山梨学院パブリシティセンター
全日本大学レスリング選手権
〜4年生 森川一樹(66kg級)総決算初優勝〜
〜1年生 金澤勝利(96kg級)急成長初優勝〜

第35回内閣総理大臣杯全日本大学レスリング選手権大会が11月14・15の両日、大阪・堺市金岡公園体育館で開催された。この大会は7階級の各大学代表1名がそれぞれの階級の個人優勝を競い、各階級の個人成績が学校対抗得点となるフリースタイル競技の大学対抗戦。山学大勢は初日の66kg級で、今シーズン絶不調だった最上級生の森川一樹が、最後の学生大会で4年間の苦闘と苦悩を総決算する念願の初優勝を果たした。二日目の96kg級では、1年生の成長株金澤勝利が強敵を次々に倒して4連勝、岩手出身の新星が初出場初優勝を成し遂げた。120kg級で2年連続学生四冠王に王手を賭けていたムジコフ・ボリスは3回戦で不運な2連続クリンチで荒木田進謙(専大)に敗れ、最後の大会は3位となった。大学対抗得点は拓殖大が42点で優勝。2位は32点の専修大、山学大は1点差の31点で3位となった。

【森川一樹(4年 霞ヶ浦)】66kg級
オリンピック選手になる実力があり、昨年までのライバル米満達弘(韮崎工−拓大ー自衛隊)が卒業した今年は、66kg級は森川が全ての学生タイトルを取ると見られていたが、ナイーブな森川はインカレで敗れた後自信を失い、王座・国体で格下の相手に敗れるなど、自分のレスリングを見失い絶不調に陥っていた。今大会も1回戦の長尾明来士(近大)戦で第1ピリオドを失うなど立ち上がりは不安定だった。しかし、第2ピリオドを8−1で取ると、本来の攻撃的レスリングが覚醒、そこから決勝までは一度もピリオドを落さずに進撃した。準々決勝で安藤達也(国士館)、準決勝で増元惇貴(大東大)、決勝で岡本佑士(拓大)を連破し遂に学生チャンピオンを攻め取った。万年2位に甘んじて来た森川にとって、4年間の苦闘と苦悩を総決算する悲願の念願の初優勝となった。森川一樹選手は「インカレで負けて全てが狂って、自分の力が出せない試合が続きすごく悩んだ。本来の力の半分くらいしか出ていないが、決勝ではそれなりに動けたので、これを自信に出来たらなと思う。卒業後の進路はまだ決まっていない」が、ロンドン五輪を目指しレスリングを続ける意向。

【金澤勝利(1年 種市)】96kg級
中学時代の金澤は野球選手だった。レスリングを始めたのは岩手・種市高校に入ってから、抜群のバランス感覚と足腰の強さは野球時代に培った。将来の夢は総合格闘技家、重量級の96kg級ではなかなか見られない俊敏な動きが身上。1回戦の本田博士(中大)戦は2−0、準々決勝の浅田真司(専大)戦は2−1、準決勝の佐藤洋輔(明大)戦はフォール勝ち、そして決勝は入江泰久(神大)との対戦となった。第1ピリオドも、第2ピリオドも両者ポイントなしでボール・ピックアップ。出てきたボールは2回とも青の入江、金澤は不利なクリンチ体勢を余儀なくされた。1Pはそのままバックを取られたが、2Pは逆に入江を場外に押し出して勝負を第3セットに持ち込んだ。3Pに入ると金澤がスタミナ切れの入江を圧倒した。開始1分にバックを奪い、そのまま連続ローリング、大差をつけてテクニカルフォール勝ちした。金澤勝利選手は「風邪を引き練習が出来なかったので不安だったが、なんとかギリギリ勝てた。自分でもびっくりです。準決勝はうまく首にかかった。決勝はクリンチから脱出し、第3ピリオドは得意のグランドに持ち込んで勝てた。自分の悪い所を直し、技を磨いて行きたい」新星は高い所を目指して歩み始めた。
【ムジコフ・ボリス(4年 ロシア)】120kg級
ボリスの戦いは不運だった。世界選手権日本代表の荒木田進謙(専大)と3回戦で対戦した。試合は攻めるボリスに対し、この2年間ボリスに負け続けた荒木田は攻めずにひたすらガードする守り一辺倒作戦に出た。1P・2Pともボール・ピックアップに持ち込まれ、2度とも青が出て荒木田有利・ボリス不利な体勢のクリンチとなり守り切れなかった。荒木田は試合後、レスリング協会の取材に対し「返されたら終わりだという気持ちが出て、踏み込むことが出来なかった」と語った。ボリスは敗者復活戦に回り楽勝で3位を確保した。最後の大会では優勝できなかったが、インカレ2年連続2冠(グレコ3連覇)などフリーとグレコの両方の学生王者として、山学の最重量級を4年間支え続けてくれた、史上最強のロシアからの留学生は静かにマットを降りた。

そのほかの選手の成績、
55kg級 梶 雅晴 1回戦敗退、60kg級 高橋功紀 2回戦敗退、74kg級 橋本雄太朗 ベスト8、84kg級 小室直人 ベスト8、

高田裕司監督は「55kg級小俣の減量苦、けが人、体調不良など、ベストメンバーを揃えられなかったのは残念。森川は大スランプから立ち直ってくれた、オリンピックを目指してほしい。金澤はよく健闘した。ボリスは不運だったが、4年間実によく戦ってくれた。大学対抗は今回どこが優勝するか判らなかったが、拓大が軽量級でいい結果を出して優勝した。上位のすべての大学が色々な駒を持っている、これから益々戦国時代になる感じがする」と総括した。 (M.I)

大学対抗得点
1位 拓殖大(42点)、2位 専修大(32点)、3位 山学大(31点)、4位 日本大(25,5点)、5位 早稲田大(25点)、6位 国士館大(22,5点)、

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