
山梨学院メモリアルホールにおいて11月11日、高校生や大学生、一般市民など600人以上が参加して「坂の上の雲と日露戦争」をテーマとするシンポジウムが開催された。このシンポジウムはNHKで平成21年から3年かけて放映されるスペシャルドラマ「坂の上の雲」にあわせ、日露戦争の歴史について考え、明治の時代観や歴史観に関心を持ってもらうために企画された。シンポジウムにはNHK放送センター放送総局「坂の上の雲」プロジェクトチーフプロデューサーの藤澤浩一氏や歴史学者で法学博士の平間洋一氏、主催した山梨学院大学からは法学部の原禎嗣教授や小菅信子教授が登壇し、ドラマのみどころや日露戦争時の歴史観、小説「坂の上の雲」や“司馬史観”から当時の時代観などを考察・紹介し、参加した学生や市民は興味深い話に耳を傾け、時折メモを取るなどして熱心に聞き入っていた。
シンポジウムが開催されたこの日は、朝からあいにくの雨模様だったが高校生や大学生、一般市民など600人以上が参加し、会場となった山梨学院メモリアルホールの客席は満席となった。
基調講演でNHKの
藤澤浩一チーフプロデューサーがドラマ『坂の上の雲』の製作意図や背景、撮影秘話などを紹介し、脚本や制作場面、原作者・司馬遼太郎の想いから見えてきた明治時代の日本人、日本とヨーロッパの関係などを講演した。また、ドラマでは歴史(海軍)考証を担当した元防衛大学校教授で法学博士の
平間洋一氏が「『坂の上の雲』から日露戦争に学ぶ」をテーマに秋山好古・真之兄弟から明治時代の歴史観や価値観、アイデンティティを考察。さらに日露戦争時の日本や世界の軍事力を紹介し、日本の勝利が世界に与えた影響や国内の情勢の変化などを専門的な見地からコメントし、最後に参加した学生たちに「明治の人は日本を変えた。みなさんにもその資格はある。志を高く、後を振り返らずに真っ直ぐ走っていってください。」と語りかけた。続いて、日本近現代史・軍事史が専門の山梨学院大学法学部の原禎嗣教授が「『坂の上の雲』を再読する」をテーマに、司馬遼太郎の独特の歴史観“司馬史観”から見える明治政府や当時の国内情勢を詳説した。
原教授は『坂の上の雲』や“司馬史観”を読み解き「当時は、個人の努力が国を組織し、重い責任を背負って明治という坂を上った。司馬の描いた人物は、個人の努力の跡があり、自分ができる最大限のことを行い天佑を待っていた。司馬は、数々の著書で日本人にとって華々しい日本を描いている。みなさんも自分の未来に高い志を持って進んでいってください。」と語った。最後に、司会を務めた山梨学院大学法学部の
小菅信子教授がシンポジウムを総括し「21世紀を牽引していくのはみなさんです。秋山兄弟が行ったような努力や選択をし、新しい価値観や時代、精神を作り上げてください。“努力”できる人が“才能”がある人です。新しい時代にあたり、みなさんが自分なりの坂の上の雲を見つけ、それに向かって努力してください。」と述べた。(Y.Y)
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