
関甲新学生野球2010春季リーグ戦1部(第7節2戦目)は5月16日、群馬県の上武大学野球場で2試合が行われた。第1試合は暫定4位の山梨学院大学と5位の作新大学の第2戦目が行われた。このカードAクラス入りに王手を掛ける山梨学院は、フォーム改造した左腕・斎藤翔太郎(3年・木更津総合)をマウンドに送った。山梨学院は3回表、中前安打、死球、内野安打で一死満塁とし、主将4番・高橋将(4年・山梨学院)の内野失策で1対0と先制。しかし、その裏に死球、2安打、犧飛などで同点とされた。山梨学院は7回表の一死後、3番・折居祐(3年・甲府工業)が内野失策で出塁。二死後、代走の俊足・篠田徳尊(4年・各務原)が、5番・林亮佑(2年・育英)の初球で盗塁後、林の上空高くあがった外野
飛が左前安打となる間に、一気にホームを陥れて2対1と勝ち越した。その裏、捕手失策で出塁させ、3番打者に左前安打され一死一二塁、続く4番打者に右前適時出され2対2とされた。一進一退の攻防の均衡を破ったのは9回表の山梨学院。高橋一三監督は一死二塁で、3番の代打に坂田親哉(2年・済美)を迷わずバッターボックスに送った。坂田は「3回からバットを振って出場チャンスを待っていた。初球の真っ直ぐアウトコース高め。読み通りだった」と、迷わずバットを振り抜いた。打球は左中間を深々と破る二塁適時打で3対2とし、チームに3位を呼び込む1点をプレゼントした。山梨学院は最終節を2連勝して2007年秋以来、3年ぶりのAクラス復帰となった。
☆2010春季リーグ戦1部(第7節2戦目) 於 上武大学野球場
山梨学院 |
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作新学院 |
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[山梨学院]
投手:斎藤(9回、打者41、打数34、140球、8安打、1犠飛、3四球、3死球、7三振、失点2、自責点2)
捕手:本多(許盗塁1)
二塁打 児玉・坂田
[作新学院]
投手:劉(9回、打者40、打数34、121球、8安打、2犠打、3四球、1死球、3三振、失点3、自責点1)
二塁打 波田・細貝
☆1回表山梨学院は、1番・渡辺貴幸(3年・甲府商業)が四球で出塁。続く、DH2番・ 小石翔一(4年・甲府工業)の犠打で一死二塁。3番・折居祐(3年・甲府工業)の四球で一死一二塁としたが後続が倒れ得点チャンスを逸した。
☆その1回裏、左腕・斎藤翔太郎(3年・木更津総合)は先頭打者を投手ゴロ、2番打者を三振、3番打者を内野ゴロに打ち取りストライク先行の緩急を付けた投球で上々の立ち上がり。
☆3回表の一死後山梨学院は、1番・渡辺貴幸(3年・甲府商業)が中前安打で出塁。続く、DH2番・ 小石翔一(4年・甲府工業)の0-1から盗塁、そして小石の四死球で一死一二塁。3番・折居祐(3年・甲府工業)の内野安打で一死満塁とした。主将4番・高橋将(4年・山梨学院)の内野失策で、渡辺がホームを突き1対0と先制した。
☆3回裏、左腕・斎藤翔太郎は、8番打者に死球、9番打者でフォースアウト。その後、2連続安打を浴び一死満塁とした。続く、6番打者に中儀飛を打たれ1対1とされた。
☆4回表の山梨学院は、7番・成田竜也(4年・木更津総合)が四球で出塁。続く、8番・児玉卓也(4年・甲府城西)の右線へのエンタイトルツーベースで無死二三塁としたが、後続が倒れ勝ち越し点の好機を逸した。
☆山梨学院は7回表の一死後、3番・折居祐(3年・甲府工業)が内野失策で出塁。二死後、俊足・篠田徳尊(4年・各務原)が代走で送られると、5番・林亮佑(2年・育英)の初球で盗塁、林の上空高くあがった外野飛が左前安打となる間に一気にホームを陥れて2対1と勝ち越し、俊足・篠田は起用の期待に見事に答えた。
☆その7回裏、捕手失策で出塁させると、3番打者を左前安打で一死一二塁、続く4番打者に右前適時出され2対2の同点にされた。
☆9回表山梨学院は、先頭の1番・渡辺貴幸(3年・甲府商業)が左前安打で出塁。犠打で一死二塁。3番代打・坂田親哉(2年・済美)の左中間を深く破る二塁適時打で3対2と再び勝ち越した。
