関甲新学生野球2010春季リーグ戦1部(第4節2戦目)は4月25日、群馬県の上武大学野球場で2試合が行われた。第1試合は暫定1位の山梨学院大学と前年優勝校の白鴎大学(暫定3位)の第2戦目が行われた。このカード後がなくなった山梨学院は、攻撃陣が奮起して、3回表には8番・本多公康(4年・育英)が直球を捕らえ均衡を破る先制の右越え本塁打で1対0とした。さらに、二塁に走者をおき3番・折居祐(3年・甲府工業)が渋とく右前に運び2対0。4回表には、三塁走者を8番・本多が右前安打で還し3対0とした。5回表は2番・飯島亮(3年・山梨学院)の二塁打。3番・折居の単打で一三塁とし、相手捕手が後逸する間に飯島が生還し4対0とした。投げては、1年生右腕・高梨裕稔(土気)が「調子は良くなかった」と、6回裏に二死満塁の大ピンチ。高梨はホームランで逆転という場面で、8番打者に怯むことなく、MAX141キロと果敢に立ち向かい、フォークで空振りの三振を奪い窮地を脱した。7回裏、疲れの見える高梨に代えて、エース右腕・佐藤嘉絋(4年・清水商業)。佐藤は、9番を三振、1番を内野飛、2番を内野ゴロと三者凡退で切って取りエースの貫禄を見せつけた。しかし、8回表一死から、4番四球、5番死球、続く6番を投手ゴロに仕留めたが、2塁への送球がやや低く、これが悪送球となり一死満塁とされた。続く、7番へ四球を与え押し出しで4対2。迎えた8番の代打に右中間を破られる走者一掃の三塁打を浴びる自滅で4対5と逆転され、結果4対6で負け、暫定 2位に後退した。山梨学院は次回、常磐大学と小山市運動公園野球場(栃木県)で5月8日12時30分から第6節第1戦を行う。
☆2010春季リーグ戦1部(第4節2戦目) 於 上武大学野球場
山梨学院 |
0 |
0 |
2 |
1 |
1 |
0 |
0 |
0 |
0 |
4 |
白 鴎 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
1 |
0 |
5 |
× |
6 |
[山梨学院]
投手:高梨(6回、打者26、打数22、103球、7安打、1本塁打、1犠打、3四球、2三振、失点1、自責点1)
投手:佐藤(1回1/3、打者10、打数6、34球、1安打、3四球、1死球、1三振、1暴投、失点5、自責点5)
投手:斎藤(2/3回、打者2、打数2、8球、1安打)
捕手:本多(逸球1)
本塁打 本多 二塁打 飯島
[白 鴎]
投手:金伏(3回2/3、打者16、打数13、62球、5安打、1本塁打、2犠打、1四球、1三振、1暴投、失点3、自責点3)
投手:新谷(1回1/3、打者17、打数17、72球、4安打、6三振、失点1)
投手:武藤(2/3回、打者4、打数2、17球、1安打、1犠打、1四球、失点1、自責点1)
投手:仲尾次(1/3回、打者1、打数1、5球、1三振)
捕手:岡島(逸球2 盗塁刺1)
本塁打 岡島 三塁打 中田
☆先攻の山梨学院は1回裏、予定通りマウンドに1年右腕・高梨裕稔(土気)を登板させた。高梨は「調子は良くなかった」と、先頭打者を四球で出塁させると、犠打で一死二塁。4番打者の右前安打で二塁走者がホームを突くが、主将・高橋将(4年・山梨学院)の好返球で、捕手の本多公康(4年・育英)が捕球しタッチアウトでピンチを切り抜けた。
☆3回表の山梨学院は、8番・本多公康(4年・育英)が2−2から「チェンジアップが外れたので、次はストレートが来ると狙っていた。思い通り高めのストレートが来た」と振り抜くと、均衡を破る先制の右越え本塁打となり1対0とした。一死後、1番・渡辺貴幸(3年・甲府商業)が中前安打で出塁、犠打で二死二塁とし、3番・折居祐(3年・甲府工業)が「インコースのスライダー」をしぶとく右前に運び、渡辺を生還させ2対0とした。
☆4回表、主砲5番・林亮佑(2年・育英)が1-1から中前安打で出塁し、6番・成田竜也(4年・木更津総合)の犠打で進塁。二死後、8番・本多公康(4年・育英)が2−2からの「外のスライダー」を技ありで右前安打し、林が生還し3対0とした。
☆山梨学院は5回表の一死後、2番・飯島亮(3年・山梨学院)が、左中間を破る二塁打で出塁。3番・折居祐(3年・甲府工業)が「低めのスライダー」を叩く左前安打で一三塁とした。主将4番・高橋将(4年・山梨学院)の1-0からの2球目を相手捕手が後逸、その間に飯島が生還し4対0とした。
☆6回裏の山梨学院、1年生右腕・高梨が2番打者に遊撃手を襲うライナーを打たれるが、島田拓也(3年・山梨学院)が難なく処理して一死とした。しかし、3番打者に初球を右越え本塁打され4対1とされると、4番に四球。DH5番に左前安打され一死一二塁とされた。高梨は6番にあわや右前安打という当たりを、三塁手・成田竜也(4年・木更津総合)のジャンプ捕球で二死とした。続く7番に、右前安打され二死満塁の大ビンチ。ホームランで逆転という場面で、高梨は8番打者に怯むことなく、MAX141キロと果敢に立ち向かい、2−1から128キロのフォークで空振りの三振を奪い窮地を脱した。
