山梨学院パブリシティセンター
第86回東京箱根間往復大学駅伝競走
山学大総合3位死守 大谷両足痙攣 全身全霊を傾けゴール
〜 東洋大総合優勝2年連続2度目 駒澤大2位 〜

新春恒例の第86回東京箱根間往復大学駅伝競走は1月3日、神奈川箱根芦ノ湖駐車場入り口から東京・読売新聞前までの復路5区間(109・9キロ)で行われた。往路で2位の山梨学院は、6区 田口恭輔(2年・東邦)、7区 小山大介(4年・倉敷商)、8区 赤峰直樹(3年・鶴崎工)、9区 中川剛(4年・豊岡南)、10区 大谷健太(4年・出雲工)のエントリーから8区が主将・岩田真澄(4年・富山商)に変更したオーダーで15年ぶり4度目の総合優勝に臨んだ。6区の田口は午前8時00分の東洋大がスタートした3分36秒後にスタート。一時、中央大学に抜かれるものの再度抜き返し、小川の待つ小田原中継所にトップ東洋大との差を46秒縮める2分50秒とし、区間3位の走り で快走。山梨学院は総合2位のままで、昨年9区区間賞の9区の中川に襷を託した。しかし、中川は16キロ付近で駒澤に抜かれ3位に落ち最終区の大谷兄へ。大谷兄は前を追うが両足が痙攣を起こし、中央大にラスト1キロで追い上げられる展開。大谷兄は「9人の汗と部員たちの思いの襷が背中を押してくれた」と、全身全霊を傾けて歯を食いしばり手足を動かし、部員が待ち構える大手町の読売新聞前のゴールに走り込み3位を死守した。上田誠仁監督は「今回の結果を、優勝できるチーム力で3位となったと考えるか、昨年の6位から3位になったと満足するのか。チームはフレッシュな気持ちで、厳しい土壌に確り根を張り、芽をつけて、葉を繁らせ、来年花を咲かせられるように、課題をもち日々努力し てもらいたい」と結んだ。総合優勝は2年連続2度目の東洋大学、2位は駒澤大学となった。


■6区(20・8キロ 箱根⇒小田原) 田口恭輔(たぐち きょうすけ)[2年・東邦]

山下りの6区は初出場の田口を起用した。田口は「昨年は6区の控えだった。今年は選手として役割を百パーセント果たしたい」とスタートを切ると、上がり坂を1キロ3分、2キロ3分8秒とゆっくりした入り。「登りは弱いので中央には抜かれると覚悟していた」。874メートルの最高標高地点5・1キロの芦之湯で東洋大と4分差。後ろから中央大学が迫る。7キロ付近で中央大に追いつかれ並走。8・8キロ付近の左カーブで中央大が転倒。「中大の選手が転倒したので驚いたが、接触しなかったので影響はなかった」。9・1キロの小涌園前を東洋大と4分16秒差で通過。中央大が、すぐ後を走ってくる。「中大は気にしないで自分の走りに集中した」。7・1キロの大平台手前で中央大に前に 出られるが、「焦りはなかった。自分のリズムを崩さずに行けば抜き返せる」と走った。田口は15キロ付近で中央大を振り切り、前を行く東洋大を追跡する。田口は「入りはゆったりと、後半勝負のプランどおりの走り」と、後半力走して区間3位(1時間0分9秒)で、小川の待つ小田原中継所にトップ東洋との差を46秒縮める2分50秒とし総合2位で飛び込んだ。

□ 総合2位 6時間35分47秒[区間3位 1時間0分9秒]
□1位 東洋大・2位 山梨学院・3位 中央大・4位 明治大・5位 東京農大・6位 駒澤大学・7位 青山学院・8位 城西大・9位 早稲田大・10位 日体大(シード校圏内)

■7区(21・3キロ 小田原⇒平塚)小山大介(こやま だいすけ)[4年・市尼崎]

□小川は「田口が東洋との差を詰めて流れに乗っていたので流れを切らさないようにと」田口から襷を受け取り、「じっくり」1キロを入った。「自分のリズムが掴めて良い感じ」と11・8の二宮を1位の東洋大との差を3分9秒とされるが、中央大を35秒と引き離す。18・1の大磯地点では東洋3分55秒、中央大36秒とさらに引き離すが、「残り3キロでペースを切り替えるつもりだったが、イメージどおりに切り替えられない」。小川は残り1キロ、向かい風を物ともせずに懸命に腕を振り、左手に襷を巻き付けラストスパート。トップ東洋大との差4分27秒、3位の中央大に21秒として平塚中継所で待つ、主将の岩田主将に襷を託した。

□ 総合2位 7時間42分20秒[区間11位 1時間6分33秒]
□1位 東洋大・2位 山梨学院・3位 中央大・4位 駒澤大・5位 東京農大・6位 明治大・7位 城西大・8位 青山学院・9位 早稲田大・10位 日体大(シード校圏内)

■8区(21・5キロ 平塚⇒戸塚)岩田真澄(いわた ますみ)[4年・富山商]

