第92回全国高等学校野球選手権山梨大会(第4日)は13日、小瀬球場で2回戦3試合を行った。第1試合は山梨学院と韮崎の試合が行われ、連覇を目指す山梨学院は主将・松浦航平(3年・青葉緑東シ)の先頭打者、初球本塁打で打線に火が点き、15安打の猛攻で韮崎を14対1の5回コールドで破り好発進した。後攻の山梨学院は、エース右腕・中村太星(2年・山梨都留シ)がマウンドに上がった。エース・中村は先頭打者を初球で中飛、2番打者を見逃しの三振、3番打者を左飛にと、9球で打ち取る絶妙の投球術を披露。攻めては、相手右投手から先頭打者の主将・松浦が「初球、真ん中やや内側のストレート」を叩き左越え本塁打を放ち先取点を奪うと、連続四球の一死後に5番・田口蒔人( 2年・青葉緑東シ)が右中間へ適時二塁打を放ち2対0。続く6番・青山祐己(3年・浦安シ)の中犠飛で3対0。死球を挟んだところで交代した投手から、エース・中村、女房役の捕手・相馬彰吾(3年・猿橋中)の連続適時二塁打で6対0とし、先頭打者ホームランの主将・松浦が中前へ適時打し7対0と試合を決めた。山梨学院は4回表、マウンドに期待の星、左腕・廣瀬直紀(1年・富士河口湖シ)を送り、廣瀬は先頭打者3番に三塁打を許し1失点したものの、3三振を奪うなど落ち着いたマウンド裁きで存在感をアピール。3回戦進出を決めた山梨学院は、18日(第8日)小瀬球場の第3試合(14時)でベスト8を賭けて巨摩高校と戦う。
☆第92回全国高等学校野球選手権山梨大会(第4日) 於 小瀬球場
韮 崎 |
0 |
0 |
0 |
1 |
0 |
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1 |
山梨学院 |
7 |
5 |
2 |
0 |
× |
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14 |
[山梨学院]
投手:中村(3回、34球、2安打、0四死球、3三振)
投手:廣瀬(2回、30球、1安打、1四死球、3三振)
捕手:相馬
本塁打 松浦 二塁打 田口 中村 相馬(2) 花澤
[韮 崎]
投手:山形(0回2/3、26球、2安打、3四死球、1本塁打、1犠飛、1三振)
投手:比嘉(3回1/3、80球、13安打、3四死球、1本塁打、1犠飛、0三振)
捕手:木村三塁打 小平
■心配された雨が上がった小瀬球場に、両校応援団が内野席を埋め尽くした。前回覇者の山梨学院はスタメンに甲子園出場経験者6名を投入して臨んだ。
■後攻の山梨学院は1回表、競争でエースナンバーを勝ち取った右腕・中村太星(2年・山梨都留シ)がマウンドに上がった。エース・中村は先頭打者を初球で中飛に打ち取り、2番打者を2-1から見逃しの三振に、3番打者を2-1から左飛に打ち取る絶妙の投球術で守りからチームにリズムをつくる。
■1回裏攻めては、相手右投手から先頭打者の主将・松浦が「初球、真ん中やや内側のストレート」を叩き「手応えは十分あった」とライナーで左越え本塁打を放ち先取点を奪った。続く2番・鈴木悠介(3年・青葉緑東シ)が四球で出塁すると、3番・山田凌(3年・八王子シ)の1-2から盗塁。山田が四球を選び一二塁。一死後、5番・田口蒔人(2年・青葉緑東シ)は1-0から右中間へ適時二塁打を放ち2対0とした。一死二三塁、続く6番・青山祐己(3年・浦安シ)は、抜けるかと思う中犠飛で3対0とした。一死二塁、7番・花澤冴俊(3年・千葉市シ)が死球で一二塁とした。ここで交代した投手から、8番、エース・中村の1球目に、田口と花澤がダブルスチールを決め相手投手にプレッシャーを 与える。中村は、その2球目を右越え2点適時二塁打とし5対0とした。続く9番、女房役の捕手・相馬彰吾(3年・猿橋中)の左中間を破る連続適時二塁打で6対0。二巡目の1番、先頭打者ホームランの主将・松浦が中前へ適時打し7対0とした。
■2回表、エース・中村は4番打者に2-2の8球目を中前安打されるが、5番を内野ゴロ、6番・7番と連続連続三振に打ち取る好投。
■2回裏、3番・山田が二打席連続の四球を選び出塁。一死後、5番・田口の中前安打で一二塁。6番・青山の犠打で一死二三塁とし、7番・花澤の左線を抜ける2点適時二塁打で9対0。二死二塁、8番エース・中村の中前適時打で10対0。続く、9番・相馬が左前安打しニ死一二塁。1番主将・松浦の右前適時打で11対0。二死一三塁、2番・鈴木の左前適時打で12対0とした。
■3回表、エース・中村は2番手投手8番に初球を左前安打されるが、後続を凡打に抑える好投。
