
第30回山梨県高校芸術文化祭吹奏楽部門発表会が11月2日、山梨県民文化ホールで行われ、参加28校の吹奏楽部が日頃の練習の成果を発表した。この大会は1・2年生による最初のコンクール形式の発表会、各校とも3年生が部活を卒業し、夏以降に新編成に切り替えて大会に備えて来た。山梨学院高校吹奏楽部は、昨年の山梨県吹奏楽コンクールで金賞を受賞、昨秋の芸術文化祭で初の優秀賞、今年の県吹奏楽コンクールでは銀賞を受賞、渡邊正樹教諭の指導で近年実力を着実に伸ばして来た。新編成の部員は2年生15名、1年生36名、出場校中最多の51名が演奏を披露、迫力のある大音響が大ホールいっぱいに響き渡った。結果は5人の審査員のうち2人が技術点・感銘度ともに10点満点を付ける出来栄え、学校初の吹奏楽部県代表の快挙を達成。来年は宮崎県で開かれる全国大会出場権を獲得した。
この夏の山梨学院高校吹奏楽部は、猛烈に忙しい夏を過ごした。三重県で行われた全国高校総文祭マーチングバンド出場・夏の甲子園応援、例年以上に飛び回る夏を過ごし、新編成での練習開始は9月中旬にずれ込んだ。各科コースの予定が異なり、全員揃っての合奏はなかなか組めない中、それぞれが互いの音を聞き合い、注意し合いながらより良い音楽を作る努力を行って来た。生徒たちは今大会の演奏曲にM.アーノルド作曲「第六の幸福をもたらす宿」を選んだ。この曲は昨年の県吹奏楽コンクールで金賞を取りながら県代表になれなかった曲、部員たちはその胸に“リベンジ”を誓い、先輩たちの思いも込めて県民文化大ホールの舞台に立った。
演奏はいきなり聴衆を魅了する大音響で始まった。アップテンポの曲に乗せて次々に音色が変わり大編成ならではの迫力が会場を包む。最初の見せ場はフルートのソロ、担当した新キャプテンの
金子英未さんは「緊張していたが、皆が出だしからいい音を出してくれたので、安心して落ち着いて吹くことが出来ました。あえて同じ曲で“リベンジ”し、先輩たちの思いも込めて演奏しました。この曲で代表を取れてうれしい」。次の見せ場はハープの演奏、担当した
小澤朱音さんは「楽器がすごくいい楽器なのでいい音が出ただけです」と謙遜したが、審査員の一人は「全体のバランスに対して、あそこまでハープを弾きこなせる学生は初めて見た」と絶賛した。繊細な音色と他を圧倒する大音響が連係し重なり合い、圧巻の8分間の演奏が終了した。後輩たちの演奏を見守り、県代表獲得を見届けた、今年の部長
中山裕介君と昨年の部長宮澤みなさん(山梨学院短大1年)の二人は「自分たちが代表になれなかった去年の夏と同じ曲で挑んで雪辱してくれた。自分のことのように嬉しい、後輩たちに感謝したい」二人とも笑顔で大会を振り返った。
審査結果
芸術文化祭賞・県代表:山梨学院高
芸術文化祭賞:上野原高
優秀賞(7校) :都留高・甲府西高・韮崎高・塩山高・北杜高・甲府東高・巨摩高
受賞後、受賞楯を掲げて部員たちと喜びを分かち合った顧問の
渡邊正樹教諭は「言葉にならないほど嬉しいです。代が変わった1・2年生が先輩の思いも背負って、部長の金子、副部長の上野、大森を中心に、皆が一丸となって努力してくれました。自分たちの音をさらに確かなものにする強い意志を持って、全国に進んでいきたい」満面の笑みが全てを語っていた。 (M.I)
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