山梨学院パブリシティセンター
打った!守った!粘った!夢をつかんだ!
〜山梨学院高が9年ぶり4回目の甲子園出場を決める〜
〜闘将羽田翔炎の猛打・山田祐也魂の粘投154球〜

第91回全国高校野球選手権山梨大会は7月26日、ついに決勝戦の日を向かえた。参加39校の頂点を決める頂上決戦は、甲府城西・石和・塩山・身延を下して進出した第3シード“地方私学の雄 山梨学院”とノーシードから驚異の破壊力で強豪校を次々に打ち破ってきた“公立の星 古豪甲府工”の対決となった。山学のマウンドは4試合目の山田祐也(3年 猿橋中)、甲府工のマウンドは6連投の小俣駿(3年 大月東中)。大月市出身の両チームエースが体力と気力を振り絞って、小瀬スポーツ公園野球場夏最後のマウンドに上った。灼熱の太陽の下、試合は午後1時6分に開始された。いきなりゲームが動いた、1回裏2死2塁の場面で山学の主将4番羽田翔(3年 甲府南シニア)がレフトオーバーの先制2塁打、羽田は3回裏にもタイムリー殊勲打、巨漢のキャプテンが体でチームを引っ張った。エース山田祐也はボールに魂を込めた、7安打されたが失点はわずか1点、154球の粘投だった。守備陣は美技を連発した、ピンチの度にファインプレーで山田を盛り立てた。決して強いとは言えない山梨学院高校野球部は、砂田グラウンドで流した汗と努力とどこにも負けない気力で、平成12年以来9年ぶり4回目の夢の甲子園出場をつかみ取った。
真夏の太陽が戻った小瀬球場。太陽の光を真正面から受ける3塁側スタンドは、全校応援の山梨学院中・山梨学院高の1200人の生徒と県内外から駆けつけた80人の選手の家族、後輩に夢を託したOBと山学ファン2000人で埋め尽くされた。そして、ベンチに入ることが出来なかった野球部員はスタンド最前列で応援の先頭に立った。荒井康平選手(3年)は「自分たちが出来るプレーを精一杯やって甲子園に向かって突っ走ってほしい」ベンチに届けと声を張り上げた。応援席の遠藤とも香さん(3年)は「思った以上に強くて感動しています、選手みんながかっこいい」黄色いメガホンを手に「勝つぞヤマガク、ファイトヤマガク」と声援を送った。インターハイに出場するホッケー部の木田智哉選手(3年)は「俺たちはインターハイで全国と戦うが、野球部も甲子園で全国と戦ってほしい」とエールを送った。吹奏楽部の神澤晃季部員(1年)は「これまでの練習の成果を決勝で発揮してほしい」テナーサックスを吹く手に力を込めた。

≪夏の高校野球 決勝戦 山梨学院高VS甲府工高≫ 於 小瀬球場
甲府工
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1
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山梨学院
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×
3
山梨学院投手 山田祐也 7安打 4四死球 3三振 154球
甲府工 投手 小俣 駿 8安打 1四死球 5三振 113球 
【2塁打】羽田翔(山学)

山田祐也の立ち上がりは不安定だった。先頭打者の清水に四球を与え、2死後に4番大森(成)にも四球、いきなり2死1・2塁のピンチを招いた。しかし、この場面でキャッチャー杉田康太郎(2年 羽村シニア)が冷静にランナーの動きを見て2塁に送球、ショートの鈴木悠介(2年 青葉緑東シニア)がカバーに入りタッチアウト。この試合、山学の守備陣は再三にわたり好判断とファインプレーを連発、自分たちが目指してきた守備からリズムを作っていく野球を実現させて山田を盛り立てた。攻撃陣は4番のキャプテン羽田翔が最高の舞台で最高の活躍をした。1回裏2死2塁の場面でレフトオーバーの先制2塁打、次の3回裏には2点目のタイムリー殊勲打、182cm・86kgの巨漢の闘将は3安打の猛打を放ち猛然とチームを引っ張った。最大のピンチが8回表にやってきた、1点を返されてなおも1死2・3塁のピンチ、3番三枝の当たりは強いショートゴロ、鈴木悠介が好フィールディングで本封。4番大森(成)の当たりも強いライナー、これもショート鈴木が好捕してピンチを脱した。最終回も決して楽ではなかった。先頭の5番窪田の当たりはボテボテのショート内野安打、この時再三にわたり攻守好走を見せた鈴木悠介の足がつり試合が一時中断された。6番大森(友)の一打はセンター後方への大飛球,これをセンター松浦航平(2年 青葉緑東シニア)が背走してダイレクトキャッチ。7番小俣の当たりはこんどはレフト後方への大飛球、小林夏樹(2年 長野北シニア)が背走してこれも好捕、風が逆風でなかったらあわやホームランという一撃を2人が身を挺して捕球した。最後の当たりはライトライナー、初戦の甲府城西戦で先制タイムリーを放ちチームに勢いをつけた細谷竜児(3年 高崎ボーイズ)のグラブにボールが入った瞬間試合終了、2時間19分の激闘だった。山学ナインはピッチャーマウンドの上で、全員が人差し指を天空に突き上げ「俺たちは1番になった」と天を仰ぎ、抱き合った。
山田祐也投手は「ボール1個2個の出し入れで勝負するのが自分のピッチング、一球一球に魂を込めて大切に投げた。甲子園はまだイメージが湧かない、今夜湧いてくるのかな」噴き出す汗の中で語った。羽田翔主将は「気持ちではどこにも負けないと思って頑張った。最後の最後でこういう思いが出来て、本当に良かった」重責を果たした主将はホッと肩の力を抜いた。須田喜照監督は「甲子園に行っても自分たちの野球をするだけです。山梨県の代表としてプライドを持って臨みたい」物静かな監督は興奮を抑えいつも通り冷静に語った。
スタンドで我が子のプレーを見守ったキャプテンとエースの父親、羽田哲也さん(左)と山田安司さん(右)は試合終了後がっちりと握手を交わした。山田さんは「感無量で言葉に出来ないほど嬉しい。昨日、悔いのないようにと言葉をかけたが、本当によく頑張ってくれた」その目は潤んでいるように見えた。記録員を務めたチームのマネージャー平松茜さん(3年)は「ベンチの中でみんなが笑顔で楽しんでいた。7回・8回は手が震えてスコアブックを書けなかった。こんなすごいプレゼントをくれたみんなに感謝したい」頑張り屋さんは明るく語った。
試合後閉会式が行われ、優勝の表彰状を山田祐也投手が、優勝旗を羽田翔主将が、優勝楯を渡辺晶也選手が受け取った。山梨県高野連の金井光宜会長は「素晴らしい守備が優勝の一番の要因だと思う、本当に素晴らしいプレーを見せてくれた」と山学ナインを称えた。優勝メダルを胸にしたナインは羽田主将を先頭にダイヤモンドを1周して喜びをかみしめた。
2009年の山学チームは、決して力の強いチームではない。しかし、気持ちはどこよりも強いチーム。山田祐也投手がこの夏に投げた投球は、甲府城西戦145球、塩山戦141球、身延戦149球、甲府工戦154球。一球一球のすべてに魂を込めた589球の粘投だった。全員で守り抜き、少ないチャンスを一振りで決めた。2009大会のスローガン“この1球 この一振りに 全てをかけて”の言葉をそのまま全身で表現した素晴らしい高校野球チームだった。(M.I)

風の如く 砂田を走りし真冬
林の如く 静かに備えし早春
火の如く 魂を燃やせし小瀬
山の如く 溢れし夏の思い出
そして今 甲子園にいざ出陣

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