■3回裏、4番・小林夏樹(3年・長野北シ)が四球を選び出塁。一死後、6番・青山の左前安打一死一二塁。二死後、8番・エース中村に代えて強打者の小林義弘(1年・千葉市シ)が左打席に、小林は1-2からの四球目内角球をよけるがユニホームをかすめる死球で満塁とした。9番・相馬は0-1から強く振り抜き右線を破る2点適時二塁打で14対0とした。
■4回表、マウンドに期待の星、左腕・廣瀬直紀(1年・富士河口湖シ)を送った。廣瀬は先頭打者3番に右線を破る三塁打を許し、4番を気迫のこもったピッチングで三振に仕留めたが、続く5番に中儀飛を打たれ1失点した。しかし、6番の代打を三球三振に切って取る好投。
■5回表、左腕・廣瀬は7番を内野ゴロ、8番を三振、9番の代打に死球としたが、1番打者を捕手ゴロに仕留め14対1の5回コールドで締めて、1年生らしからぬ落ち着いたマウンド裁きで存在感をアピールした。
■無四球無失点の好投したエース右腕・中村太星(2年・山梨都留シ)は「エースナンバーの自覚を持ち、皆のために気持ちを込めて投げた。マウンドに上がったが緊張し、最初は何時もより球が高めに浮いていた。相馬先輩を信頼しているので、相馬先輩のリードに委ね丁寧に投球していたら、3回には平常心で コーナーを投げ分けて打たせて取る投球術で投げられた。試合なので無四球無失点で良かった。次の登板では最初から平常心で臨めると思います」と、2打数2安打3打点のバッティングに水を向けられると「たまたまです。振ったところに球がきたという感じです」と照れ笑いで述べた。
■マウンドに期待の星、左腕・廣瀬直紀(1年・富士河口湖シ)「貴重な体験をさせてもらった。相手は3年生なので挑戦して行く気持ちで行った。最初はストライクが入るか不安があって、ストライクを入れに行ったら三塁打を打たれた。それから気持ちを切り替えて、強い気持ちで攻めて行った。夏の初登板としては良かったが、課題が沢山あるので確りやりたい。リリーフはモチベーションが大変なので、その気持ちの切り替えを確りやって行きたい。登板機会があれば是非とも投げたい」と目を輝かせていた。
■中村、女房役の捕手・相馬彰吾(3年・猿橋中)は「中村も廣瀬もいつも受けているのでリードしやすかった。特に夏の初登板は、緊張することは承知の上で、投げやすいように、低く大げさに構えた。今後もちゃんとリードして行きたい」と女房役らしい。3打数3安打3打点、2塁打2本の活躍に「9番打者なのでランナーを返すというよりも、次の打者に繋げることを心掛けた。これからも繋げることに徹したい」と爽やかに述べた。
■3回裏、8番・エース中村の代打で出場した強打者の小林義弘(1年・千葉市シ)は「何時も太(中村)さんが夜遅くまでバッティング投手をしてくれているので、太さんのためにも打ちたかった。打ちたい気持ちがあったので、体を引いて逃げたが、当たりが微妙な死球だったので、取られないと思ったが取られてしまった。バッターボックスに未練が残った。次からは初球から積極的に打って行きたい」と力強く述べた。
■主将・松浦航平(3年・青葉緑東シ)は「初戦から自分達の試合が出来て良い流れ。皆が繋ぐ野球が出来た。春はフライが多かったので、夏に向けて強いゴロを打つ練習をしてきた。軟投派投手の対策、右方向を意識して球を呼び込んで打つことが出来た。しかし、4回からは攻めが雑になったので集中して、一戦一戦戦う」と用心の上にも用心していた。
■須田喜照監督は投手陣について「中村はバリバリ緊張していた。球が高く浮いていた。力みからくるものだと思う。今日の雰囲気を大事にし、エースとして次に生かしてくれると思う」とエース・中村に信頼を寄せていた。1年生投手左腕・廣瀬、起用について「1回7点を取った時点で、廣瀬の登板をさせることを決意した。経験が薬になるので、今日の登板で、また一回り大きくなってくれると思う」と期待を寄せていた。攻撃陣については「まさか、松浦が先頭打者ホームランを打つとは思わなかった。どうしても、先取点が欲しかったので、この一打でチームの固さが取れたと思う」。「春と同じ(甲府南戦に田口、吉田戦で松浦、鈴木にホームランがでて、日川戦で外野フライの山を築いた)ミス は二度と繰り返さないように、春が終わってから、遅い球を打てる練習、フライを上げずに強いゴロを打つ練習に徹してきた。その効果が出たと思うが、今日、ゴロを打とうと思って、フライを上げしまうミスもあったので、次の試合までには修正したい。これから、良い投手がくれば、こんなには打てないので、これからが勝負」と気を引き締めていた。(H.K)
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