
山梨学院大学附属小学校で3月20日、学校初の卒業式が行われた。山梨学院小は2004年に誕生、開校6年目の今年度初めて1年生から6年生までの全学年が揃い、この日初の卒業生が誕生した。大学キャンパス内メモリアルホールで行われた卒業証書授与式には、63人の卒業生と4年・5年の在校生、それに保護者ら約300人が参列した。田中智志校長は「欠点や失敗を受け入れて、自分を高める努力をして下さい」と卒業生にお祝いの言葉を贈った。学校法人山梨学院は、終戦直後の昭和21年に山梨実践女子高等学院として産声を上げた。短大・大学・幼稚園などが順次創設され、小学校に卒業生が生まれたことにより、創立64年目の年に幼稚園から大学院までを擁する総合学園として学校教育体系が貫徹された。
メモリアルホール中段の左右の扉がさっと開かれ、左胸を生花のコラージュで飾った6年A組とB組の63人の卒業生が、ちょっと誇らしげに、ちょっと照れくさげに、一人一人入場して来てステージに上がった。担任の教師が途中からは声を詰まらせて児童の名前を読み上げ、田中智志校長が一人一人に卒業証書を渡し握手で祝福した。新年度からは東京大学大学院教育学研究科に転任する
田中智志校長は卒業生に向けて「人生に挫折は付き物です。生きる上で必要不可欠でないもので自分を否定することはない、今の自分を素直に認め、受け入れる事が大切、欠点や失敗を受け入れて、自分自身を高める努力をして下さい」と最初で最後の卒業式辞を締め括った。
山梨学院小は、“自律力”“想像力”“生きる力”を3本柱に、全国でも数少ない文部科学省「研究開発学校」の指定を受け、学習指導要領の枠を超えた先進的な教育実践に取り組んでいる。実社会と結び付けた「アントレプレナー(起業家)授業」や学年の壁を取り払った「ウインター・プロジェクト(博士ゲーム)授業」など、独創的な教育プログラムで、子供たちの判断力や企画力を育んでいる。その成果は、初めて参加した全国学力・学習状況調査で、4科目とも全国平均を大幅に上回るという形で表れた。国語の基礎力を問う国語Aの正答率は84%(全国平均70%)。読解力を調べる国語Bの正解率69%(全国平均51%)。計算力の基礎を問う算数A正答率91%(全国平均79%)。活用力・思考力を問う算数B正答率70%(全国平均55%)という全国トップクラスの好成績を上げた。
山内紀幸校長補佐は「中でも、読み解く力が必要とされる応用問題の出来が良かった。環境プロジェクトの1級問題は答えのない記述式で、日本人が最も苦手とする分野。しかし、国際社会で生きていくには必要不可欠な力、実社会に即した本物の[生きる力]を育んでいきたい」と話している。
卒業式のクライマックスは“合唱”。最初に4年・5年の在校生が[♪どんな言葉で、語るよりも、生きる力を持ち続けて、強く強く歩き続けて]と熱唱した。これに答えて、第1期卒業生を代表し
清水駿介君が「先輩のいない僕たちが楽しい学校生活を送れたのは、家族と先生方のおかげです。一番の思い出はプロジェクト学習、仲間と協力して学ぶ難しさ、楽しさを知りました。学んだ時間と経験が自分の宝になりました」と答辞を述べ、全員で“巣立ちの歌”を合唱した。小さな胸の熱い思いがメモリアルホールに響きわたり、多くの児童が涙を堪えながら歌い終えた。式を終えた卒業生は、6年間の思い出を胸に40周年記念館前で記念撮影を行い、学校と先生との別れを惜しんでいた。(M.I)
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