競泳ジャパンオープン2010第51回日本短水路選手権水泳競技大会が、東京辰巳国際水泳場を舞台に2月27・28日の日程で開幕した。大会は日本のトップスイマーと世界28カ国のトップスイマーが競演する国際大会。山梨学院大からは男子10名女子14名の計24名が出場。1日目のレースで、山学勢は7人が午前中の予選を勝ち抜き、午後からの決勝レースに進んだ。このうち女子100m平泳ぎ決勝に進出した鈴木聡美は、自己ベストを2秒以上も短縮させる泳ぎで2位に入り銀メダルを獲得した。また男子400m個人メドレー決勝で、山崎智史が自己ベストを1秒51短縮させて銅メダルを獲得した。男子選手のビッグ大会表彰台は山学水泳部史上初、地道な努力を黙々と重ねてきた山崎が最終学年直前に創部初の快挙を達成させた。この他、5年ぶりに現役復帰した萩原智子が50m自由形で日本人トップの4位、坂井菜穂子が400m個人メドレー5位に入賞するなど、初日から山学勢は輝きを放った。
水泳シーズンが他の競技より一足早く開幕した。25mプールで競う日本短水路選手権の今年最大の注目点は“水着”。国際水泳連盟は、昨年の世界水泳で43個もの世界新記録が生まれた最大の要因といわれる高速水着を今シーズンから禁止した。ラバーやパネルを貼ったものは禁止され、素材は繊維のみに限定。水着の形は、男子は腰からひざまで、女子は肩からひざまで(首、肩を覆うことは不可)に変更、昨年までの主流だった足首までの全身スーツは姿を消した。4月に行われる日本選手権を占う前哨戦の意味合いもあり、新規定で競われる大会で勢力図に異変が起きるか注目された。
≪女子100m平泳ぎ 決勝 鈴木聡美≫
鈴木聡美(1年 九産大九州)は昨年9月のインカレで、1分6秒32の日本新記録を出して優勝するなど、山学大に入ってから急速に力をつけてきた。しかし、ターンはまだ苦手、長水路だとターンは1回だが、短水路だと3回となる。予選で自己ベストを上回るタイムを出したが、ギリギリの8位で何とか決勝に進んだ。コースは8コース、顔をちょっと上げるいつもの構えから、思い切りよく飛び込んだ。25mは全員がほぼ横一線で通過したが、ここからぐいぐい前に出た。50mの通過タイムは31秒38で2位に躍進、75mも4コースの松島美菜(セントラルスポーツ)に次ぐ2位で通過、そのままスピードを落とさずにゴール、タイムは1分06秒07だった。昨年までの自己ベスト(1:08.24)を2秒17も短縮させる驚異の泳ぎで松島に次ぐ2位で銀メダルを獲得した。表彰台に立った鈴木は、手にした銀メダルと花のブーケを山学選手団席に向けて掲げ微笑んだ。鈴木聡美選手は「新しい水着を試着したのは1週間前、不安だったが予選で自己ベストが出て安心しました。決勝は8番手だったので、行くしかないと前半から行く自分のレースで積極的に攻めました。ターンの後の水中動作が苦手、いいタイムが出たので、苦手意識はちょこっとなくなりました。でもまだまだです」水着への不安は解消され、手応えをちょっとつかんだ様子。
≪男子 400m個人メドレー 決勝 山崎 智史≫
山崎 智史(3年 山梨学院高)は素晴らしい泳ぎをした。午前中の予選で自己ベスト(4:12.85)を1秒以上短縮させる4分11秒61を叩き出し、夢のステージだった決勝に予選2位で進んだ。きっとものすごく緊張していたであろうが、観客席からはとても落ち着いてスタート台に立ったように見えた。5コースからスタート、最初のバタフライ50mは4位、100mで2位に上った。次の背泳ぎはしっかりつないで150mも200mも2位。平泳ぎはさらに良かった、3位を引き離し250mも300mも2位で通過、最後のクロールに入ってかわされ350mでは3位に後退した。しかし、そこから粘る力が付いていた、地道に黙々と重ねてきた努力が背中を押して粘り切った。3位でゴール、タイムは午前中に出した自己ベストをさらに更新する4分11秒34だった。男子選手が日本選手権クラスのビッグ大会で表彰台に上ったのは山学水泳部史上初、山学男子ここにあり、創部初の快挙を達成させた。山崎智史選手は「ラバーでない、スパッツタイプの水着でベストタイムが出せたので、実力がちょっとだけど伸びたのかな。決勝でも自分の泳ぎは出来た、他の選手と比べるとクロールで差がついてしまう点が課題だったが、最後まで粘って競り勝てたので自信を持って日本選手権に臨める」ビッグ大会の表彰台に上った胸に自信と闘志が宿った。
そのほかの山学選手も大いに健闘した。昨秋5年ぶりに現役復帰した萩原智子(カレッジスポーツセンター研究員)は50m自由形25秒14で日本人トップの4位入賞、萩原智子選手は「まだまだです、情けない」と開口一番では語ったが「すごく楽しかった、前と違って練習も楽しめるようになった、明日の100mも日本選手権も頑張りたい」と笑顔で前に向かっていた。400m個人メドレーの坂井菜穂子(3年 東京立正)は5位入賞。坂井菜穂子選手は「予選よりタイムを大幅に更新したかったが、思ったレースが出来なかった。明日は決勝を目指します」と話し、日本選手権での巻き返しを誓った。そのほか、下中千明(1年北陸大谷)50m自由形6位、須藤勝也1500m6位。村上優海(1年 市立船橋)100m個人メドレー8位など。
大会1日目は男女合わせて20種目が行なわれ、男子200m決勝で佐野秀匡(ミズノ)が日本新記録(1分51秒97)を出した。海外からの招待選手の活躍が目立ち、10種目で海外招待選手が優勝を飾った。大会2日目は、28日午前9時に予選がスタート、午後3時から14種目で決勝が行われる。 (M.I)
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