山梨学院パブリシティセンター
山梨学院小ウインター・プロジェクト
〜全国でも珍しい学年の壁を取り払った授業始まる〜
〜自ら選んだ学会で自ら学び、博士になろう〜

こどもたちの“自律性”“創造性”“生きる力”を3本柱に、独創的な教育実践に取り組んでいる山梨学院小学校で、ウインター・プロジェクト「博士ゲーム」授業が1月20日から29日の日程で始まった。期間中の8日間は、学年の壁を取り払い、四つの学会([言葉学会][数(かず)学会][社会学会][自然学会])の中から、子供自身が興味のある学会を選び、取り組んでみたい講座について、自律的に学ぶ特別カリキュラム。教師は期間中、極力アドバイザーに徹する。このプロジェクトの狙いは、教えられるのではなく、子供が自分の力で学び、失敗の中から生きる力を育もうという試み。課題を克服すると、難易度ごとに1級〜3級の博士号シールを取得できる。自律的な学習の場を提供するこの試みは、3年前から冬のプロジェクトとして実施されている山梨学院小独自の教育プログラム。学年の壁を取り払って行われる試みは全国的にも珍しく、在校生が1年生から6年生まで一貫された今年度の教育成果が大いに注目される。
ウインター・プロジェクト「博士ゲーム」授業には、1年生から6年生の376人の全校生徒が参加する。四つの学会には9〜12講座がそれぞれ用意されており、自分がどの講座を受けるといいのか、子供たちが選択し易いように、低学年向け・中学年向け・高学年向けと表示され、各児童が自分の学力・知識力・能力に応じて自由に選べるように組み立てられている他、「スタディ・マーク」によって「見る・対話・操作・思考・協同」の何に力点を置いた講座か、見て判るよう工夫されている。
4学会の学会名、講座名、学習目標内容は下記の通り。

学会名

講座名

 

学習目標(1級)

 

言葉学会

討論博士

高学年向

討論(ディベート)の資料を効果的に使って意見を述べる

古典文学博士

古典文学の情報を入れた独自の古典文学地図を作成

漢字博士(高)

辞書などを用いて常用漢字が読み書きできる

英語博士(高)

英文の内容を読み取り、文脈・文章の前後関係を掴める

文法博士

中学年向

言葉を、動詞・名詞・代名詞などに品詞分類出来る

ハキハキ博士

相手に伝わるよう、滑舌よく発音することが出来る

漢字博士(中)

辞書などを用いて教育漢字が読み書きできる

英語博士(中)

英語の歌を正しい発音で、歌詞を覚えて歌う

ローマ字博士

低学年向

ひらがな文章をPCのローマ字入力機能を使い入力する

ことわざ博士

「犬棒かるた」45個のことわざの意味を正しく組み合せる

漢字博士(低)

辞書などを用いて教育漢字が読み書きできる

英語博士(低)

似た発音の続く英語を早く正しく発音する事が出来る

学会名

講座名

 

学習目標(1級)

 

数学会

図形博士(高)

高学年向

サッカーボールをもとにボールの展開図が作成出来る

インド式計算博士

インド式計算の2つの法則を用いて、2桁×2桁の計算の答えを正しく導く事が出来る

グラフ博士

効果的なグラフを作成してプレゼンテーションを行う

法則博士

なぜ、この展開図になるのか説明し、組み立てが出来る

「は・じ・き」博士

中学年向

山梨学院小から任意の目的地までの時間が計算できる

計算パズル博士(中)

3つの数の総和から、空いているマスの数を推論し、正しい答えを導く事が出来る

図形博士(中)

だまし絵を見ておかしな所を探し、簡単なだまし絵を描く

世界の数博士

低学年向

「10000」までの数を書き表す事の出来る記数法を作る

単位博士

身の回りにあるものの単位を正確に使い分けできる

計算パズル博士(低)

1から9までの数字を1回ずつ使い縦・横・斜めの総和と外枠の数と等しくなるようにする

タングラム

三角形と四角形の色板を組合せて形や文字が作れる

学会名

講座名

 

学習目標(1級)

 

社会学会

道路交通法博士(高)

高学年向

道路図に標識等を入れ、安全な交通状況の道を考える

世界の武具博士(高)

武将に相応しい武具を仲間と考え、イラストを完成させる

日本の鉄道博士(高)

決められた時間までに目的地に着くよう、時刻表や路線図を使って旅行計画を立てる

孫子の兵法博士

学んだ孫子の兵法を活用し、生活や社会の中で想定される困難な場面を乗り越える方法を考える

Famous firsts博士

中学年向

自分で新たなFamous firstsを調べて、自作の資料を完成させる

世界の美術史博士

印象派等の作品を見て、どの画家の作品か判別できる

世界の音楽史博士

音楽の特徴や移り変わりを簡潔に書ける。またはバロックかロマン派の音楽を1曲演奏する

日本地図博士

日本の山脈、河川等を白地図に書き込み、地名を覚える

道路交通法博士(低)

低学年向

道路交通法の知識を活用し、道路図に標識を書き込む

世界の武具博士(低)

日本や世界の名刀や甲冑を学び、3級で作った資料をさらに詳しくしていく

日本の鉄道博士(低)

決められた時間までに目的地に着くよう、時刻表や路線図を使って旅行計画を立てる

オリンピック博士

オリンピックの2種目について調べ、ルールブックを作る

学会名

講座名

 

学習目標(1級)

 

自然学会

生き物模型博士(高)

高学年向

図鑑資料等を元に、立体模型で昆虫の体を再現し理解

スポーツサイエン博士

応急処置の仕方を理解、三角巾を使った処置が出来る

地震グラグラ博士

観測・予知の現状を知り、家族に具体的地震対策を提案

果物検定博士

中学年向

栽培暦に即し、果物の成長過程を理解する事が出来る

生き物模型博士(中)

図鑑資料等を元に、立体模型で昆虫の体を再現し理解

スポーツ・トレ博士

トレーニングの意味を理解し、日常生活に取入れて立案

マッスル博士

低学年向

[筋肉体操]を歌い、筋肉の名称や部位について理解

植物博士

花の名前や科名、種や実の特徴、成長過程を理解する

生き物模型博士(低)

図鑑資料等を元に、立体模型で昆虫の体を再現し理解



初日20日の[社会学会]では、「世界の武具講座」「famous first(世界初)講座」「道路交通法講座」の3講座が開かれ、子供たちは日本刀や甲冑の歴史などについて思い思いに学んでいた。梵字に取り組んでいた男子児童は「日本刀について学んでいるうちに、鞘の部分に描かれた不思議な文字に興味を抱き、梵字を調べています」と話していた。2人の5年生女子児童は「ちゃんと勉強しないと結果が出ないので大変だけど、違う学年の子とも友達になれるし、何を学ぶか自由に選択出来て楽しい」と声を揃えていた。開発責任者の小林智芳教頭は「このプロジェクトは“学び方を学ぶ場”。子供たちは時には失敗することで、課題をクリアするにはどうしたらいいか、学び方、見方、立ち方を修正することを覚える」と話し、生きる力を身に付けさせたいと語った。山梨学院小は、今年度初めて6年生が全国学力テストに参加、全国平均の正答率70%を大幅に上回る正答率84%の高い成績を収めた。ウインター・プロジェクトなどの独創的な教育プログラムが、児童の学ぶ力を伸ばしていると見られている。 (M.I)
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