
第42回東京都大学サッカーリーグ戦は9月13日、1部から4部の各第3節の試合を行った。元ヴァンフォーレ甲府監督の塚田雄二氏を監督に迎え、今春から強化育成クラブとして発進した山梨学院大サッカー部は東京都大学サッカーリーグ3部に所属、頂点を目指す長い闘いの第一歩を踏み出した。第1戦・第2戦に連勝した山学大は、第3戦で同じ勝ち点6ながら得失点差でトップに立つ大東文化大と対戦した。試合は山学大が先行したが、大東大が前半終了直前に追いつき同点。後半は一進一退のまま点が入らず、引き分けかと思われた終了直前の45分、山学はパワープレーからゴール前に詰めた吉川・森尻・橋爪とつなぎ橋爪が決勝ゴールを決め2−1で勝利、勝ち点を9に伸ばした。山学大サッカー部は強豪校やヴァンフォーレ甲府Y出身の1・2年生と上級生が力を合わせ東京都大学リーグ3部優勝・2部昇格を目指す。
試合会場の一橋大学小平国際キャンパスグラウンドは土のグラウンド、普段は人工芝の和戸第2サッカー場で練習を行っている山学イレブンは、中盤でパスをつなぐ自分たちのサッカーを全く展開できなかった。同様に人工芝で練習している大東大も不規則バウンドの多い土のグラウンドに悩まされ、両チームともボールを回せずに相手陣に蹴り込むことの多い試合となった。ゲームが動いたのは前半33分、山学は右45度ペナルティ・エリアわずか外側の絶好の位置でフリーキックを得て、橋爪勇樹(1年 創造学園大附)が相手の壁を越えた直後に鋭く曲がって落ちる絶妙のシュートを決めて先制した。山学はGK山岡隆二(1年 筑陽学園)のファイン・セーブもあり試合を有利に進めたが、前半のロスタイム46分にクロスバーに当たったボールの跳ね返りを大東大に決められ、同点でハーフタイムを迎えた。
ハーフタイムの山学ベンチはDFの白須辰樹(1年 山梨学院高)らが盛んに声を発し「下を向くな、ずっと自分たちのペースで来た、後半もしっかりいくぞ」自分たちの言葉で自分たちの士気を高めていた。塚田監督は「相手を広がらせて、そのスペースにシンプルに入っていけ。雑にやるのとシンプルにやるのと間違えるな」と指示して選手を送りだした。
後半開始直後は、ロスタイムに追いついた大東大が勢いに乗って攻め上がった。2分に左コーナーキック、3分にFWが前を向いてのシュート、4分に右コーナーキックと一方的に攻められるピンチの時間帯が続いた。しかし、山学イレブンは相手のリズムになったピンチの時も慌てずバタバタすることはなかった。10分を経過してからは一進一退の攻防が続き、20分過ぎからは山学のリズムが良くなりボール支配率は高まった。しかし、カウンター攻撃を受け一瞬にしてゴール前にボールを運ばれるケースも目立った。39分には相手FKの際に山学DF陣がペナルテーエリア内で相手を倒しPKの反則を取られた。幸い線審がオフサイドを見逃さず事なきを得たが、一瞬ヒヤッとさせられた。両チーム得点を奪えずこのまま引きわけかと思われた後半45分、ロスタイム2分の表示が出た直後、山学最後のパワープレーで11人の思いがボールに伝わった。FKのボールをゴール前に詰めた吉川万里(1年 清水商)・森尻剛司(4年 小山南)・橋爪勇樹の3人がつなぎ、橋爪が決勝ゴールを決めてチームに勝利を呼び込んだ。
この日2得点の橋爪勇樹選手は「最初の得点FKのボールは、練習通りイメージ通り打てた。2点目は森尻さんからいいボールが来て、ここで決めないと引き分けになると思い泥臭かったけど必死に蹴り込んだ」と真っ黒に日焼けした顔をほころばせた。森尻剛司主将は「最初押されて、先取点を奪ったが追いつかれ、後半の立ち上がりも押された展開、これまでで一番きついゲームだった。3部は土のグラウンドが多いが、どんな状況でも相手に合わせず、中盤でボールをつなぐ自分たちのサッカーをして優勝を狙う」と述べた。塚田雄二監督は「相手は現在トップをいくチーム、最後まで予断を許さないゲームだったが、競った中で勝ち切り、勝ち点3を取った意義は大きい。チームがまとまってきた。不規則バウンドが多い土のグラウンドでも自分たちのゲームができるよう、しっかり修正して残り6試合を戦っていく」と語った。
リーグ戦は10月25日まで毎日曜に行われ各10チームの順位を競う。入れ替え戦は行われず、3部の1位・2位校が2部に自動昇格し、2部の9位・10位校が自動降格となる。
(M.I)
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