
山梨県弁護士会(平嶋育造会長)は8月1日、山梨学院大学法科大学院において、「夏休み子どもロースクールin山梨」(主催・山梨県弁護士会/後援・山梨学院大学法科大学院、甲府地方・家庭裁判所、甲府地方検察庁、山梨県教育委員会)を開催した。これは、山梨県内の中学2、3年生を対象にし、模擬裁判やロースクール見学、弁護士などとの交流を通じ、裁判や法律について身近に感じてもらうのが目的。同大学院の中にある模擬法廷で「住居侵入・窃盗未遂事件」の模擬裁判を通し、裁判の流れや検察官や弁護人の役割などを学び、裁判員裁判と同様に6〜7名ずつのグループに分かれ、事件の争点や有罪か無罪かを討論した。また、現職の裁判官や検察官、弁護士への質問コーナーも設けられ、参加した中学生たちは、裁判や法律問題など日頃から感じている疑問などを中学生の視点から質問していた。
この日は事前の公募で集まった山梨県内の中学2、3年生51名が山梨学院大学法科大学院に集合。山梨県弁護士会からは若手弁護士を中心に20名以上の弁護士が参加。開校式で、山梨県弁護士会の
平嶋育造会長が「裁判員制度が今年の5月21日にスタートしました。実際にまだ行われていないので実感がわかないと思いますが、今日、模擬裁判などを体験し、実際に何を行うのかを理解し有意義な時間を過ごしてください。」と挨拶。山梨学院大学法科大学院を代表して
荒牧重人法務研究科長が「知らない人と議論することは簡単ではありません。お互いの意見を聞きながら自分の意見を言える人になって下さい。また、法律に親しむことは社会生活を営む上で重要なことです。法律とも友達になって、1日を楽しんでください。」と参加者の緊張をほぐすように語った。
開校式に続きオリエンテーションが行われ、コーディネーターを務めた
齋藤祐次郎弁護士が一日の流れを説明し、刑事裁判における登場人物や仕組み、裁判の流れなどを分かりやすく講義。そして、参加者たちは模擬法廷に移動し、弁護士会の準備した裁判のシナリオを齋藤弁護士らの指導の下、中学生が法曹三者を務め模擬裁判を実施した。難解な法律用語や専門用語などもあったが、傍聴人の中学生らは検察官や弁護人、被告人の発言などをメモし争点となるポイントをまとめていた。
模擬裁判後に参加者は6〜7人ずつの8つの班に分かれ、各班に2〜3名の弁護士がつき、グループ討論を実施。それぞれの班ごとに有罪か無罪かを決め、模造紙にその理由を書き入れ、発表。全体討論では有罪・無罪双方が質問を出し合い、白熱した議論になり、最終的には多数決で被告人は無罪となった。
裁判官・検察官・弁護士に対する質問コーナーでは中学生から「仕事のやりがい」「人を裁くときの心情」「裁判員制度の意義」「なぜ法曹を目指したか」などの質問が挙げられ、裁判官らは一つ一つ丁寧に答えていた。
ロースクール見学では、法律事務所や図書館、自習室などを見学し、中学生らは同大学院事務室のスタッフの説明を聞きながら、施設・設備を興味深く見入っていた。最後に修了式が執り行われ、平嶋会長から参加者一人ひとりに修了証書が手渡され、有意義でアカデミックな夏の一日が幕を閉じた。(Y.Y)
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