
第91回全国高校野球選手権山梨大会は7月18日、甲府・小瀬スポーツ公園野球場で雨のため1日順延された山梨学院対甲府城西戦など2回戦の残り4試合を行った。優勝候補の一角に挙げられながら一昨年・昨年と2年連続して初戦で涙を流した山梨学院高校野球部は“この一球 この一振りに すべてをかけて”2009夏の大会初戦に挑んだ。第1シード富士学苑、第2シード日本航空が相次いで初戦で敗退する波乱の夏、第3シード山梨学院のマウンドには最上級生になったエース山田祐也(3年 猿橋中)が立った。山田は先頭バッターにライト線2塁打を許すなど力みからカーブが入らず、立ち上がりは万全ではなかった。しかし、1回表のピンチを低めにコントロールしたストレートで抑えると落ち着いた。2回からは最速134キロの直球と5つの変化球を内外角に投げ分け、守備陣の乱れにも動じず冷静なピッチングで10三振を奪い完投した。打撃陣は7番細谷竜児(3年 高崎ボーイズ)が先制・追加点を奪う活躍を見せ4−1で城西に勝利、3年ぶりに初戦の壁を突き破った。
≪夏の高校野球2回戦 山梨学院高VS甲府城西高≫ 於 小瀬球場
甲府城西高 |
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山梨学院高 |
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× |
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山学投手 山田 【2塁打】小林・細谷(山学) 森本(城西)
1回表の立ち上がり、山田祐也は1番森本に対しきわどくコースを突くが審判の判定はいずれもボールで0−3、ストライクを取りにいった5球目をライト線に2塁打され、送りバンドで1死3塁とされた。しかし、3年生になり精神的にも成長した山田は浮足立たなかった。ここから冷静にピッチングを組み立て、ストレートを低めに集めて3番中島を三振、4番鈴木をセカンドゴロに打ち取り立ち上がりのピンチを切り抜けた。序盤はカーブが入らず苦しい投球だったが、徐々に調整し中盤からはカーブでもカウントを稼げるようになり投球の幅が広がった。攻撃陣は2回裏に先制の場面を作り出した。1死から6番青山祐己(2年 浦安シニア)がライト前ヒットで出塁、2盗の時に悪送球を誘い3塁に進塁。このチャンスに7番細谷竜児が三遊間に打ち返し先制した。守備陣は4回表に課題が出た。2死1塁から盗塁を仕掛けられキャッチャーの送球をショートが後逸し3塁を許すミス、さらにランナーを3・本塁間に挟みながらタッチをかいくぐられ3塁に戻す連携ミス。次の打者を山田が落ち着いてセンターフライに打ち取り事なきを得たが、守備から自分たちのリズムを作っていくはずのチームにほころびが生じた。その裏、攻撃陣が奮起した。1死から4番の主将羽田翔(3年 甲府南シニア)がセンター前ヒットで出塁、5番小林夏樹(2年 長野北シニア)がレフト線2塁打、6番青山祐己がフォアボールを選び1死満塁のチャンス、ここで2回に先制打を放った7番細谷竜児が今度はレフトセンター間を深々と破る2塁打で2者を返し3−0と突き放した。山学は8回裏にも途中出場の8番相馬彰吾(2年 猿橋中)のライト前ヒットで1点を追加、山田は9回表に1点を奪われ完封は逃したが、7安打・2死四球・10奪三振・145球の粘投で完投した。
完投勝利の
山田祐也投手は「初戦ということもあって、立ち上がり力んでしまった。打席に入ってストライクゾーンが広い事が確認出来てからは落ち着いて投げることが出来た。最終回に1点を与えたことは反省点、勝ったから良かったが自己採点は40点の出来だった。しっかり調整して次の試合に臨みたい」エースは自分のピッチングを冷静に分析していた。4得点のうち3点をたたき出した
細谷竜児選手は「先制点は、ここで点が取れれば流れが作れると思い、内寄りのカーブを思い切って振った。追加点の2塁打はインコースのストレートだった。練習試合では満塁のチャンスに期待を裏切るなどずっと不調だった。本番で打てて良かった〜」ラッキーボーイは童顔をほころばせた。チームを引っ張る
羽田翔主将は「初戦勝ってホッとした。山田がピンチで走者を牽制で刺すなど、落ち着いて投げてくれた。チャンスで細谷が打ち流れを呼び込んでくれた。ディフェンス面で課題が出たが、一戦一戦をチャレンジャーの気持ちで戦う」180cm・85kgの闘将は気持ちを明後日の石和戦に向けていた。夏の大会初勝利の
須田喜照監督は「雨上がりでグランドコンディションは良くなかったが、走塁と守備でミスが出た、あそこが課題。守備をしっかりやらないと上に行った時に勝てない。9人のうち6人が2年生のチーム、夏の大会を始めて経験した者が多い。次はもう少し周りが見えると思う」山学初のOB監督は次の試合での若手の奮起を期待した。
大会7日目の他の3試合は石和高、塩山高、農林高が勝利し3回戦進出チームが出揃った。夏の高校野球県大会は明日19日(大会8日目)から3回戦が始まる。山梨学院高は海の日の20日(大会9日目)に小瀬球場第2試合(午前11時30分開始予定)でベスト8を賭けて石和高と対戦する。(M.I)
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