
平成21年度天皇杯全日本レスリング選手権大会が12月21日から23日までの3日間、東京・代々木第2体育館で開催された。この大会は各階級のベスト16までの選手によって競われる世界選手権代表選考を兼ねた日本一決定戦。山梨学院大レスリング部からフリースタイルに4人、グレコローマンスタイルに6人の計10人が出場した。このうち最終日の23日に登場した森川一樹(F66s級)・倉本一真(G60s級)・梶雅晴(G55s級)の3人が準決勝に進出した。3人揃って優勝を狙える所まで駒を進めたが、ともに優勝を飾ったライバルに敗れ決勝進出ならず、3位の表彰を受けた。大会最優秀選手に贈られる天皇杯は、8年連続8度目の優勝を遂げた女子55kg級アテネ・北京両五輪金メダリスト吉田沙保里(ALSOK綜合警備保障)に贈られた。
≪ フリー66kg級 森川一樹(4年 霞ヶ浦)≫
森川は1回戦で山学大の後輩後藤佳吾(2年 峡南工)を第1ピリオド2−0、第2ピリオド6−0で簡単に退け、2回戦では竹本勇飛(立命館大)を5−0、3−0の大差で圧倒し、準決勝で池松和彦(福岡大助手)と対戦した。第1ピリオドは池松(2−0)、第2ピリオドは森川(3−2)が取り、勝負は第3ピリオドに持ち込まれた。森川が開始30秒にバックを取り1−0とリードしたが、池松は百戦錬磨の28歳のベテラン、巧みな駆け引きで56秒に2ポイントを奪われ逆転された。1分18秒に森川がバックを奪い2−2の同ポイントに追いついたが、一度に2ポイントを取った池松の方が有利。森川は果敢に仕掛けたが、残り15秒に体を返され2−5となり決勝進出の願いを断たれた。このクラスの優勝は池松が飾った。
森川一樹選手は「1回戦・2回戦とも良い動きが出来たが、準決勝ではベテランに上手くかわされてしまった。優勝を狙っていたので悔しい。だいぶ戻って来たが昔の方が強かった、まだ戻り切っていない」不完全燃焼で大会を終えた森川は、卒業後もレスリングを続ける決意を固めた。
≪ グレコ60kg級 倉本一真(4年 日野)≫
倉本は1回戦で矢野慎也(拓殖大)を第1ピリオド1−0、第2ピリオド7−0と圧倒。2回戦でも宮崎啓大(拓殖大)を6−0、6−0と寄せ付けなかった。準決勝で優勝候補の松本隆太郎(群馬ヤクルト)と対戦した。第1ピリオドは両者ポイントなしからの30秒間のグランドレスリング、倉本が守り切るかと思われたが、残り2秒でポイントを取られた。第2ピリオドは倉本が場外際で反り投げの大技を仕掛けたが抜けてしまい、場外ポイントを取られリードを許した。結局0−1、0−3のピリオドスコアで優勝した松本に敗退した。
倉本一真選手は「春に肩の手術をして6月の全日本には出れなかった。松本選手とは勝ったり負けたり、この大会に賭けていたので悔しい。日本一になる事を目指して卒業後もレスリングを続ける」挫折を乗り越えて来た孤高の天才レスラーはロンドンを目指す。
≪ グレコ55kg級 梶 雅晴(2年 育英)≫
梶は1回戦で佐藤翔太(中大)を5−0、1−0で下し、2回戦では高校生の石原拓朗(韮崎工)を7−0、6−0と圧倒して準決勝に進出した。相手の長谷川恒平(福一漁業)は世界選手権代表の強豪、昨年敗れておりリベンジを胸に挑んだが、第1ピリオド、第2ピリオドともにバックからローリングを繰り返されて7−0、8−0のテクニカルフォール負けとなった。
梶 雅晴選手は「1回戦で頭から落ちて首を痛めてしまったが、1・2回戦は上手く戦えた。準決勝は相手にうまいようにやられた、力不足だった。2年連続して3番で終わってしまった。来シーズンはケガを直し、攻めだけでなく守りを強化して確実に勝つレスリングを目指す」2年生の有望株は、小柄な体に大望を抱き捲土重来を期す。
小幡邦彦コーチは「3人とも充分優勝を狙える戦いをしたが、駆け引きやズル賢さの経験差で敗れたともいえる。どの選手も調子を整えて上手く大会に入って来たので残念だった。天皇杯に出られた選手も出れなかった選手も、冬の間にしっかり体を作らせたい」長年現役で活躍して来た経験豊富なコーチは、気持ちを来シーズンに切り替えた。 (M.I)
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