□主将の岩田は、「最後の箱根駅伝、4年生同士の襷リレー、チームのために自分のもっている物を最大限出し切ろうと」と、小山から襷を受け取り走り出した。「若干、遅めに、落ち着いて入った」と1キロを入った。5キロ付近で「左に曲がると風で体が起こされ」強風に悩まされる。6・9キロの茅ヶ崎を通り過ぎ10キロ付近まで続く。「体力を徐々に奪われ失速」、このような状況でも粘りの走りを続ける。13・2藤沢で、1位の東洋大との差は4分46秒と広げられるが、追随してくる中央大を56秒と引き離す。強風の中「自分の走りができない」と、18・4キロ影取でトップの東洋大に5分8秒に広げられるが、中央大は1分18秒と引き離す。「設定タイムに及ばなかった。チームに迷 惑をかけた」という走りで、戸塚中継所で待つ4年生の中川に東洋5分25秒、中央1分28秒として襷リレーした。

□ 総合2位 8時間50分14秒[区間9位 1時間7分54秒]
□1位 東洋大・2位 山梨学院・3位 中央大・4位 駒澤大・5位 東京農大・6位 明治大・7位 城西大・8位 青山学院・9位 早稲田大・10位 日体大(シード校圏内)

■9区(23・2キロ 戸塚⇒鶴見)中川 剛(なかがわ ごう)[4年・豊岡南]

□昨年9区間賞の中川は、「優勝を目指していたので、前を目指してスタートした」と主将の岩田から襷を受け取り走り出した。1キロを2分50秒と「自分のリズムで」入り、2キロまで理想的な走り。3キロ地点で時計を見ると「思うようにペースが上がっていない」。4・5キロ付近で駒澤大が中央大を追い抜き3位に浮上。中川は7・8キロの権太坂で「下りを利用してピッチを上げる」先を行く東洋大に5分24秒と1秒詰めるが、駒澤大が47秒とじわじわと詰め寄ってくる。「平坦なコースにでると、苦しい走りに戻った」と、14・7キロ横浜駅前では駒澤大に8秒まで迫られる。16キロ付近で駒澤に抜かれ3位に落ちた。「2位を守ろうと駒澤に食らいついた」と20・2キロ生麦地点で は並走して前を行く東洋大を追撃する。しかし、最後の下りでラストスタートを切られ13秒差をつけられ鶴見中継所で待つ大谷兄に襷を託した。

□ 総合3位 10時間2分27秒[区間9位 1時間12分13秒]
□1位 東洋大・2位 駒澤大学・3位 山梨学院・4位 中央大・5位 東京農大・6位 城西大・7位 早稲田大・8位 明治大・9位 青山学院・10位 日体大(シード校圏内)

■10区(23・1キロ 鶴見⇒大手町)大谷健太(おおたに けんた)[4年・出雲工]

大谷兄は、「3位と言うことで、前の駒澤を狙って2位以上」1位東洋大に5分20秒、2位駒澤大13秒 6キロの蒲田踏切地点で東洋大5分31秒、駒澤大35秒、「新八ツ山橋手前で両足が痙攣し」苦しい状況。13・5新八ツ山橋地点で東洋大5分57秒、駒澤1分5秒差と離される。追ってくる中央大。「向かい風と足の痙攣でペースダウン」田町48秒、御成門26秒、馬場先門12秒と見る見る近づいてくる中央大。ラスト1キロで「9人の汗と部員たちの思いの襷が背中を押してくれた」と、全身全霊を傾けて歯を食いしばり手足を動かし、部員が待ち構える大手町の読売新聞前のゴールに走り込んだ。メンバーに「『良く最後粘り、中大を振り切ってくれた』と労われたが、自分の不甲斐な さに申し訳ないと思い素直に喜べなかった。悔しさは残ったが、それでも3位が死守できてホッとした。後輩には、この無念を来年晴らしてもらいたい」と襷を握りしめた。

□ 総合3位 11時間15分46秒[区間9位 1時間13分19秒]
□1位 東洋大・2位 駒澤大学・3位 山梨学院・4位 中央大・5位 東京農大・6位 城西大・7位 早稲田大・8位 青山学院・9位 日体大・10位 明治大(シード校圏内)11位 帝京大・12位 東海大・13位 中央学院・14位 上武大・15位 日大・16位 学連選抜・17位 専修大・18位 大東大・19位 法政大・20位 亜細亜大

岩田真澄主将(4年・富山商)は「今回、優勝を目指していたので悔しい。練習でやって来たことが実践できなかった。後輩は、今大会を通して、何故、優勝できなかったのか、それぞれが学んでくれたと思う。後輩には、この悔しさを忘れずに練習で培ったことを、実践で発揮できるチームづくりをして、上を目指して戦ってもらいたい」と、述べた。

飯島理彰コーチは「6区・2年生の田口が一番心配だった。その田口が頑張って区間3位と好走してくれたので、7区からは練習で調子のいい4年生が控えていたので期待したが、どうも釈然としないレースだった。まだ、選手と話していないので原因は分からないが、結果だけ見ると粗雑だった。チームは昨年の総合6位から3位と底上げはできていると思うが、タイム差を見るとまだ力が出し切れていない。どんな状況でも自分の走りが確りできるチームになるように育成して行きた」と述べた。

上田誠仁監督は「今回の結果を、優勝できるチーム力で3位となったと考えるか、昨年の6位から3位になったと満足するのかでは、チームづくりに大きな違いが生じる。チームは昨年より確実に力がついているが、超戦国駅伝では一つ間違えると優勝校も予選校となる。気を抜けば明日は我が身となる。フレッシュな気持ちで、厳しい土壌に確り根を張り、芽をつけて、葉を繁らせ、来年花を咲かせられるように、課題をもち日々努力してもらいたい」と結んだ。(H・K)
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