山梨学院パブリシティセンター
全国高校サッカー山梨県大会 決勝
〜山梨学院高が全国高校選手権初出場を決める〜
〜ルネサンス・イヤーに歴史の扉を開ける優勝〜

第88回全国高校サッカー選手権山梨県大会は11月28日、甲府・小瀬陸上競技場で決勝戦を行った。頂上決戦は、韮崎工・甲府東・上野原・韮崎を下して勝ち上がった第3シード山梨学院高対東海甲府・山梨・桂・帝京三を破って進出した第1シード日本航空高の私学対決となった。どちらが勝っても冬の全国高校サッカー選手権初出場となる。先制したのは航空だった、前半5分に右サイドの仕掛けからMF榎 亮祐が先取点を奪った。これに対し山学は、前半23分と39分にMF宮本 龍が2得点を奪い逆転。後半38分に得たPKを主将のMF碓井鉄平が決めて3−1と突き放し、そのままノーサイドを向かえた。山梨学院高は今年をリ・スタートの年、ルネサンス・イヤーと位置付けハイスクール・スポーツセンターを設置した。4年前に強化指定クラブとしていち早くリ・スタートしたサッカー部が歴史の扉を開ける全国高校選手権初出場の夢を実現させた。
“青い稲妻”が小瀬のピッチを全力で疾走した。振り返ればあれは6月、東京代表の帝京高など強豪を次々に破り関東大会で優勝した直後のインターハイ県予選、準決勝で航空高に0−1で敗退、選手だけでなく吉永一明ヘッドコーチまでもが坊主頭になる屈辱を味わった。あれから5ヶ月、猛暑の中での特訓も、県外チームの胸を借りたのも、すべてがこの日の“リベンジ”のためにあった。

曇り空から時折強い日差しが照りつける小瀬陸上競技場。バックスタンドの応援席には、両校が飾った無数の幟が風にはためき、全校応援の生徒の歓声がこだました。山梨学院の1000人を超える大応援団は、プルシアンブルーの四角い紙を頭上に掲げ、入場して来た選手たちを青一色と大声援で迎えた。午後1時05分、山学のキックオフで試合が始まった。山学は4−4−2のシステム、航空は4−1−4−1のシステムでスタートした。立ち上がりの山学イレブンは硬かった。緊張からかいつもの華麗なパス回しが出来ない、パスをカットされ航空に攻め上がられる。開始早々の前半5分、航空は右サイドの仕掛けから山学のMF宮本 龍(2年)のマークを外してゴール前に切れ込み、MF榎 亮祐が先取点を奪った。山学が最初に決定的場面を作ったのは前半18分だった、ゴール前の混戦からFW加部未蘭(2年)が186cmの長身を反り返らせて芸術的なオーバーヘッドシュートを決めた。一瞬同点ゴールと思われたが、主審は直前のプレーをファウルと判定、幻のゴールとなった。得点は認められなかったが、この加部のプレーで山学イレブンから硬さが取れた。動きが良くなり、高い位置からプレスをかける自分たちのサッカーで道を切り開き始めた。そして、向かえた前半23分、主将のMF碓井鉄平(3年)が上げたCKのボールをFW加部がヘディングシュート、走り込んでこぼれ球に反応したMF宮本 龍(2年)がネットを揺らし同点に追いついた。山学は加部のポストプレーやMF伊東拓弥(3年)、FW佐野敬祐(3年)のドリブル突破、壁パスなどで多彩な攻撃を展開するようになり、前半終了直前のロスタイムに、CKのボールに加部が絡み、こぼれ球をまたも宮本が蹴り込み2−1と逆転して折り返した。

サイドが変わった後半9分、2得点を上げた宮本の両足がつり退場、一人少ない時間が続いたが宮本に替えてMF加藤 亮(3年)を投入してピンチを凌いだ。後半の航空はポジションチェンジや3人一緒に選手交代させるなど、DF陣の裏にロングボールを上げる作戦を多用して攻め込んで来た。後半10分から20分にかけては航空がボールを多く支配する時間帯となったが、山学DF陣は冷静に耐えて崩されなかった。逆に山学は、攻撃に出た航空の裏スペースへのロングボールや、ドリブル突破でチャンスを作った。後半37分、この日全ての得点シーンに絡んで来たFW加部がFKに合わせてゴール前に走り、ペナルティエリア内で倒されてPKを得た。このボールを碓井が準決勝でPKを決めた時とは逆の右サイド一杯にGOAL、3−1として勝利を確定的にした。長く感じたロスタイムのあと、ついに歓喜の時が訪れた。選手はピッチ上に倒れて天を仰ぎ、応援スタンド最前列で声を張り続けた控え部員は抱き合って勝利の時を迎えた。