☆山梨学院は7回表、疲れの見える高梨に代えて、エース右腕・佐藤嘉絋(4年・清水商業)をマウンドに送った。佐藤はエースらしく、9番を三振、1番を内野飛、2番を内野ゴロと三者凡退に切って取った。
☆続く8回表、エース・佐藤は3番打者を内野ゴロに仕留めた。しかし、4番を四球、5番に死球を与えて一死一二塁とした。続く、6番を投手ゴロに仕留めたが、2塁への送球がやや低く、これが悪送球となり一死満塁とされた。続く、7番に四球を与え押し出しで4対2とされた。迎えた8番の代打に、1−1から「一球目で空振りを取ったワンバウンドになるスライダーを投げようと思ったが、外から内に入った」と、右中間を破られる走者一掃の三塁打を浴び4対5と逆転された。自分を見失った佐藤は9番へ四球を与え一三塁とした所で降板した。山梨学院は三番手投手・斎藤翔太郎(3年・木更津総合)を送るが1番打者に中前安打され、三塁走者が還り4対6とされた。
☆9回表、先頭打者7番代打・山内恭平(3年・育英)が中前安打で出塁。続く、8番・本多公康(4年・育英)が四球を選び無死一二塁とした。9番・島田拓也(3年・山梨学院)の犠打で、一死二三塁と一打同点と追いすがるも、1番代打・小石翔一(4年・甲府工業)、2番代打・古川裕剛(3年・八王子実践)が倒れゲームセットとなった。
■均衡を破る先制本塁打を放った8番・本多公康(4年・育英)は「左投手は好き」と、左投手の「チェンジアップが外れたので、次はストレートが来ると狙っていた。思い通り高めのストレートが来たので、フルスイングした」と、ホームランを振り返った。好投した高梨に「良く投げたと思うが、途中バテていたので、チームのためにも完投できるスタミナを付けてもらいたい」と、好投手だからこその注文。8回には「投手のリードが思うように出来なかったので、次には確りリードしたい」と、佐藤をかばう。打撃のヒーローにも関わらず話は投手陣のことへ、監督が褒める女房役の頭の中は常に投手のことで一杯のようだ。
■6番から3番に抜擢され4打数3安打の猛打賞の折居祐(3年・甲府工業)は「監督から3番ということを、意識しなくても良いと言われていたので、意識しきしないで思い切ってスイングできた。チャンスで打てて良かった。これからも、良い所で一本打てるように練習し、チームに貢献したい」と、力強く静かに語った。
■満塁で MAX141キロと果敢に立ち向かい、フォークで空振りの三振を奪い窮地を脱した1年右腕・高梨裕稔(土気) は「今日は大事な試合だと言うことは分かっていた。最初から調子が悪く、何とか粘ってチームの為に頑張ろうと思ったが(完投できずに)駄目だった」と、自分を責めた。
■主将4番・高橋将(4年・山梨学院)は「悔しい。勝てる試合を落とした。それを落としているようでは、上位では戦えない。本当に悔しい」と、何時は熱く語り確りしている主将も、今日ばかりはやや放心状態だ。それでも「まだ神宮への道が断たれた訳ではないので、一週間あるので、早く気持ちを切り替えて、チーム全員で残りの試合すべてを勝ちに行く」と、自我にも言い聞かせながら球場を後にした。
■高橋一三監督は「今日は、絶対勝たなければならないと言う思いが強く、それが裏目に出た戦いだった。選手も監督も良い経験をした」と、大一番での勝てた試合に首を振った。「今日の高梨は球の走り、切れがなかった。だましながら引っ張ったが、6回が限度だった。それで、迷いなく7回から佐藤で行った。(7回の投球で)すんなり行くと思ったが、甘くなかったね」と、「佐藤は(8回裏)打たれるとかの問題ではない。独り相撲で崩れ相手に勝ちを勝手に与えた。精神面で強くならないと」と、エース佐藤の心の魔物の出現に戸惑いを見せた。「打線は、奮起してくれて良かった。逆転されたが、あと一打で逆転する所まで相手を追いつめた」と、打撃陣には合格点を付けた。「守備は随所に好守がみられたが 、8回の二塁フォースアウトの場面で併殺に焦り捕球出来なかった」と、確かに焦らなければ捕球でき、二死一三塁だっただけに悔やまれる。「一つ一つのプレーを堅実に丁寧にやれと、常々言っているがまだまだだね」と苦言を呈した。「後の2カードに勝てば、まだ分からない。気持ちを切り替えて、練習に励み、次(6節・7節)は何としても勝たなくてはならない」と、悲願のリーグ戦優勝への望みを手繰り寄せる。(H・K)
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