帝京大の4年ぶり優勝となった。
≪2回戦 山梨学院大VS天理大≫
山学大 4 |
上田 ○ ― × 家入
加賀谷 引分 江藤
谷口 ○ ― × 大川
山本 ○ ― × 高畑
小野 ○ ― × 山本 |
0 天理大 |
この試合、先鋒に起用された上田菜々(4年 敬愛女子)がチームの流れを作った、開始早々に有効を奪いそのまま押さえ込んで1本勝ち。次鋒の加賀谷千保(1年 藤枝順心)は引き分けたが、中堅の谷口亜弥(3年 桐蔭学園)が技あり2つの合わせ一本。副将の山本沙織(1年 東大阪大敬愛)が力柔道で対抗し相手の技を返して1本。大将の主将小野江那(4年 西京)は押さえ込みで1本勝ち、チームは初戦で上げ潮の流れを作り準々決勝に進んだ。
≪準々決勝 山梨学院大VS仙台大≫
山学大 4 |
加賀谷 ○ ― × 宮原
吉元 ○ 有効 × 坂巻
谷口 ○ ― × 田中
江口 × 有効 ○ 高畑
山部 ○ ― × 兼子 |
1 仙台大 |
この試合から先鋒に回った加賀谷千保は、最初は上背のある宮原に手を焼いてなかなか技を仕掛けられなかったが、残り2分となった所で大内刈りを見事に決めて1本勝ち。次鋒の吉元佳代(2年 鹿児島南)は開始1分過ぎに体落としで有効を奪いそのまま粘り切って優勢勝ち。中堅の谷口亜弥は残り2分に豪快な背負い投げで1本勝ち。副将の江口静香(4年 龍谷)は開始早々の押さえ込みのピンチは懸命に脱したが、終了直前に有効を奪われ敗れた。大将の山部佳苗(1年 旭川大)は開始20秒で内股を決め秒殺1本。流れを加速させて準決勝に進出した。
≪準決勝 山梨学院大VS帝京大≫
山学大 0 |
加賀谷 引き分け 松本
吉元 × 有効 ○ 坂巻
谷口 引き分け 太田
江口 引き分け 池田
山部 引き分け 石山 |
1 帝京大 |
山学は準々決勝と同じ組み合わせで臨んだ。先鋒の加賀谷千保と帝京の松本は組み手を激しく争った。残り1分30秒で危うく背負い投げをくらいそうになったが、残り1分11秒には逆に内股を仕掛け松本をぐらつかせた、両者ポイントなし。次鋒の吉元佳代は開始早々に押さえ込まれたがすぐに脱出、その後は一進一退の戦いだったが、残り1分25秒に有効を取られ敗れた。中堅の谷口亜弥と帝京の太田は互いに技を仕掛け合い、中盤では谷口が背負い投げや肩車で豪快に攻めたがポイント奪えず。逆に残り30秒には太田に押さえ込まれてしまった、5秒で脱出しポイントは与えなかったが、ポイント奪えず引き分け。副将の江口静香と帝京の池田は、場外ぎりぎりの所で技を掛け合うがいずれも不十分、ここも引き分けた。大将の山部は開始早々に大外刈りを仕掛けて積極的に攻めたが試合巧者の石山はポイントを取らせない、集中力が切れるか切れないかの戦いは終盤までもつれたが最後はスタミナ切れ、追い切れず引き分けで試合が終了した。
試合後、涙が止まらない選手たちを
山部伸敏監督は厳しく叱った。「この悔しさを絶対忘れるな、このままじゃ帝京に勝てない。現実を受け入れて目標を体重別に切り替え、初代のチャンピオンになろう。もう一回のチャンスを全員で取りに行こう」と捲土重来を期した。
小野江那主将はサポートしてくれた部員やスタッフに対し涙をこらえながら「サポートありがとうございました。全員が全力で頑張りましたが、3月に負けた帝京にまた負けたという事は帝京の方が上だという事だと思います。悔しさを胸に練習に励み体重別で優勝しましょう」と挨拶、仲間の胸に顔を埋めて泣く吉元や悲嘆にくれる江口たちの背中に手をかけ慰めていた。大将を務めた
山部佳苗選手は「自分が勝てなかったことが敗因です。時間があっという間に過ぎてしまった、取らなければいけない所でポイントを取れなかったことが悔しい」ユニバーシアードに出場する1年生大将は大きな体にその責任の重さも受け止めて明日からの稽古を誓った。
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アルバム天理大戦 |
アルバム仙台大戦 |
アルバム帝京大戦 |