
第62回春季関東地区高校野球山梨県大会(大会7日目)は4月30日、甲府市の小瀬球場で3試合、富士北麓公園球場で2試合が行われた。富士北麓球場の第1試合は、夏の覇者・山梨学院大学附属高校とノーシードから2試合コールドで勝ち上がって波に乗る吉田高校との1戦が行われた。山梨学院は2年生右腕・中村太星(山梨都留シ)を先発。その1回裏、主将の1番・松浦航平(3年・青葉緑東)、2番・鈴木悠介(3年・青葉緑東シ)のレフトスタンド芝席に飛び込む、アベックホームランで2対0と先制した。3回表二死後、中村は4番打者を内野フライに打ち取ったが内野失策で2対1とされた。6回表、山梨学院は好投する中村から3年生右腕・名取貴広(若草中)に投手リレー。中継ぎで登場した名取は二死二三塁、7番打者へのパスボールでホームを突くランナーを捕手からの送球で封殺し0点とした。その6回裏、3番・山田凌(3年・八王子シ)の、目の覚めるような右越え特大アーチで貴重な追加点を叩きだし3対1とした。山梨学院は8回裏、好投する9番の名取に代打・鈴木孝昌(2年・八王子シ)を送った。代打・鈴木は、その期待に答えて0-1から右前安打を放ち出塁、そして二塁に進塁後、内野ゴロを二塁手が一塁へ悪送球、その間に一気に生還し4対1とした。9回表には、2年生右腕・土屋直之(甲府南シ)が抑えで登板し3人で締めた。山梨学院は公式戦初出場の3投手の好投で、2試合コールドで勝ち上がってきた猛打の吉田を4対1で退け、明日の午前11時30分小瀬球場で日大明誠高校と準々決勝を戦う。
第62回春季関東地区高校野球山梨県大会(大会7日目) 於 富士北麓公園球場
吉 田 |
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山梨学院 |
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× |
4 |
投手:中村〈5回、72球、4安打、2犠打、2四球、4三振、1失点、0自責点〉
投手:名取〈3回、41球、2安打、1犠打、1四球、1三振〉
投手:土屋〈1回、10球〉
捕手:相馬 2盗塁刺 3盗塁
本塁打 松浦 鈴木(悠) 山田
[吉 田]
投手:渡辺(弘)〈3回、55球、4安打、2本塁打、1犠打、1四球、1三振、2失点、2自責点〉
投手:小松〈3回、36球、1安打、1本塁打、1三振、1失点、1自責点〉
投手:宮下〈2回、30球、1安打、1三振、1失点、0自責点〉
捕手:菅谷 1盗塁
☆後攻めの山梨学院は、2年生右腕・中村太星(山梨都留シ)を先発させた。中村は「公式戦初先発で緊張した」と2-1から左前安打されるが、2番・3番を内野ゴロ、4番を外野フライに打ち取り上々の滑り出し。
☆その1回裏、主将1番・松浦航平(3年・青葉緑東)は「真ん中に入ってきた真っ直ぐ」を振り抜くと一直線にレフトスタンド芝席に突き刺さる本塁打。続く、2番・鈴木悠介(3年・青葉緑東シ)が0-1からの「インコースに甘いストレートが入ってきた」球を振り抜くと、レフトスタンド芝席に飛び込む本塁打。1・2番のアベックホームランで2対0とした。
☆山梨学院は2回表、2年生右腕・中村が5番打者に2-2から右越え2塁安打を放たれ、犠打で一死三塁とされるが、1回裏の「松浦さんと鈴木さんのホームラン2点で落ち着けた」と、怯むことなく2-1からのスクイズを低く外に外し空振りの三振、続く7番打者も空振りの三振に打ち取る中村の落ち着いたマウンド裁きで、相手の得点チャンスを潰した。
☆山梨学院は2回裏、先頭打者6番・花澤冴俊(3年・千葉市シ)が四球で出塁。続く、7番・ 青山祐己(3年・浦安シ)が三塁側に絶妙なセーフティーバントで無死一二塁とした。一死後、9番右腕・中村の犠打で二死二三塁。先頭打者ホームランの1番・松浦は2-1から「相手投手の遅い球に、溜めて打つことが出来ずにフライを上げてしまった」と、追加点のチャンスを逃した。
☆その3回表、右腕・中村は一死後、1番打者を四球、2番打者にセーフティーバントを決められ一死一二塁とされるが、3番打者を空振り三振に打ち取り二死とした。続く、4番打者を2-2から内野フライに打ち取ったが、内野失策で2対1とされた。
☆山梨学院は6回表、好投する右腕・中村から3年生右腕・名取貴広(若草中)に予定の投手リレー。中継ぎで登場した右腕・名取は一死後に4番打者に右越え2塁安打、5番打者に右前安打され一死一三塁。さらに一塁走者に盗塁され一死二三塁とされるが、名取は『オリャー』と気合いの投球で6番打者を内野ゴロに仕留め二死とする。続く7番打者のとき、捕手・相馬彰吾(3年・猿橋中)がパスボール、相馬は俊敏な処理でホームベスに入る名取に送球、名取がランナーを封殺し0点とした。