☆ 左腕・斎藤翔太郎(3年・木更津総合)は、先頭の1番打者を見逃しの三振に打ち取り、2番打者を四球で出塁させるものの、3番打者を外野飛、4番打者を歩かせ二死一二塁とし、5番打者を外野飛に打ち取りゲームセットとした。
■チームにAクラスをプレゼントした3番代打・坂田親哉(2年・済美)は「上武3戦目に一塁にヘッドスライディングしたとき、左手靭帯損傷の怪我を負った。それ以来出番がなかった。チャンスは必ずあると出場チャンスを、ずっと待っていた。怪我以来、昨日の代打でチャンスをもらったが死球で打てなかった。今日も出場チャンスがあると思い3回からバットを振って備えていた。昨日から相手捕手のリードを見て、初球はストレートでくると読んだ。迷わず積極的にバットを振り抜いた」と、「春は2割丁度、打てなかった。怪我で休みチームに迷惑をかけた。チームに貢献できて嬉しい。秋までにもっと練習を積み、秋にはチームに迷惑を掛けずに貢献したい」と感慨無量な面持ちで振り返った。
■左腕・斎藤翔太郎(3年・木更津総合)は「今回のチャンスをものにしないと、後がないと思いマウンドに上がった。テークバックが後ろに入り過ぎてコントロールが定まらなかった。監督さんから『後ろを小さくして、ベルトより下に下げるなと』と、フォームを改造してもらった。すると上半身と下半身のバランスが良くなり、ストレート、カーブ、スライダー、スクリューが自分の狙う所に投げられるようになった」と多彩な投球術で完投し安堵していた。
■主将の4番・高橋将(4年・山梨学院) は「上武から勝ち点を取り一つの目標を達成でき、それにチームは満足してしまい、それ以来チームは下降線をたどった。結果的には3位でAクラス入りで来たので良かった。これに満足せずに、未完成の部分を練習で克服し、秋にはチーム一丸となって優勝を目指し、関東大会に出場し勝って、神宮出場を決めたい」と冷静沈着に述べた。
■伊藤彰コーチは「チームは、今シーズン、序盤戦に関東学園に勝ち、今まで勝てなかった上武大に勝ち、幸先の良いスタートが切れた。しかし、中盤戦で白鴎と常磐に勝てるチャンスがありながら4連覇した。一度負けると立て直しが効かない所があることも露呈した。 終盤、作新に2連覇し、着実にチーム力は上がってきている。秋に向けて、負けた試合の後、どう切り返せるか、どう立て直せるかが課題となる。一つ一つのプレーを如何に丁寧に、こなして行けるかが鍵となる。チームには、春にやり残したこと(神宮出場)をやろうと呼びかけた。このチームは必ず達成してくれると思う」と、熱く語った。
■高橋一三監督は「監督に就任してから、チーム作りは考え通りに来ている。目指す野球は、『投手を中心に、確りとした守りからの攻め』が出来るチーム作り。ミスのない野球は、相手チームのミスを誘う。序盤戦は、それが出来て試合に勝てた。チームは守りは出来てきた。若い投手が出てきている。後は駄目を押せる打撃力が課題。追加点が取れると、相手が受けるダメージが違う。オールラウンドプレーヤーだけが選手でない、守備に自信のある選手、打撃に自信のある選手、足に自信のある選手、肩に自信のある選手、場面場面で選手のそれぞれの個性を引き出して、チームとして戦って行きたい。今日は、斎藤が良く投げて、代走の篠田が俊足を生かし良く走り、代打の坂田が良く弾き返してくれた。個人の能力をチームに生かしてくれた典型。 秋までに、それぞれ目標を確り持って、練習に励んでもらい、アピールしてもらいたい。投打が噛み合ってくると良いチームになる。秋が楽しみ」と笑顔で語った。
☆山梨学院大学の野球部は高橋監督就任以来、6位-4位-3位と向上している。目立つのは、何と言っても投手の台頭だ。完投投手が、昨シーズンの4年生・雨宮敬1人から、エース右腕・佐藤嘉鉱(4年・清水商業)、右腕・高梨裕稔(1年・土気)、左腕・斎藤翔太郎(3年・木更津総合)と、3人になったのは大きい。それに甲子園出場の山田祐也(1年・山梨学院)、速球投手の井原勇真(1年・甲府商業)など、期待される投手は多い。投手を中心とした堅守から攻撃野球を目指し、秋までにさらに切磋琢磨して、秋には野球部全員で神宮出場権の切符を手にしてもらいたい。もう夢ではない。(H.K)
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