青と黄色のユニホームと同じ色のポンポンを振ってイレブンを励まし続けたチアリーダー部の望月美沙都部長(2年)は「スタンドでの応援を想定して、練習してきました。自分たちの気持が選手に届いて優勝できたと思いたいです、一緒に喜びたい」と微笑んだ。応援スタンドに駆けつけて声援を送った昨年のイレブンは声を揃え「後輩たちが自分たちの思いも背負って選手権をつかみ取ってくれた、すごくうれしい。全国のステージは技術ではなく気持が一番大事、自分たちが一番強いという気持ちで初出場初優勝を目指してほしい」と後輩にエールを送った。新藤 優マネージャー(1年)は「全国に行けることになってよかった、みんなにいい結果を残してもらえるように自分の仕事をしっかりやって行きたい」1年生マネージャーは気持ちを引き締めていた。

高校サッカー山梨県大会 決勝 (11/28)於 甲府・小瀬陸上競技場
山梨学院高 3
{前半2−1}
1 日本航空高
{後半1−0}
得点 宮本 龍2(山学)、碓井鉄平(山学)、榎 亮祐(航空)

試合後の表彰式で山学チームは、優勝チームに贈られる優勝カップ、優勝旗などのたくさんの賞品・賞状と共に、最もフェアなチームに贈られるフェアプレー賞の表彰も受けた。優勝旗を手にした選手たちは全力疾走でバックスタンドの応援席前に走り「応援ありがとうございました」と一礼して喜びを爆発させた。右手を突き上げ、肩を組み、校歌を大合唱して感激の時を味わった。そしてリベンジを果たした歓喜の時が全国の第1歩となった。

この日2得点を上げた宮本 龍選手「相手に先取点を取られたのは、自分がマークを外されたから、自分のせいでチームに焦りが出たと思う。得点はたまたま取れただけ、今日のプレーは全然良くなかった、もっと自分をレベルアップさせなければいけない」2年生は謙虚に反省し飛躍を誓った。
全ての得点に絡んだ加部未蘭選手「最初の得点が認められなかったのは残念だが、念願の選手権に出れることになってうれしい。自分が点を決めるとチームに勢いが出るので、全国ではもっとボールに絡んで、見てて面白いプレーをしたい」長身の2年生ストライカーは選手権での活躍を誓った
碓井鉄平主将「先取点を取られたが、自分たちは前から行くサッカー、引いてはいけないと声を掛け合い、マークを確認してパスを回すようにした。やっとインターハイの借りを返すことが出来た。航空の主将から全国で頑張ってくれと声をかけられ、ありがとうと答えた。航空の分も韮崎の分も頑張りたい」イレブンは下して来たチームの思いも胸に全国に向かう。
吉永一明ヘッドコーチ「決勝戦ということで緊張して、立ち上がりで簡単に点を取られてしまった。ここは反省点だが、前半のうちに逆転出来たので後半は落ち着いて試合が出来た。これを超えるのが一つの目標だったので素直に喜びたい。強いチームと戦うことで選手はさらに成長してくれると思う」視点を選手権1回戦で対戦する滋賀代表の野洲高戦に移した。
横森巧監督「野洲高校は厄介な相手、夏に練習試合をして1日目0−4で負けて、2日目2−1で勝ったがうまくボールを回された。個人個人の戦術がスマート、今日の航空高のようにボールを裏に出してきてゴール前でも強いチーム。もう一度チームの守備の仕方を考え、攻撃についてももう少し絡むよう修正して臨みたい」名将は若きチームを率いて再びの国立を目指す。

第88回全国高校サッカー選手権大会は、12月30日に国立競技場で開会式を行い開幕する。今月24日に行われた抽選会の結果、山梨代表は31日午後0時05分から、さいたま市駒場スタジアム第1試合で5年連続6度目出場の滋賀県代表野洲高校と対戦する。今シーズンの山梨学院高サッカー部は、昨年まで3年間指揮を執った高木理己前監督が退任し、GM横森巧総監督が韮崎工の監督を退任して以来15年ぶりに監督に復帰、陣頭指揮でチームの指揮を取り、コーチとして元清水エスパルスヘッドコーチの吉永一明ヘッドコーチと湯浅征二郎GKコーチを招へい、名将と新進気鋭の若手指導者がスクラムを組んで選手を育て、念願の選手権初出場を掴み取った。いよいよ大晦日に念願の全国デビューする。 (M.I)
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