
第32回日本学生ショートトラックスピードスケート選手権(インカレ)が10月24・25両日、長野県南牧村帝産アイススケートトレーニングセンターで行われた。優勝回数男子16回、女子8回を誇る山梨学院大は、女子は3連覇、男子は優勝旗奪還を胸に大会に臨んだ。女子は初日の500mで中口雪絵が優勝、北村優希3位(ともに大会新)、二日目の3000mリレー大会新優勝など各種目で着実に得点を重ね、3年連続9度目の総合優勝を成し遂げた。一方男子は、田中翔太郎が初日の1500mと2日目の1000mで優勝し二冠に輝いたが、総合成績は神奈川大に一歩及ばず準優勝となった。男女アベック優勝はならなかったが、山学大スケート部はシーズン開幕レースで幸先の良いスタートを切った。
ショートトラック競技は、アイスホッケー・フィギュアと同じ30m×60mサイズの室内リンクで行われる。1周111.12mの楕円形のトラックを、500mは4周半、1000mは9周、1500mは13周半、3000mは27週、5000mは45周滑走、数名(通常4人〜6人)の選手が同時に走り着順で優劣を決める。スタートライン/フィニッシュライン以外には線は引かれず、コーナーの仕切りにそれぞれ7個のブロックが置かれる。コーナー部分の氷が荒れやすいため、リンク内は5つのトラックが1m間隔で設定可能なようにしてこれを順次移動させて競技が行われる。
≪ 男子1500m決勝 田中翔太郎 ≫
リンクを13周半する中距離の1500m、1コーススタートの田中翔太郎(3年 山梨学院高)はスタート直後トップに立ったが、すぐに3位に下がりライバルたちの出方を伺った。中盤では5位にまで下がり、後方待機で体力を温存、ラスト5周から猛然と追い上げた。残り2周で2位に上がり、ゴール直前で1位になりかけた所で前を行く木村亨平(国学院大)が田中の進路を妨害するクロストラックの反則、ビデオ判定で木村失格、田中優勝となった。
田中翔太郎選手は「もっとはっきり優勝したかったが、団体戦なので大学に得点が入りホッとした。今シーズンはオリンピックシーズンなので、自分で限界を作らずに上を目指していきたい」昨年は1000mレース直前の転倒によるケガでチームに貢献できなかったユニバーシアード日本代表は、1500m優勝者に与えられる7ポイント獲得に安堵の表情を見せた。
≪ 女子500m決勝 中口雪絵・北村優希 ≫
リンク4周半で勝負を決める短距離の500mはスタートが命。山学大から中口雪絵(1年 山梨学院高)と北村優希(2年 山梨学院高)の2人が決勝に進んだ。中口はスタートでポンと飛び出し、一気にトップスピードにギアチェンジ、ナショナルチームメンバーの清水小百合(中京大)、前年覇者の小山友香里(日体大)の追撃を許さずそのままゴール、勅使川原郁恵が1998年に作った47秒250の大会記録を上回る46秒204で優勝した。3位に入った北村の記録47秒245までが大会新というハイスピードレースだった。
中口雪絵選手は「大学の団体戦に出るのは初めて、インカレがどんなものか知らなかったので、スタートラインに立つ前は全日本の時より緊張した。スタートで先頭に出れたので思い切り逃げた。全国規模の大会で優勝したのは初めて、12月の全日本選手権で東アジア代表選考に入れるようになりたい」滑るのが楽しくなってきた19歳は陽気な笑顔を見せた。
北村優希選手は「スタートの時にちょっとエッジングして出遅れた。今回は自分の実力を出し切れなかった。運良く3位に入れたことは嬉しいけれど悔しい。この経験を次のレースに生かしていきたい」昨年の準優勝者は気持ちを次のレースに切り替えた。
このほかのレース女子は、1000m中口雪絵2位、新海麻衣3位。1500m新海麻衣(2年 山梨学院高)5位、植田涼子(2年 富士学苑)6位。3000mリレー[北村、中口、新海、植田] 優勝(4分29秒871大会新)。学校対抗総合優勝(3年連続9回目)。男子は1000m田中翔太郎優勝。3000m早川雄(4年 中津商)6位。5000mリレー3位。学校対抗総合2位。
篠原祐剛コーチ「女子は、ほとんど取りこぼさずに全員が良く頑張ってくれた。最後のリレーでは今年から始めた新人の植田涼子も健闘し11年ぶりの大会新で総合優勝に花を添えた。男子は、昨年ケガをしたキャプテンの早川雄と田中翔太郎の2人が、昨年の分まで得点を挙げてくれて4位から2位にステップアップする原動力となった」チームが男女一丸となって取り組んだ成果と評価した。
川上隆史監督は「男子は、一人でもケガをするとリレーが組めなくなる少人数で踏ん張ってくれました。女子は、3連覇を目指して春から取り組んで来ましたので、目的通り達成できてホッとしました。ショートの部員だけでなく、関係者、スピードスケート部門のメンバー全員でつかみとった勝利です。今回の女子チームは1・2年生だけのチームなので、プレッシャーは相当きつかったと思いますが良く頑張ってくれました。これから連覇を続けてもらいたい」山学チームを常勝軍団に育てた指導者は女子3連覇・男子準優勝の好成績を温厚な表情で穏やかに振り返った。(M,I)
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