☆その6回裏の一死後、名取の気迫が3番・山田凌(3年・八王子シ)に乗り移り、山田が「内角の変化球」を振り抜くと、「飛距離は十分、風で切れるかと思ったが、そのまま入ってくれた」と、目の覚めるような右越えの特大アーチを放ち、貴重な追加点を叩きだし3対1とした。
☆山梨学院は8回裏、好投する右腕9番の名取に代打・鈴木孝昌(2年ろ・八王子シ)を送った。代打・鈴木は、その期待に答えて0-1から右前安打を放ち出塁すると、一死後、2番・鈴木悠介(3年・青葉緑東シ)の二塁手へのゴロの間に二塁に進塁。続く、3番・山田凌(3年・八王子シ)の内野ゴロが、二塁手の一塁への悪送球を誘い、その間に代打・鈴木が一気に生還し4対1とした。
☆9回表には、2年生右腕・土屋直之(甲府南シ)を、抑えでマウンドに上げた。土屋は「調子が良かった」と、5番打者を内野飛に打ち取ると、6番打者の三塁側へのをセーフティーバントに素早く反応し二死、7番打者を一塁飛に打ち取り、3人で締めた。
■レフトスタンド芝席にホームランを放った2番・鈴木悠介(3年・青葉緑東シ) は「松浦がホームランを打ったので、2番打者の役割で出塁しようと打席に入った」と、0-1から「インコースに甘いストレートが入ってきたので、練習で強く打つことを心掛けているので、自然にバットが出てホームランになった」と、右越えで芝生席に飛び込む本塁打を振り返った。
■6回裏、ライトに特大のホームランを放った3番・山田凌(3年・八王子シ)は「自分のミスで1点を取られたので、自分のバットで取り返したかった」と、6回裏に左打席で「内角の変化球」を捕らえると、右越えの特大本塁打。「飛距離は十分だったので風で切れないようにと願ったが、そのままのびてホームランになってくれたので良かった」と、胸を撫で下ろしていた。
■先発でマウンドに上がった2年生右腕・中村太星(山梨都留シ)は「公式戦初出場と初先発で立ち上がり緊張した。松浦さんと鈴木さんのホームランで気持ちが楽になり、ランナーが出ても落ち着いてピッチングが出来た」今日のピッチングは「50点か60点の出来」と、謙虚。「何時でも、投げられるように準備しておきたい」と、笑顔で答えた。
■6回表中継ぎで登板し気迫のビッチングした3年生右腕・名取貴広(若草中)は「立ち上がり緊張し、変化球、真っ直ぐにキレがなく捕まった。その後は、強気なピッチングに心がけ攻めて行った」。「何時も『オリャー』と声を出して投げている」と、気迫のピッチングで無失点と好投したが、自己採点は「50点」と、厳しい採点。登板機会があれば「チームが勝てるように全力投球したい」と、力強く述べた。
■抑えで9回登板した2年生右腕・土屋直之(甲府南シ)は「公式戦初出場なので緊張し、ブルペンでは思う投球が出来ていなかったが、マウンドに立つと集中して自分の思うピッチングが出来た。真っ直ぐが手が振れ、変化球が生きた。調子は良くなっている。投げられるチャンスがあったら、何時でも投げたい」と好調をアピールした。
■先頭打者、初球ホームランをレフトスタンドに放った主将の松浦航平(3年・青葉緑東シ)は「『好球は初球からでも行け』と、言われているので、真ん中に真っ直ぐが入ってきたので叩いた。中村を楽にさせたかったので、どんな形でも1番バッターとして塁に出ようと思っていたので良かった」と、しかし、「相手投手が打たれてから、スローボールに投球スタイルを変えてきたのに、溜めて打つことが出来ずにチャンスで対応できなかった」と反省も忘れない。チームは「2回から5回まで相手投手の遅い球に、外野フライが多く抑えられた。ちゃんと、呼び込んでゴロを転がせるように打撃陣は心がけ調整したい。投手陣は、点差のない緊迫した中でプレッシャーに負けずに良く投げたと思う。今日は投手陣に救われた。明日は、繋ぐ野球で投手陣を楽に投げさせてあげたい」と、自問自答しながら述べた。
■須田喜照監督は「(吉田高校に)内の繋ぐ野球が、させてもらえなかった。今日の気温と同じ、寒い試合だった」。打撃陣は「相手投手の、変化球を絡めた遅い球に、タイミングをずらされた」。「相手投手も打たれまいと必死でやってくるので、(繋ぐ野球は)難しいとは思うが、それをやらないと勝てるチームになれない。帰って、調整したい」と、ホームラン3点と相手失策での得点に苦言を呈した。「投手3人は、公式戦初出場。予定通りの先発の中村、中継ぎの名取、抑えの土屋が、それぞれの役割を果たし好投した」と、褒め讃えた。「明日は、内の持ち味の、堅守で(攻めては)繋ぐ野球に心掛けたい」と述べた。(H・K)
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