
第88回全国高校サッカー選手権大会山梨県大会は11月22日、甲府・小瀬陸上競技場で準決勝2試合を行った。第1試合の日本航空高対帝京三高戦は、1−1のまま延長でも決着がつかず、7人目までもつれたPK戦(5−4)の末に、航空が帝三を下し決勝に進出した。第2試合は初出場を目指す山梨学院高と3年連続出場を目指す名門韮崎高が対戦した。この試合、山梨学院は高い位置から韮崎にプレッシャーをかけ続けボールの8割を支配、前半23分にFW加部未蘭が先制ゴール、前半30分に主将のMF碓井鉄平がPKで追加点、後半30分にMF伊東拓弥が駄目押しゴール。GK松田ランが再三の好守で得点を与えず、3−0で韮崎に勝利した。決勝戦は小瀬陸上競技場で28日午後1時から、ともに選手権初出場を目指す山梨学院と日本航空が頂上決戦を行う。
準々決勝から約1ヶ月の間隔、この空白の1ヶ月が山梨学院に味方した。部員の間で猛威をふるった新型インフルエンザから全員が回復、ケガをしていたFW加部未蘭(2年)、MF平塚拓真(3年)らが故障から回復、関東大会で優勝した6月当時の戦力が戻って来た。
第1試合が長引いたため開始が遅れ、応援席の入れ替えが行われている最中の午後1時40分、試合は韮崎のキックオフで慌ただしく始まった。序盤から押し気味に試合を進めていた山学が先取点を奪ったのは、前半23分だった。加部―碓井―平塚とつないだボールが再びゴール前に走り込んだ加部に渡った。身長186cmの長身FW加部の右足から蹴り出されたボールはキーパーの右斜め横を鋭く抜けてゴールネットに突き刺さった。前半30分にはDF諸井孝太(2年)がオーバーラップから敵陣深くに切れ込み、ペナルティエリア内で倒されPKを取得、これを主将の碓井が左隅に落ち着いて決めて追加点を上げた。一方、35分にFKを得た韮崎はセットプレーから強烈なシュート、このボールを山学の守護神松田ラン(3年)がファインセーブ。松田は韮崎がこの試合に放った4本の決定的好シュートを好セーブで全て防ぎ切った。後半の韮崎はリスクを覚悟して積極的に攻撃を仕掛けて来たが、個々の技術・運動量ともに山学が上回った。DF陣は韮崎の攻撃を冷静に押しとどめ、FWの2人とMF陣が早めに相手の攻撃を潰した。後半30分に生まれたMF伊東拓弥(3年)が奪った3点目は、高い位置から相手にプレッシャーをかけ続けた成果が生みだした駄目押し点だった。俊足を生かし敵陣深くで相手ボールを奪った伊東は、一気にゴール前に走り込み、GKをかわして無人のゴールに蹴り入れた。
高校サッカー山梨県大会 準決勝 (11/22)於 甲府・小瀬陸上競技場
山梨学院高 3 |
{前半2−0} |
0 韮崎高
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得点 加部未蘭、碓井鉄平、伊東拓弥 |
碓井鉄平主将「韮崎は強いチームなので、これまで以上に激しく行った。前半の中盤で未蘭が得点を決めて流れが来た。(GKの)松田がよく守ってくれた。決勝の相手、航空には一昨年負けているので絶対に勝ちたい」キャプテンはリベンジを誓った。
横森巧監督「相手が韮崎だからということではなく、一人一人が自分の技術をどう表現するか、自分たちが作り上げて来た自分たちのサッカーをどう表現するかでした。一人一人の勝ちたいという気持ちが、次へのステップを作ってくれた。航空は強いので、決勝は厳しいゲームになる。ひたすら頑張るだけです」かつて自らが率いて全国優勝した韮崎を下した名将は、67歳になっても変わらぬ熱き心で、50才年の離れた若き山学イレブンを引っ張る。(M.I)
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